ぽかぽか陽気の日。大口を開けて昼寝中のおじいちゃんの、のどの奥に、ちらっと誰かを見つけてびっくりした、しんたろうくん。
ちっちゃなおじいさんみたいな、おぼうさんみたいな…。いったい、誰!?
おばあちゃんに「のどぼとけさんだよ」「いちにんまえの おとこなら、みんな すまわせているよ」と教えてもらいます。
のどの奥にほとけさんがいるなんてかっこいい!とあこがれるしんたろうくん。
ある日、のどぼとけさんに「ぼくも、のどぼとけさんが ほしいんだけど。おともだちを しょうかいしてくれないかなぁ」とたのみますが、「はんにんまえじゃあ、むりむり」と断られてしまいます。
そこで「しゅぎょう」と称して、一緒にお出かけすることになりますが…?
のどぼとけさんと町を歩いたりラーメンを食べたりするしんたろうくん。
一方、病気をしたあと寝てばかりいたおじいちゃんが、なぜか元気になってきて…?
おじいちゃんと孫のしんたろうくん、のどぼとけさんとしんたろうくんの仲良しな姿が、楽しくなる絵本です。
のどぼとけ…って、子どもたちは知っているでしょうか。
大人が上をむいたときに、のどのところにぽこっと飛び出す、ころころしたものですよね。男の人ののどにははっきり見えるけど、子どもはまだはっきりしません。
じつは作者の尾崎美紀さんは、自身のおじいさんが亡くなってお骨を拾うとき、のどぼとけのお骨が、仏様がきれいに座禅を組んでいる姿にそっくりなことにびっくりしたのだそうです。
徳を積んだ故人ほどお骨の形がきれいに残るといわれ、本文中で「のどぼとけさんというのは、ひとのやくにたつことを、たくさんすると、きてくれるらしい」と書かれているのも理由があったのですね。
ささきみおさんが描く茶目っ気たっぷりののどぼとけさん、のびのびとした絵に笑顔になります。
男の子の「いちにんまえ」へのあこがれや、おじいちゃんと孫のいい関係が、ほのぼのとユーモラスに描かれた絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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