平和への決意がみなぎる祈りの書
終戦直後の広島を舞台に、懸命に生きる少年、東太を描く児童文学。
戦災孤児の現実、被爆者の苦しみ、不発弾の恐ろしさ・・・。
戦争は、家々を、町や村を破壊し、命を奪います。
そして平生は善良な人々の心をも、じつは壊してしまうのです。
いくつものエピソードを丹念に描く本書は、戦争を体験した世代が、戦争を知らない世代の親と子へ伝え遺す、平和への祈りの書でもあります。
数々の苦しみと悲しみを経て少しずつ復興していく世の中に呼応するように、人々の心もまた、少しずつ人間らしさを取り戻していく。
明日へとつながる希望を感じさせてくれるラストには、平和への静かな決意がみなぎっていて秀逸です。
前作『善市じいさんのふしぎな手』同様、繰り返し読みたくなる感動をお届けします。
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