今日も公園でごきげんに公園でお店を開いているのは、こたろうのアイス屋さん。美味しいと評判なのです。さっそくお客さんです。
「おにいさん、アイスくださいな」
と、その時。こたろうは足をすべらせて意識が遠のいていき、気が付けば、見たこともない川岸で、閻魔さまの裁きを待っている。ということは……!? ところが、地獄は火事で大騒ぎ。かまゆで地獄のかまどが大爆発、鬼たちに混ざって、なぜかこたろうも巻き込まれ、必死で水をかけ、ようやく鎮火。へとへとになった鬼たちが、こうつぶやいたのです。
「ふぅ〜、つめたいもんでも たべたいなあ」
もちろん、こたろうの出番です。でも、ここは地獄。材料はあるの? 道具はあるの? 鬼の口には合うの? 閻魔さまの裁きは……? 心配ご無用!「芸は身を助ける」と言わんばかりにこたろうは動きます、はたらきます。驚きの場面の数々は読んでからのお楽しみ。
関西弁の軽快な語り口で、次から次へとにぎやかに展開するこのお話。舞台は地獄だけれど、なんだか見ているだけで可笑しくなってくる絵のせいか、やたら人情深そうに見える鬼たちのせいか、不思議と恐ろしさは感じません。それどころか、子どもたちが笑い転げる様子が目に浮かびます。
そして何といっても、魅力はひんやりアイス! やっぱりアイスは暑いところで食べるのが一番。ということは。地獄とアイス、相性ばっちりなのか……?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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