ぞうさんがこんなに沢山登場して、舞台は消防車。小さな子ども達が大喜びしそうな題材でありながら、叙情感漂うこの雰囲気。お国柄?それとも作家さんの持って生まれたもの?大いに気になります。
ストーリーは、10頭の大人のぞうと一緒に消防署に住んでいる、小さなぞうのエルフを主人公に進んでいきます。警報が鳴ると、素早く準備して、サイレンを鳴らしながら消防車で勇ましく出動していくぞうの消防士達。
エルフは?寝坊したり、ヘルメットが見つからなかったり・・・おろおろしているうちに、いつも置いてきぼり。帰ってきた10頭のぞうに、囲まれて叱られているシーンは、ちょっと切ない。
でも、安心して。エルフは、ちゃんと自分の仕事の居場所を見つけます。
こんな風に、おろおろ、まごまごしている子というのは、必ずいます。(自分を見ている様だったりして。)
そんなエルフに対して、擁護する訳でも手助けする訳でもないところが、この絵本のすごい所かもしれません。なかなか厳しいのです。(命を預かる仕事ですからね。)でも、最後に手柄を立てたエルフに対しての、10頭の大人のぞうの喜びようを見ていると、ほっとしますね。よかったね、エルフ。
作者のハルメンさんは、実際に消防車を借りて、運転して学校訪問に行ったりするそうですよ!
そんなエピソードや、シリーズを通して読んで感じるのは、ハルメンさんの子どもに対する思いの深さというものです。「子どもの目線」というものを理解しているのだと思います。他のお話もおすすめです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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