となりのトトロ となりのトトロ
原作: 宮崎 駿  出版社: 徳間書店 徳間書店の特集ページがあります!
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導入部分に試行錯誤

───「ギャップ」って、たとえばどんなことでしょうか。

まずは、さきほどお話しした、絵本には遊び方、楽しみ方の説明書はそぐわない、という問題。それと、もっと版型を大きくしたほうが広く受け入れられるんじゃないかと思ったんです。

───えっ、そうなんですか?子どもにはちょうどいいサイズだと思いますが・・・

たしかに小さな本は、子どもの手に持ちやすいし、手のひらの中で世界に入っていける良さがあります。「ピーターラビットの絵本」シリーズなんか素晴らしいですよね。「どっちが?絵本」シリーズも、外出先とかで遊ぶのに、この小さいサイズがいいな、という思いでちゃんと作ったんです。でも、出版社を通じて「うちの幼稚園でこんど読み聞かせに使いたいんですけれど、拡大コピーしてもいいですか?」というような問い合わせがしばしばくるようになりました。この絵本を作るときも多人数での読み聞かせのことはまったく考えてなかったので、小さすぎたかな、と気になってしまって。あと、小さい絵本って本屋さんではどうしても「あかちゃんえほん」コーナーなど、隅に追いやられてしまって、あまり手にとられないんですよ。そうした最初は考えていなかったいくつかのポイントをクリアしたら、この絵本の良さをもっと多くの人にわかってもらえるかもしれない、と思い “セルフ・リメイク”してみたいと編集者に相談したんです。

───おーっ、これがそのラフですね。

最初は単純に、もともとのものを拡大してちょこっと文字をいれ、周囲に絵を描きこんで、カラーにしたものでした。

でも実際に文字を入れてみると、どうしても文字が入っているほうのページ、たとえば左ページなら左ページに目線がいってしまう。せっかく左右対称のイラストになのに、文字があると左右均等に見られない。困ったなあと。そこで絵の位置を少し上に押し上げ、文字は左右の絵の下に並べることにしました。

次に、この絵本の遊び方をどうやったら自然に読者に伝えられるか考えました。悩んだ末、説明を別につけるのではなく、絵本の導入部分に組みこんでしまえばいいんじゃないかと思いつきました。そこで主人公の2人の子どもがステージ上にでっかい絵本を持ってきて、「さあ、『どっちがへん?』のはじまりはじまり〜」というふうに、本の中にさらに大きな見開きの絵本を展開する、Book in Book方式にしてみました。

 

 

でもラフを描いてみたら、もうひとつスムーズではない、必然性が足りない、と感じたんです。頭を悩ませた末、すべて白紙に戻して「2枚の絵はいったいどこから来たの?」「どうしてこんなことがおきてるの?」というところから設定しよう!と考えました。
そこで生まれたのが「どっちくん」と「へんくん」という双子のきょうだいです。お絵かきが大好きな双子がいたとする。双子って顔も似てるし、絵も似てるかもしれないけど、性格が違えば描く絵もちょっと違うことがあるかもしれないぞと。
さらに、それまで描いてきたラフにはいろんな登場人物を、そのときどきでバラバラに描いていたんですが、ふと、これみーんな家族にしたらどうなるかなと思いつきました。

僕の実家は、父・母・姉3人とおばあちゃんに僕、と7人家族でしたから、大家族っていいな、おもしろいよな、という記憶が強くあるんです。だから大家族の珍道中にしたらどうだろうと思いついたんでしょうね。
この絵本に描いた「おとうさん」と「おかあさん」は、実は僕の両親のイメージそのままです。技術者だった僕の父は太っていて、母はその時代の女性にしては背が高かった。「どっちくん」「へんくん」の双子に「おねえちゃん」「おにいちゃん」「いもうと」「おとうと」までいるという家族構成は、今ではなかなかないけど、その分どこか憧れもありますね(笑)。
お気づきかもしれませんが「どっちくん」と「へんくん」の髪形、「へ」と「ん」の形になっているんですよ。

