ちょっと短めの緑のベストに緑のスカーフをまいて、赤いくちばしがチャームポイント。可愛いペンギンのぬいぐるみ「パンゴー」が主人公です。
パンゴーは、ダニーのお気に入りのぬいぐるみです。
ダニーが小さな頃からずっと一緒なんです。
ダニーは、パンゴーがだいすき。
パンゴーも、ダニーがだいすき。
ふたりの一番だいすきなことは、土曜日にセントラルパークの水族館にいくこと。そこで大空を自由に羽ばたく鳥のようにすいすいと泳ぐペンギンを見るのです。出かけるときも、食べるときも、寝るときも。いつでもどこでも一緒のふたり。そんな仲良しのふたりに思いもよらないことがおこります。ダニーが自分の誕生日に新しいぬいぐるみをたくさんもらったのです。すっかり新しいお友だちに夢中になってしまったダニーは、その夜パンゴーのことを忘れてしまいました。
パンゴーはこの悲しい出来事にたえられず家出をするのですが・・・。
市川里美さんの描く、のびのびとした登場人物や美しい情景の描写に目を奪われます。1971年に旅行で訪れたパリにそのまま移住されてから独学で絵を学んだ市川さん。これまで世界で出版された数々の絵本は、70冊を超えています。世界中を旅して地元の子どもたちとの交流から生まれたという絵本は、常に市川さんのあたたかな視点を感じられます。今作もくたくたとしたぬいぐるみ独特の可愛らしさや生き生きとした子どもの仕草や表情が大変魅力的です。また、舞台となっているニューヨークのレンガ造りの古いアパートメントが並ぶストリートやセントラルパークの様子など海外の日常の暮しが垣間見れます。
ちょっとほっとけないパンゴーはダニーに再会できるのでしょうか。
何度みても、最後のページで幸せなきもちになります。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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