幼い頃に経験した動物との想い出は、大人になってもずっとずっと心に残っているものです。
この絵本に登場するビアトリクス・ポターは、動物がとても好きな女の子。
カナリヤ、アヒル、カエルやサンショウウオ、ヘビやカメ、もちろんウサギやネコまでありとあらゆる動物を飼っていて、家の中はまるで、動物園のよう!
その中でも、ウサギが一番のお気に入り。
彼女は、名前をベンジャミン・バウンサー、ピーター・パイパーと名付け、彼らをモデルにして絵を描くのが大好きでした。そう、そうです。ウサギの名前を聞いてピンときた方もいるでしょう。この絵本の主人公はなにをかくそう、世界中に読者がいるピーター・ラビットの作者なのです。
さて、子どもの頃に悪気はなくても、好奇心からむやみやたらに飼ってしまった動物に、ある日突然、悲しいことが起きてしまったという経験、ありましたよね。そんな時、あなたはどうしましたか。もちろん、これだけたくさんの動物を飼っていたポターですから、それはおそらく頻繁に起きていたのではないかと推測します。そんな彼女が、ある時おとなりに住むパジェットさんの飼っているテンジクネズミをかりたときにそれは起こりました。自分のペットではなく、しかもおとなりさんのペットにです。彼女は、その時一体どうしたのでしょうか。そしてその行動がまた時代を超えて驚きの真事実を生み出します。
瑞々しい水彩で軽やかに彩られたポターの様子や育った環境から、あれほど愛らしく人間よりも人間らしい、生き生きとした主人公たちを次々と生み出した彼女の創作の秘密が垣間見れます。動物に注ぐ惜しみない愛情やユニークな行動から、感受性豊かな彼女が見ていたものを感じとれる素敵な絵本です。この絵本を読んだら必ず、ピーター・ラビットを読み直したくなること間違いありません。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
続きを読む