(まえがきより)
本書は、読むと幸せな気持ちになれる絵本ガイドブック「幸せの絵本」シリーズの第3作目にあたります。
前作「幸せの絵本2」の発行から6年が経ちました。時代を超えて愛されるロングセラー作品が多い絵本の世界では、6年という年月はさほど長い時間ではないかもしれません。
しかしこの6年の間に、「ママが泣ける絵本」ともいうべき人気ジャンルが生まれ、国内作品・翻訳作品とも多くの名作が生まれています。
そして何より、私たちの生きるこの世界は、かつてない大きな変化を経験したのです。
2011年に起こった東日本大震災により、私たちの生活は大きな変換点を迎えました。
私たちが根拠なく信じていた数々の事柄が、もろい前提の上に成り立っていることが明らかになりました。
直接の被災を免れた子どもたちも、いいようのない不安の中で日々を過ごすことになりました。そして私たち大人も。
そんな不安の中、テレビを消し、親子で絵本を開く時間がどれだけ私達を癒してくれたことでしょうか。子どもと一緒に絵本を読んでいるとき、心に光が差した気がしました。
メディアを通じて発した『絵本は生活必需品ではないけれども、心の必需品ではないか』というコメントに、多くの方から共感の声をいただきました。
絵本の持つ力を再認識せずにはおれませんでした。
これまで、そこにあるのが当たり前だと思っていたものが、実はかけがえのないものなのだと多くの人が気づいたのです。家族が一緒にいられること。十分で安全な食べ物や飲み物。電気や水道などのライフライン。会社や学校や園に通えること。そして、一緒に絵本を読む安らかな時間・・・。
この気づきをきっかけに、『幸せの絵本』の新作を世に出そうと決心しました。
テーマは、『家族の絆』。
家族の絆を主題にした作品と、一緒に読むことで家族の絆を深めてくれる作品を選びました。困難に立ち向かう強さをもった作品や、絵本から読み物の入り口の役割を果たしてくれる作品も選びました。これらの素敵な作品を皆さんにご紹介することは、私たち絵本ナビの使命だと感じています。
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