───なるほど!それは・・・気づかなかったです!!(笑)


まゆを「へ」、鼻を「ん」にしたり、口を「ん」にしてみたり・・・

「へん」の髪形をいろいろ考えたスケッチ

絵本の基本舞台を、双子とその家族の日常、としたことで、全体の流れもスムーズに考えられるようになりました。まず、前半は家族のメンバー紹介です。ここでは、シンプルにひとりにつき、一か所だけへんなところがある。おとうさんはヒゲをはやしてるけどどこかへん。おかあさんはおしゃれが好きだけど絵を見比べるとどっちかがへん。


そして、家族紹介が終わったあとの後半は、みんなで旅行に行く場面を描くことにしました。そうしたら、それまでばらばらに描いていた動物園の場面も、風船の場面も、レストランの場面もぜーんぶうまくつながったんです(笑)。

さらに、後半は画面ぎっしり「へん」なことをいっぱい考えて描きました。実は、ひとつひとつのページにちゃんとテーマがあります。たとえば、この風船のページは「重力が逆になったら?」。そのテーマから発想して、重いはずの機関車が空を飛んだり、船と飛行機が入れかわるかも、と考えていきました。


重力が逆になったら?

大きいものと小さいものが入れかわったら?

動物園の場面のテーマは、「大きいものと小さいものが入れかわったら?」です。ゾウとネズミや、大人と子どもの大きさが入れかわるだけでなく、フラミンゴの首にぶらさがってみたいとか、うさぎの背中に乗ってみたいなとか、子どもになったつもりで「こういうことやってみたいなあ!」というイメージも盛りこみました。現実と想像、リアルとファンタジーの2つの世界を左右のページに描いたんです。
絵は、かなり細かくなったし、設定もぜんぜん違いますが、でも見返すと最初の3冊にアイデアのタネはぜんぶ入っているんですよ。

───本当ですね!


ほら、飛行機もこんなふうに。『どっちがへん?』と『どっちがへん?スペシャル』


ソフトクリームは・・・

こうなりました!

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【連載】こんにちは!世界の児童文学&絵本 オランダ<後編>
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いわい としお(いわいとしお)

  • 1962年生まれ。メディアアーティスト。子どものころに母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、代わりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚める。1985年、筑波大学芸術専門学群在学中に、第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。その後、国内外の多くの美術展に、観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し、注目を集める。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示『トトロぴょんぴょん』『上昇海流』や、ニンテンドーDSのアートソフト『エレクトロプランクトン』、ヤマハと共同開発した音と光を奏でる楽器『TENORI-ON』なども手がける。2007年、NHK教育の幼児番組『いないいないばぁっ!』でオープニングアニメーションを担当。著書に『いわいさんちへようこそ!』『いわいさんのどっちが?絵本』『いわいさんちのリベットくん』(以上、紀伊國屋書店)、『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』(以上、偕成社)、『光のえんぴつ、時間の粘土――図工とメディアをつなぐ特別授業』(美術出版社)、『アイデアはどこからやってくる?』(河出書房新社)などがある。

作品紹介

どっちがへん? スペシャル
作:いわい としお
出版社:紀伊国屋書店
どっちがへん?
作・絵:岩井俊雄
出版社:紀伊国屋書店
どっちがピンチ?
作・絵:岩井俊雄
出版社:紀伊国屋書店
どっちがどっち?
作・絵:岩井俊雄
出版社:紀伊国屋書店
いわいさんちへようこそ!
作・絵:岩井俊雄
出版社:紀伊国屋書店
100かいだてのいえ
100かいだてのいえの試し読みができます!
作:いわい としお
出版社:偕成社
ちか100かいだてのいえ
ちか100かいだてのいえの試し読みができます!
作:いわい としお
出版社:偕成社
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