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作: 北村 直子  出版社: 偕成社 偕成社の特集ページがあります!
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  ハナをほじってもいいんじゃない!?『りゆうがあります』 ヨシタケシンスケさんインタビュー

───『りゆうがあります』は『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』を出版したブロンズ新社とは違う出版社での新刊になりますね。絵本の制作はいつごろからスタートしたのですか?

実は『りゆうがあります』を一緒に作った編集者さんが、最初にぼくに「絵本を作ってみませんか?」と声をかけてくれていたんです。その頃、ぼくはまだイラストレーターとしてしか仕事をしていなかったので、おはなしを頂いたときは嬉しかったのですが、さてどうしよう…と悩んでしまって。

───絵本とイラストでは、やはり考え方が違うのでしょうか?

ぼくの母は、家に絵本や児童書を集めて家庭文庫を開き、近所の子どもたちに絵本を伝える活動をずっとしていたので、ぼく自身は小さいころから絵本が身近にある環境でした。子どもの頃に絵本が好きだったからか、思い入れが強すぎて、いざ、絵本を描こうとしたとき、絵本には何か子どもに伝えることがなければいけない…という、凝り固まったイメージを持ってしまって、なかなかアイディアを出すことができませんでした。それと、ぼくは普段、イラストに色をつけることはないのですが、絵本の場合、色をつけるのが必須なので、色塗りが上手じゃないということも、絵本を作ることができない悩みでした。

───そんな中、『りんごかもしれない』のアイディアはどのように生まれたんですか?


貴重な制作風景を見せてもらいました。


『りんごかもしれない』のときは、編集の方から「何か1つのモチーフをいろんな見方をしてみる」というお題が与えられて、「それなら、こういう伝え方ができる、ああいう描き方ができる」とアイディアが湧いてきて作ることができた作品でした。悩みだった着色も、ブロンズ新社のデザイナーさんがつけてくれることになって、自分が苦手なものは誰かにお願いすればいいんだと分かり、ぼくなりの絵本の作り方があるとホッとしたんです。

───『りゆうがあります』は、今までの2冊と比べて、よりストーリー性がある物語だと感じました。


そうですね。今回、PHP研究所さんから出版する1冊目なので、最初の2冊とは違ったアプローチで描きたいと思っていました。おはなしがほとんど会話のやり取りで進んでいるんですが、本来なら「」(カギカッコ)の中に入っているような部分も手描きで描いています。ぼくの中ではマンガに近い感覚かなと思っているんです。

───どうしてそうしたんですか?

言い訳できる隙間を探した結果なんです…。ぼくは、ちゃんと絵本描いている人にはかなわないという思いがあって、「これは絵本とはちょっと違ったアプローチをしたものなんですよ…」という逃げ道を作っておかないと気持ち的に落ち着かないんです。

───なんだか、意外な理由でビックリしました。


絵本を作るときに何かしら自分が安心する理由を考えるというのは、『りんごかもしれない』を出したときから共通しているスタンスなんです。特に2冊目の『ぼくのニセモノをつくるには』は、アイデンティティがテーマの本でしたから、それこそ、専門書が世の中にたくさん出ていますし、人によっては、全部読んで勉強をしてから新たな作品を作る作家さんも多いと思うんです。でも、ぼくは本を読むのが得意ではないので、専門書をほとんど読まずに、想像できる範囲で作るしかなくて…。そこで見つけたのが「これは小学生の男の子が考えていることですから…」という逃げ道でした。

───それこそ、絵本を描くのにもヨシタケさんなりの逃げ道…「理由」が必要だったんですね。

本当にその通りなんです。なにかするときには、ひとつひとつ理由をつけて行かないと不安に感じてしまう性質で…。絵本など多くの人に見てもらう媒体で描くときは、偉い人から注意されるのが一番避けたくて(笑)。どうすれば怒られずにすむかを必ず考えて、安心してからじゃないと取りかかれないんです。『りんごかもしれない』を描いたときも、最初はもう少し教育的に、リンゴを色んな言葉で言ってみたり、産地を追ってみたりするアイディアを出したのですが、なかなか発想が広がらなくて…。あるとき、リンゴじゃなかったらどうなのか、「りんごかもしれない」という言葉が出てきて、急に自由になりました。これなら怒られない、だって空想だもんって(笑)。

───たしかに、「〜〜かもしれない」と言っているものに対して怒る人はいませんものね。

何でもありだし、うそつき放題(笑)。そういう描くときのスタンスはイラストも絵本も変わらないですね。下調べをして事実をまとめるということは、それを得意な人がやるべきであって、ぼくにはできないことなんです。なるべく読者の知識量に関係なく、多くの人がおもしろいと思ってくれるものを描きたいと思いますね。


手帳に描きこまれているスケッチ…小さい!

───イラストレーターのお仕事は、本当に日常を切り取って描いているところがすごいなと思ったんですが、イラストのネタはどんなときに思い浮かぶんですか?

普段から、手帳に描けるように紙をセットしておいて描いています。描いたものはファイリングして、絵本を描くときやイラストを描くときにパラパラとめくってみることもあります。

───すごい数のイラストを普段から描いているんですね! イラストにする基準はあるんですか? それとも、思いついたものをササっと描いているんですか?

これは、割と意識しながら描いていますね。記録に残しておかないと次の日には忘れてしまうくらいどうでもいいことを見つけて、「これだ!」と思ったときに描くんです。大事なことは描かなくても覚えていますから、ネタが記憶に残す価値のないくらいのものだと、より嬉しいんです。

───そうやって貯めてきたものから、絵本やイラストのアイディアが生まれるんですね。


普段から描きためたイラストファイルは53冊に…。


ネタだけは日頃から描きためているので、それをどう編集し直すかという部分で、外からのお題があるとやりやすいということに最近分かってきたんです。そのお題が自分では思い至らないようなものであればそれだけ、手持ちのネタをどう組み合わせたらそこに行きつくのか、面白くなるのか、考えるのが楽しいんです。

───お題に常に挑戦して表現するという意味では、イラストも絵本も同じなんですね。

普段から描いていることをどこに落とし込むかの違いなんです。絵本を描く中で、ぼくがイラストと大きく違うと感じたのは、32ページの中でストーリーを完成させないといけないところでした。

───物語構成や緩急のつけ方など、絵本独特な作業がありますよね。

元々、イラストも1コマで表現することが好きで、日常的にも描きためていたので、ネタはたくさんあるのですが、それをどの順番に並べたらより面白くなるのかを考える作業は新鮮で、やりがいがありました。もちろん、物語を作るプロの方にはかなわないかもしれないですが、そこはギリギリ、1個1個の発想の面白さで何とか勘弁してもらえないかな…と…そういう感じですね。

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ヨシタケシンスケ

  • 1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。

作品紹介

りゆうがあります
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作:ヨシタケシンスケ
出版社:PHP研究所
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