日々の生活の中で、ふと気付く。
朝目覚めて、最初に耳に入るのがテレビの音だということに。
人がたくさんいるのに、誰も自分に見向きもしないことに。
人間の格好をした犬がいることに。
同じテーブルについているのに、だれも目を合わせないことに。
流れに身を任せているときには気にも留めなかったのに、立ち止まると気になる。
本当はあるのに、見えなかったもの。
本当はあったのに、見過ごしてきたもの。
より便利に加速していく社会に疲れたときは、
自分が生きている、自分を生かしてくれる世界に、ちょっとだけ目を向けてみよう。
そうすれば、ちょっとだけ違う風景が見つかるはず。
だって世界は、いつだってそこにあるのだから。
本書は、現代に生きる人すべてに、そんな小さな気づきをもたらすメッセージが込められています。
言葉と絵も、とってもシンプル。
その分たっぷりとある「余白」が、本書のテーマを雄弁に語っているようにも受け取れます。
そしてページの中心に綴られた、柔らかくもしっかりとした言葉が、
忙しい生活の中で忘れている「大切なこと」を思い出させてくれます。
作者の松本巌さんは、2003年にCMで大ヒットした「ピクミン・愛のうた」の作詞・作曲を手がけた、クリエイティブ・ディレクター。
4ページという長いあとがきにも、「なるほど」と心に響く一説が記されていますので、ぜひ読んでみてください。
これから社会に羽ばたこうとしている高校生だけでなく、
働きづめでちょっと疲れた大人の心にも響く、癒しの一冊です。
(絵本ナビ編集部)
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