「ぼく、さいきんしぬってことを考えると、すっごくこわい。」
この一文で、絵本は始まります。
「しぬ」ということが気になって、しかたがないぼく。
ママが働く介護施設で仲よくなったおばあちゃんに、「しぬって、こわい?」と聞いてみたいけど、聞くことはできけません。
親友のひろくんと遊んでいるときは全然こわくないのに、なんでだろう。ぼく、弱虫なのかな。
本当にこわくなるのは、寝る前。ひとりでじっと考えてしまう。死んだら目を閉じたときみたいにまっくらなのかな? 何も考えられなくなっちゃうのかな?
頭から離れなくて、どうしようもなくなって、「ぼく しんだら どうなるの?」とママに聞いたぼく。
「ママは、「あなたは すぐに しんだり しないから。ママが ずっと 守るから。心配しなくて いいのよ」と言ってくれたけれど、やっぱり気持ちは晴れません。
それからしばらくして、一通の手紙が届きました。
送り主はママと一緒に働くおばさん。
その手紙を読んで、ぼくはやっと、ほっとすることができました。
誰もが一度は想像するであろう「死ぬ」とはどういうことかと、その恐怖。
男の子の不安そうな表情からも、目に見えない、死ぬことのこわさが伝わってきます。
作者の横須賀香さんは、子育てをしながら絵本を作っているそうで、子どもの成長を見守る親ならではの視線もあたたかく感じられます。
子どもに説明するのがむずかしいテーマですが、不安がる気持ちを否定することなく受け止めてくれる1冊です。
(絵本ナビ編集部)
続きを読む
さいきん、 しぬってことを考えると、 すっごく こわい。
しんだら、 目をとじたときみたいに、ずっと まっくらなのかな。
ねているときみたいに 何も 考えられなくなっちゃうのかな。
ママは 心配ないって 言うけど、
ぼくは やっぱり こわいんだ。
ぼくは死んだらどうなるの?」 毎日不安でたまらない少年。
ぼくは弱虫なのかな。 ちょっとへんなのかな。
そんな少年のもとに、ある日手紙が届いて……。
だれもがもつ不安に、まっすぐ向き合った作品です。
不安なのはきみだけじゃない、こわくていいんだよと伝えます。
続きを読む