「ポケット俳句」は「ポケット詩集」I、II、IIIの続編にあたります。
「ポケット詩集」の構想を持ったとき、万葉からジャン・コクトーまでという夢を描きました。
やってみると、うまくいきません。ごった煮になってしまって、どうやっても美しく仕上がりませんでした。
そこで「ポケット詩集」は近現代の詩のなかで、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」に代表される
志の高い詩を集めて三巻としたのでした。
その間ぼくの編集ノートに書きとめた俳句が、俳句アンソロジー一巻にちょうどの分量になっていました。
書きとめた期間は約10年。小沢昭一さんの句「落第や吹かせておけよハーモニカ」を見つけたとき、
ぼくが作る俳句アンソロジーの選句テーマが決まりました。
「童心」というのでした。「童心」で選ぶと、次のような句が次々と目にとびこんできました。
海に出て木枯帰るところなし
ふと思うことありて蟻ひき返す
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき
算術の少年しのび泣けり夏
芭蕉も一茶も蕪村も虚子も飯田龍太も放哉も山頭火もみんな童心というテーマで選ばれました。
飯田龍太は「偽りのなき香を放ち山の百合」
虚子は「虹立ちて忽ち君の在る如し」
蕪村は「鶯の啼くや小さき口明いて」
なお、「ポケット俳句」は一巻のみで、続刊はありません。
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