ぼくが朝、目をさますと、ママときたら 「おはようじゃないわよ。はやく きがえて!」 「はやく かおを あらって!」 「はやく ごはん たべちゃいなさい!」 でもぼくはシャツを頭にかぶって「おばけ」になりきっているし、「くつをはいて!」と言われても、怪獣同士の闘いの真っ最中なのです。せっかく遊んでいるのに…。
「ママ、なんで、はやく はやく ばっかり いってるの?」
するとママが教えてくれるんです。それはね…って。「保育園に遅れる」とか「ママが会社に遅刻しちゃう」とか、その通りなんですけど、その先にもどんどんふたりの会話が広がっていくのが、楽しいところ。ママのお迎えが遅くなって、大好きなゆみこ先生も帰るのが遅くなって、そうするとゆみこ先生はどうなるか…?!
子どもにとって「約束におくれちゃうとどうなるか」が具体的に想像できる楽しさが、ほら、村上康成さんが描く「ぼく」の興味津々な顔にあらわれていますよ。
親子に愛される絵本や曲をたくさん作ってきた中川ひろたかさん。ちょっとマジメでない大人が出てくるところが素敵だったりします。中川さんと村上さんのコンビでは「ピーマン村の絵本」も大人気シリーズです。
きっと本書を読んだら、「なんで、はやくっていうの?」と子どもに質問され(責められ)ても、ポジティブに答えられそう。大人の約束なんて子どもには関係ないだろうけど…、ちょっぴり大人の世界をのぞいて“納得”してみるのも楽しいものですよね。「子ども時間」と「大人時間」が寄り添うひとときが描かれた絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ママ、なんで はやく はやく ばっかり いっているの? それはね… 子育てママ応援絵本!
おはようじゃないわよ。早く着替えて! 早く顔を洗って! 遊んでないで早くしてちょうだい! ママはなんで早く早くばっかり言うのかな? 思わず言ってしまうその言葉、もしかしたら親子のふれあいが始まる合図かも!?
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