「いま めが あったよね?」と地面の葉っぱを見つめる子ども。1枚の「かっこいい葉っぱさん」を手にとって歩いていくと……。
「いま めが あったよね?」次は枝先が2つにわかれた双子のどんぐり。「おぼうし かぶってるね どんぐりさん」
ポシェットに葉っぱ、右手にどんぐり。次々「めが あった」モノと子どもは仲良しになります。大小の石、みずたまり、コーン(工事現場にある)……。大胆な線で描かれるのは、「そうそう、子どもって、こういうのが大好き!」と思わずうなずくものばかり。
文を担当したおおたゆみこさん、絵を描いたにしかわ(c)ともみさん、共に本書が初めての絵本。おおたさんには3歳のお子さんがいて、何気ない一言が創作の参考になっているそうです。
幼い子を散歩に連れ出せば、いちいちしゃがんでモノを拾い、なかなか前に進めない……。ママやパパならきっとそんな場面を味わったことありますよね。「はやく行こうよ」と急かしても、子どもには一大事の出会いが、世の中にはいっぱいあります。毎回だとため息もつきたくなるけど、本書を読んで「子どもは今、目があったんだ!」と思うと、何かに夢中な背中が愛おしく、たのもしく見えてきます。
幼いからこそあらゆるものと「いま めが あったよね!」という喜びと確信を全身で享受できる。そうやって子どもは世界を広げているんだ、とちょっぴり感動するのでした。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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