男の子のハンヒは、オンマ(韓国語でお母さんの意味)と一緒に市場へお買い物に出かけます。犬のモンシリはお留守番。
民家が立ち並ぶ表通りを抜け、路地裏に入ると、そこは色とりどりのパラソルの下と雑居ビルの軒先に品物が山盛り並ぶ市場!
人が大勢歩いて売ったり買ったり、売り子のおばさん同士が楽しそうにおしゃべりしたりしています。
「オムク、5つください」(*オムク:魚のすり身で作ったねり物)
「オンマ、ぼく、今食べたい・・・」
「じゃあ、もう1つ」
果物や野菜はもちろん、ぴちぴちはねるお魚屋さんや豆屋さん、ごま油屋さん。韓国文字と韓国食材、日本の下町に通じるような風景が細かく温かいタッチで描かれ、いつまでも絵を眺めていられそう。
「○○屋さんをのぞいてみよう」ページには「ロボットみたいな機械」が詳細に描かれたり小動物が出てきたりするので、細かい絵が好きな男の子にもおすすめ。
後ろ見返しには「ハンヒくんの家の晩ごはん」のメモもあります。ハンヒくんとオモニが市場で買って帰った材料は何でしょう?
メニューは、豆ごはん、オムク入りチャプチェ、あさりのむき身のスープ!
読み聞かせする大人が胃袋を刺激されちゃうかもしれません。
作者のカン・ジョンヒさんは1971年韓国の釜山広域市生まれ。2001年に絵本作家としてデビューし、現在は4歳になる娘と路地裏を散歩するのが好きなのだそう。
行き交う人々の生き生きした表情にも何だかパワーをもらえる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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