山の大きな木の中住む世話好きのうさぎが、ある春の日に看板を出しました。
「もりのおへやをしょうかいします。おへやのことならおまかせください」
まもなく、2羽のおおこのはずくがやってきました。たまごを生んでひなを育てられる場所を探しているのです。
「おまかせください。ぴったりのおへやがありますよ」
うさぎは2羽のおおこのはずくを、白い花が咲き始めたりんごの木に案内しました。木の枝の付け根には大きな穴が開いています。2羽は大喜び。やがてそこで3羽のもこもこの産毛に覆われたひなが生まれることになるのです。
他にも、おいしい木のみが食べられる場所を探すやまね、冬眠の場所を探すくまなど、森の住人たちが次々とうさぎの元にやってきます。その度に、ぴったりの場所に連れて行くうさぎ。自分しか知らないとっておきの場所を、惜しげもなくみなに教えてあげます。
作者は「つるばら村」シリーズ(講談社)など、数多くの童話を手がける茂市久美子さんと、愛らしい動物のイラストで大注目の画家しもかわらゆみさん。優しい文章と繊細に描かれたイラストは、読んでいる人をとても穏やかな気持ちにさせてくれます。お二人コンビの作品には、他にも『ごちそう たべに きてください』(講談社)があり、この絵本の姉妹本です。この優しい雰囲気が気に入ったら、ぜひこちらも合わせてお楽しみください。
(出合聡美 絵本ナビライター)
しんせつなうさぎがある日、看板を出しました。「おへやのことならおまかせください」すむ場所を探す動物がつぎつぎにやってきて……。読み聞かせにもひとり読みにもぴったりの絵本。 読み聞かせ3歳から ひとり読み5歳から。
ぴったりの
『ごちそう たべに きてください』の姉妹編だそう。
わあ、またあの素敵な主人公に会えてうれしいです。
お世話をするのが大好きなうさぎが主人公。
今回は動物たちのお部屋探しですって。
それぞれに合ったお部屋を紹介し、アフターフォローも。
根底にあるのは、日頃のアンテナ。
「ぴったりの」というセリフに、自信が伺えます。
しもかわらゆみさんのリアルな絵が、その光景を生き生きと映し出します。
そして、動物たちの生態や、季節の移り変わりが丁寧に描かれ、
たっぷりと季節感を体感できます。
そして何より、うさぎのまなざしの優しさに、ほっこりさせてもらいました。
小学生くらいから、その優しさに触れてほしいです。
(レイラさん 50代・ママ 男の子30歳、男の子28歳)
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