あかねは、赤い色が大好きな女の子。花屋さんで見つけたきれいな赤い花を、お母さんに買ってもらってご満悦。ところが、花はだんだん黒ずんで、赤ではなくなってしまう。あのきれいな赤い色はどこにいったのと疑問に思うあかねのもとに、不思議なおばあさんが訪ねてくる。
少女のかわいい疑問に端を発するストーリーは、一見ファンタジーのように幻想的だが、そこに描かれているのは生き物の生と死。あかねは花の色探しの過程で、過ぎていく日々が二度と戻らないのを知る。けれど、きっとあの真っ赤な花は忘れない。作者が試行錯誤して答えを出した、いのちと時への向き合い方を、やさしく描く。
落ち着いた色調の魅力的な絵で紡がれる、いのちの物語。ぬくもりが手元から伝わってくるようで、読後に、心の奥の辺りがじんわりと温まる。 ―― 教育新聞 書評より
続きを読む