ちっちゃな赤いトラック、レッドくんは、物を運ぶのが仕事。
たぬきのおじさんに「ゆりかごをうさぎさんのところへとどけておくれ」と頼まれます。
うさぎさんに赤ちゃんが生まれたのです。
そしてゆりかごと一緒に、ふたつの袋も・・・。
「そのふくろには、なにがはいっているの?」とたずねますが、おじさんは
「とってもとってもステキなもの」としか教えてくれません。
中身は謎のまま、レッドくんは走りだします。「いってきまーす」ブッブー。
山をこえ谷をこえ、うさぎさんのうちへ。がんばれレッドくん!
ところがまちにやってきたレッドくんは、落ち込みっぱなし。
スポーツカーのおねえさんに「のろまなんだからー!」と怒られたり
ゴミ収集車のおにいさんに「おれたちはいそがしいんだ」とどなられたり。
他の車と自分をくらべて、めそめそが止まりません。
「ぼくは、ちびでのろまで、やくたたずなのかもしれない・・・」
でもね、ちゃあんと応援してくれるひとたちがいましたよ。
クレーン車のおじちゃんたちに助けられ、あと一歩!・・・の、そのとき、「とってもステキなもの」を落とし、あたり一面にばらまいてしまったレッドくん・・・。
もう、レッドくんの目からは涙が垂れっぱなしなのですが(笑)
用意されていたのは、ほのぼのする幸せなエンディング!
作者の宮西達也さんは「自動車のキャラクターで絵本を作ろう」と思った日から一週間、毎朝ファーストフード店に通って、道路側の席に座り、走る車たちを見つめていたそうです。
そのうち車たちの心の声が聞こえてきて・・・その声をヒントに「レッドくん」は生まれたそうですよ。
泣き虫だけど、いっしょうけんめいな、ちっちゃい子。
あらら、どこかの誰かに似ていませんか?
子どもたちが共感する、かわいい車たちの絵本シリーズ誕生です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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