色彩にあふれた、おしゃれなフランスの翻訳絵本『りすのエドモン』の続編です。
といってもストーリーは、またべつのお話。
主人公はポルカとオルタンス。二人のねずみの女の子です。
ある夏の朝、白いねずみのポルカは、おひさまがのぼるずっと前に飛び起きると、友だちのオルタスの家へむかってかけ出しました。
「おきて、オルタンス! きょうはぼうけんするひだよ!」
ポルカとオルタンスは、だれもいったことがない、山の頂上までいこうと決めていたのです。
地図をみても、山の向こう側がどうなっているのか、描かれていないのでわかりません。
知らない場所にいったらどうなるかわからないから、みんなこわがっています。
そんなところへ、ポルカとオルタンスは本当に行くのでしょうか。
行ってみたところで、そこには何があるっていうんでしょう?
ポルカとオルタスに「いっしょにいかない?」と誘われたエドモンも、あんなに遠い大きな山までわざわざ行く意味がわかりません。
あなたは、どう思いますか?
見どころは、出発してからドクン、ドクン、とどこかで何かが音をたてていることに、二人がそれぞれ気づく場面。
ポルカも、オルタンスも、最初はわからないけれど、音が自分の中から聞こえてくるのだと気づきます。
はじめは気乗りしないオルタンスが「よし、ゆうきをだそう!」と決心する場面。そして自分のちからで頂上をめざそうと決心する場面が、かわいらしいイラストとともにしっかり描かれます。
哲学的な気づきと、美しい絵が魅力的な絵本。
幼い子だけでなく、小学生の子どもたちの心にも十分訴えるものがある絵本ですよ。
ポルカとオルタス、二人の家のインテリアや持ち物、道ばたの草花、茜色の夕焼け……。細部までイラストは見どころ満載です。
見返しに描かれた草花が、絵本の中のどこに出てくるか、さがしてみてくださいね。
年齢問わず多くの人に楽しんでもらいたいお話絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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