母さんみたいになりたくて、きりんの子が背伸びをしています。くびをまっすぐぴーんと伸ばして、たかーく、ながーく。草原で一番高い木のてっぺんの葉っぱを食べたくて、毎日上を見て背伸びをしていたら母さんみたいに背が高くなっていました。
もっともっと伸ばしていたら、山よりも背が高くなり、草原の向こうの地平線のかたなまで見えるようになり、宇宙人とも友だちになり、さらにさらに……?
くびの長いきりんの子の夢は、もっとくびが長くなること。もっと遠くを見てみたくて、もっともっと知らない世界を知りたくて、毎日母さんを見上げながら背伸びをするのです。そんな可愛いらしくて壮大な夢を、山口マオさんの味わい深い版画の絵で縦にながーく優しく描きだします。
今度、親子で一緒に葉っぱを食べているきりんの親子を見かけたら、きっと大きな瞳の先に見ている夢を想像してみてしまうことでしょう。もしかしたら、背伸びだってしているかもしれませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
母さんみたいに背が高くなりたくて、きりんの子が背伸びをしています。きりんの子の優しい夢を、味わい深い版画で描きます。
■□■林 木林さんのメッセージ■□■ もしも、私がきりんだったとしましょう。すると、私はずっと遠くの景色まで見渡すことができるわけです。ですけど、ずっと遠くの景色を見ているうちに、その先の見えない景色が気になってきて、もっと遠くが見てみたいと思うだろうなと思うのです。できるかぎりの背伸びをして、首をぴーんと長く伸ばして、どうにかして、もっと遠くを見ようとするだろうなと思うのです。 そうして、もしも、どうにかこうにか、もっと遠くが見えるようになったとしましょう。すると、今度はその先のもっともっと遠くが見たいと思うだろうなと思うのです。四苦八苦してなんとか、もっともっと遠くが見えるようになったとしましょう。すると、更にもっともっともっと遠くが見たくて、ようやくまた見えるようになったとしても、そのまた向こうは、そのまた先は……となって、これってもう、きりンがないなと思うだろうなと思うのです。地球は丸いから、いつか一周して、自分の姿が見えるようになるのかなと思うだろうなと思うのです。
星もかじれる
縦に開く、珍しいタイプの絵本で、ワクワクしながら広げてみました。
首の長いきりんですが、きりんの子はお母さんのようになりたくて背伸びをします。
すると首が伸びて、木よりも高くなり、お母さんも超して、山よりも高くなり……。というおはなし。
星もかじれるほどになるというところが、うらやましく感じました。
「わにわに」シリーズの山口マオさんのユーモアのある版画のイラストがお話にぴったりあっていて、とても良かったです。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)
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