憲法とはなんでしょう?
子どもたちにそう聞けば、
「法律より強いルール」
という答えが返ってくるかもしれません。
では大人の場合は?
かつて学校で習った、あるいはニュースでたびたび取りざたされるいくつかの条文やその成り立ちについて具体的な内容を知っている、という他に、憲法とは何かという質問に対する明確な答えを用意できるでしょうか?
「法律はすべての国民に向けたルールですが、憲法は公務員に向けたルールです」
とは、本書の最初のページにある言葉。
おはずかしながら私は仰天しました。
そ、そうだったの!?
「法律はふつうの人々の勝手な行動を制限するためにあるのに対し、憲法は法律を作ったり扱ったりする立場にある人の勝手な行動を制限するためにこそある」
いわば憲法とは、国民の自由を守るためのルールなのです。
どこに住むか。
どうやって働くか。
なにを学ぶか。
そして、なにを考えるか。
今の日本では、どれも自分で決めることができます。
でも、考えることさえ自由にはできない時代や国があって――。
あたりまえのように存在している権利は、実は憲法によって大切に守られているものなのです。
法律の骨組みとなり、私たちの生活の根幹となっている憲法ですが――、
大人でも、憲法について知らないことって、実はたくさんあるんです。
いざ調べようとするとしり込みしてしまったり。
だって憲法って、なんだかむずかしそうなイメージがぬぐえませんよね……!
そこで本書では、憲法の条文を親しみやすい口語調になおし、タイトルどおり「10歳から読める・わかる」ように解説しています。
本書であらためて憲法というものについて学び、驚かされたのは、社会の動きについて理解するための前提知識の多くが、憲法のなかにふくまれているということでした。
政治の基本的な仕組みがそうであることはもちろん、表現の自由や女性の権利、戦争と平和、天皇の生前退位など、ニュースで取り上げられるさまざまなトピックについて、それらに関連する憲法の条文を知ることは、社会について学習するうえで大きな一助になることでしょう。
子どもたちの学習の助けにはもちろん、大人が憲法を学びなおすためにも、入門中の入門としてベストな一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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