イザベルとエリーは仲良し。イザベルは、エリーの家によく遊びにいきます。
エリーは、赤い屋根の人形の家をもっています。
両側に花の咲いた木が飾ってあり、玄関を入ると電話があり、階段もあって……とにかくとっても素敵なんです。
ふたりはいつもいっしょに人形の家であそびました。
あるときイザベルは、エリーの人形の家の台所に飾られた金色のお皿から目がはなせなくなってしまいました。
イザベルも人形の家はもっているけれど、エリーのもののように立派ではないし光るお皿もありません。
うらやましくなったイザベルは、自分でもよくわからないうちに、お皿を服のポケットに入れてしまいます。
重い気持ちで家に帰ったイザベルは……?
グリムやアンデルセンの挿絵を多数手がけてきた、イギリスを代表する絵本作家、バーナデッド・ワッツが女の子の気持ちを繊細に描いた絵本です。
華やかなものにあこがれ、お友だちがもっているものに心が揺れる……。そんな気持ち、女の子ならよくわかりますよね。
でも本当はイザベルのもっているものも素敵なんですよ。
イザベルの家は、花や植物があふれ、手作りのあたたかいものでいっぱい。イザベルの人形の家もそっくり。
イザベルのおかあさんが、自然を愛しいつもそのそばで絵を描いていたというバーナデッド・ワッツの姿にかぶってしまいます。
町並みや家、女の子たちのたたずまいが、一枚一枚、ポストカードになりそうな美しさ。
幻想的な夕暮れの空の色を、親子でしみじみと味わってくださいね。
友だちとの間でいろんな感情を意識するようになる、5~6歳くらいからおすすめの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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