「童話は哲学書である」ともいわれるように、アンデルセンの童話には人生や愛することの哀しみや喜びや諦念が
つづられています。その中には、子どもにしか気づけない感覚、大人になって経験や痛みを知った者が知る真実、
その両方が奥深く隠されていることに気づきます。自分の意思とは関係なくふりかかってくる運命にはひたすら
身をゆだねてゆくしかない一本足の兵隊。想いと偶然が重なったバレリーナとの愛が結ばれるラストシーン……。
石津ちひろさんの端正で凛とした文章と、宇野亜喜良さんの描くこの美しい物語世界が、子どもたちの中に
そっと息づいてくれますように。
続きを読む