スペイン内戦下。片田舎の小さな村にも戦争の影は忍び寄り、じわじわと村人の生活を侵していき、やがて悲劇が訪れる。 戦争の本質を、読む者に静かに訴えかける。
素朴な村に戦争が来た。
戦いがあるわけではなく、政府側と反政府側の人間ができた。
普段一緒に生活してきた町の住民の疑心暗鬼。
どちらが良いものでも悪いものでもない戦争。
主人公の父親は、仲間と戦争に加担したくないからと、山に隠れていたのだけれど、山狩りで見つけ出されて銃殺刑。
淡々と描かれる話に、戦いはないのだが、なんとも重苦しい戦争がそこにあった。
戦いが町に来ないままに戦争が終わった。
どちらか一方が勝ったから終わった戦争を、平和になったからって喜べるものか。
これだけのことを短編の児童書が語っている。
残酷ではあるが、子どもたちに本当に考えてほしい哀しみと苦しみがここにある。
歴史上の事実に基づく話だが、ファリアスは言葉少なの作品の中から、読者に思い問いかけを滲ませている。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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