100年以上前のアメリカに「ロボ」と呼ばれる巨大なハイイロオオカミがいました。とても賢く、どんな毒入りの罠をしかけても、決してだまされることがありませんでした。 これは、ロボがどんなふうに大地をかけまわり、妻ブランカと情愛で結ばれていたのかを、追いかける人間(作者、アーネスト・T・シートン)の側から記録した物語です。
雨があまり降らない、赤茶けたニューメキシコ(いまのアメリカ南部一帯)の高原。しかし川沿いの低地には緑があふれ、たくさんの羊や牛が放牧されていました。そこに君臨するのが、オオカミ王、ロボでした。牧場主たちがどんなに用心しても、ロボとその仲間は、ねらった家畜を確実にしとめ、ゆうゆうと暮らしていました。 ロボの首には懸賞金がかけられますが、名だたる猟師が挑戦しては、みなことごとく失敗して去っていきます。 友人から話を聞いたシートンは、ロボとの知恵比べに挑みました。くふうをこらした罠をしかけ、足跡を追い、観察し、記録する日々が続きます。そしてついに、本物のロボを目の前にする日がやってきます・・・。
シートン動物記のなかで最も名高い作品『オオカミ王 ロボ』。いくつか訳本がありますが、本書は動物学者の今泉吉晴氏(ムササビ先生)が、様々な資料をもとに、あらたな解釈で訳しなおしたシリーズ「シートン動物記」の中の一冊です。 シリーズデザインは色あざやかな表紙に金泊押しで統一され、小さめのソフトカバーがおしゃれ。前半は読みやすい物語、後半はQ&Aや資料がぎっしりの2部構成。小学生が読みやすいよう、むずかしい漢字にはルビがふられています。 実は100年以上前にこの物語が発表されたとき、作者のもとに子どもたちからの手紙が殺到しました。「あなたは、あんなオオカミたちを殺すなんて、心もない人です」とシートンを非難する10歳の女の子の手紙が、Q&Aで紹介されていますが、それだけ多くの子がオオカミに心をよせたことは、当時、画期的なことだったのです。
時をこえ、オオカミはもはや世界的に激減している現代。『オオカミ王 ロボ』は、貴重な真実であるとともに、野生動物の知恵や存在感をわたしたちにひしひしと伝えてくれます。今なおわたしたちの胸をおどらせることを証明してくれるのです。本書にたっぷり収められた、シートン自ら描いたスケッチや絵は、野生動物を観察するときの心情にあふれて一見の価値あり。興味をもったら他の本(動物)もあわせて読んでみてくださいね。 小学生から大人まで、はるかかなたの動物の王国へ、一気にいざなってくれるでしょう。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
シートンがアメリカ・ニューメキシコのクルンパを支配するオオカミのロボに挑んだ壮絶な物語。 シートンは、メスのオオカミ・ブランカに対するロボの深い愛情に感動と後悔を抱く。 新しいシートン動物記第1弾!
まずはここから。
動物文学でも有名な「シートン動物記」。
動物好きなお子さんはもちろんですが、小学校高学年の読書に最適に思いました。
自然の中で生きる動物たちのたくましさと生きる力に感動しますね!
シリーズものなので気に入ったらどんどん読めるのも魅力ですね。 (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子8歳)
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