鉛筆の黒一色の線で描かれた小さなニコデム。ほんのり赤い頬をした、内気で気弱な男の子です。大人に足を踏まれたり、乱暴な男の子にビー玉を取られたり、忘れ物して先生に怒られたり。嫌なことがあった時、ニコデムはものすごく大きくて、ものすごく強い「スーパーニコ」になって解決します。頭の中ではね・・・。
ああ、もう!今すぐ変身したい!
ぼくは怒ってるんだあ、と世界中にほえてやる!
うつむき加減なニコデムを見ていると、何だか切ない気持ちになってきちゃいます。学校ってたくさんのお友達がいるし、勉強もあるし、結構大変な毎日だよね。ニコデムの気持ちもわかる気がします。本当に変身できたらって思ったこともある。でも、可愛いビオレットが隣の席にきた時までスーパーニコになってお花をあげちゃうなんて、ね。
その夜、ニコデムは寝返りをたくさんうち、いろんなことをたくさん考えて、なにかがはじけるのです。
「ぼくはニコデム。大きくないし、強くもない。でも明日、ビオレットに、マーガレットの花束をプレゼントするんだ!」
もう大丈夫だね、ニコデム。
現実と向き合うこと、ありのままの自分を受け入れること。
大変だけど、子どもだって乗り越えなくちゃならない時はある。
繊細で、でも子どもの意思をしっかりと尊重している、フランスの絵本です。
ニコニコのニコデムはとっても可愛いですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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