夏になるとロビーは家族と一緒に機関車に乗って、海辺に住むリンの家にやってきます。
一年ぶりの再会におしゃべりに花を咲かせる大人たちをよそに、ロビーとリンは海に向かって走り出します。
満ち潮に届かない真っ白い砂の小さな浜の岩のかげに、毎年ふたりで遊んでいるとっておきの場所があるのです。
「明日がまちきれない!」
秘密の島をつくる計画をたてているのです。
次の日からふたりは、リンのおかあさんにランチとおやつを持たせてもらい、着々と計画を進めていきます。旗を立て、小屋をつくり、砂山をコンブでおおったジャングルも出来上がり。そうやって一日、二日と経っていき、立派な秘密の島になってきた頃、とうとう明日は帰らなければならない、という日がやってきて…。
「まだここにいたいよ」「ずっとずっと、いられたらいいのにね」
諦めきれないふたりは、思い切った計画を実行することにするのですが!?
開放的な夏の海で、大好きな子と過ごす幻のような楽しい時間。これが永遠に続けばいいのに…。
そんな気持ちは大人になった今でも痛いほど伝わってきます。
ロビーとリンはその強い気持ちが大きくて、ふたりだけの特別で秘密の時間を少しだけ作りだしてしまいます。
でもそれは、楽しいだけでなくてちょっと怖さも伴う大冒険。こうして子どもたちは夏を終わらせていくごとに、成長していくのかもしれませんね。
終始潮の香りが漂ってくるような海辺の町を舞台に、繰り広げられるちょっと不思議な物語。可愛らしいロビーとリンや透明感溢れる海、色とりどりの貝殻や魚たちなど魅力的な絵を眺めながら、皆さんも一緒に心を躍らせ、ひと夏を過ごしてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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