おなかに手をあてて、なんだか不自然なポーズでこちらを見ているのは、たぬきです。どうやら、ずっと隠していた自分の秘密を言いたくなったみたいで。
「だれにも いっちゃいけないよ。
ぼくの おへそってね……」
え、え!?
そんなことになってるの?
そ、それ食べれるの?
読んでいるこちらがあまりの驚きに戸惑っていると、絵本の中では話が進んでいきます。聞いていたリスさんや、あひるさん、コアラさん、ぺんぎん兄弟たちが次々に自分の秘密を暴露していくのです。
うんうん、秘密ってつられてしゃべりたくなるものだよね。でも、そんな大事なこと本当にしゃべっちゃって大丈夫? そもそも思い切って最初に話し始めたのはたぬきさんですし。
……ところが、たぬきさんの秘密はそれだけじゃあ終わらなかったのです!
クレヨン画家としても注目を浴びている絵本作家、加藤休ミさんの最新作のテーマは「秘密」。動物たちが自分の秘密を告白していく可愛いお話なのだけれど、なぜか可愛いだけじゃ終わらせてくれないのは休ミさんの絵のせい? 資質のせい? だって、みんなの告白のインパクトが大きすぎます。その、決してあっさりしているとは言えないみんなの表情もクセがあります。こんな秘密、私だったら抱えきれないし、ちょっと困る。だけど、でも……すごく美味しそう!!
ああ、これにはまいった。読み終わる頃には、ちょっとうらやましい気持ちになっていたりして。ポンとたたけば、なんて楽しすぎます。あ、皆さんも言っちゃダメですよ。これは秘密ですからね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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