「こんいろの そらが おりてきて
おひさまに さよならをする
それは まいにち おとずれる
きせきの じかん」
夕暮れのワンシーンからスタートして、次のページには小さなホタル。
「やさしく ホタルに さわってみて」
絵本にはそう書いてあります。
そのとおりにそっとホタルに触れてみてください。
そしてページをめくると……
ほら! ホタルが光るんです。
空をあちこちさわってみると、空のあちこちにホタルが……。
「そっと いきを かけてみて」
「こじかを なでて『おやすみなさい』って いってごらん」
「ゆっくり みっつ かぞえてみよう」
呼びかけられるたびに、私たちは絵本に参加します。
画面はまるで、私たちの動きに応えるように、展開していきます。
夕暮れから夜。そして夜は深まり、夜明けの兆しまで。
子どもたちが寝ている間、毎晩ひそやかに繰り返される夜の出来事。
どこかで光るホタルが飛びはじめ、星が輝きはじめ、月が出て、フクロウが鳴く……。
実際に絵本が発光するわけではないし、動くわけではないのに、本当にそれが起こっているように感じられるんです!
お話は素朴ですが、まさに絵本の「魔法」を味わえる一冊です。
美しいグラデーションで描かれる、青紫や青緑の色彩も見応えがあります。
ニューヨークの出版社から2015年に発売されたクリスティ・マシソンの翻訳絵本。
素敵な絵本です。お子さんといっしょにぜひ体験してみてください。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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