野原で、腹ぺこオオカミの「ガー」と「ギー」と「グー」が昼寝をしています。
そこへ「コッコッコッコッコッコッ」とやってきたのは……。
に、に、にわとりーーーー!
腹ぺこの3匹は大喜びしますが、誰が捕まえるかで、押しつけ合いに。
「お、お、おい ギー、にわとり つかまえてこいよ。おれ、はらぺこで うごけないんだ。たのむよ」
「おれだって うごけない。グー、おまえ つかまえてきてよ」
「おれだって……」
誰が行くか決まらず、もし捕まえてきたら何をごちそうしてやるかで、さらに言い合いは続きます。
「ギー、おまえが つかまえてきたら おれが チキンカツを つくってやるよ。むしゃむしゃ たべたら おいしいぞ」
「グー、おまえ いけよ! やきとりを つくってやるぜ」
「いやだね」
というわけで……。
“むしゃむしゃたべたらおいしいぞ”の誘い文句と、頭の中で妄想するごちそうだけは豪華にふくらみます。
でも、あのにわとりを食べちゃったらおしまいじゃないか、また腹ぺこになっちゃうじゃないかと気づいた3匹。
どうやったら毎日おいしいものが食べられるか、頭をひねりますが……!?
ことわざの「とらぬ狸の皮算用」とは、まさにこのこと。
落語のようにくりひろげられる、3匹のオオカミの盛り上がる会話劇と、空想。
最後には、痛快なオチ!
宮西達也さんのせりふが効いた、楽しい1冊です。
読んだら食べたくなるものがいっぱい!
とりあえず、読んだ日のわが家の夕飯は、オムレツでした。
次は、オオカミたちの妄想の中から何を食べようかな。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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