パレスチナ・ガザ地区で生まれ育ち、イスラエル侵攻を体験した女性が、自分をモデルに描いた絵本。 家族や友だち、空飛ぶ鳥……。心の中にあるものを絵にすることが、幼かった彼女にとっての救いでした−−。
マラクは、パレスチナのガザに暮らす、想像力豊かな女の子です。 ある日から、町では大きな爆発が続き、マラクは50日間も家の外に出ることができませんでした。 マラクは、いつの間にか、絵を描いていました。 家族や友だち、空飛ぶ鳥……。心の中にあるものを描いていると、気持ちが落ち着くのです。 そんなとき、1羽の鳥が窓辺に飛んできました−−。 ※小学1年生から
【作・絵】マラク・マタール(Malak Mattar) 1999年生まれ。パレスチナ・ガザ地区出身のアーティスト。13歳で絵を描き始める。2014年の51日間にわたるイスラエル軍のガザ攻撃で家に閉じこもることを余儀なくされ、SNSを通じて作品を世界に発信する。その才能は認められ、経済的に自立するとともに、世界各国で個展やグループ展を開催。イスタンブールのアイディン大学で学ぶ。
(マラクさんの言葉) パレスチナは、私が初めて絵画に刺激を受けた場所であり、絵を描き始めた場所であり、私の旅を支えてくれた家族のもとで育った場所です。 ガザの暮らしの中で、対立と不平等を目の当たりにしたことで、私は絵と物語を通じて、パレスチナとパレスチナ女性のために行動することを決めたのです。
【翻訳】さくまゆみこ 東京都出身。東京都立大学人文学部仏文科卒業。翻訳家。訳書は、絵本からYA小説、研究書に至るまで250点を超える。1999年『もうひとつの「アンネの日記」』で第46回産経児童出版文化賞・大賞など、受賞多数。日本国際児童図書評議会(JBBY)前会長。
ガザ地区のことを考える絵本
2024年の9月に出版された絵本です。
10年前に作者が実際に体験したことを描いた絵本だそうです。
ちょっと児童画にも思える絵は、10年前の作者自身に被るところがあります。
51日間で終わったというその時の悲惨な光景が、限りなく拡大された状況を思い浮かべるといたたまれません。
おばあちゃんの飼っていた白い鳥は、自由と平和の象徴でしょうか。
ガザ地区自体が大きな鳥かごだとイメージしたら、何と残虐なことが行われているのでしょうか。
この絵本は、子どもたちにガザ地区のことを伝える絵本であるために、刺激的な要素をとても抑えています。
でも、汲み取らなければいけないことと、今はイギリスに在住する作者の祖国に寄せる思いを受け止めなければいけないことを忘れてはいけません。
この本の売り上げの一部は「パレスチナ子どものキャンペーン」に寄付されるそうです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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