おもいでいろの ねこ
- 作:
- PEIACO
- 出版社:
- Gakken
出版社エディターズブログ
2026.02.05
本作品は、(株)Gakken SEEDの月刊保育絵本「がっけんおはなしえほん にじ」2024年12月号に『しろねこの ミルク』として掲載。保育園・幼稚園の子どもたちや先生方から、「感動した! ぜひ多くの人に読んでほしい!」との声が多数寄せられ、今回の単行本発売となりました。
作者は、創作力と画力に定評のあるPEIACOさん。約2年半をかけて丁寧に作られた本作品は、人物や動物の表情、街の風景などが、画面の端まで優しく細やかに描かれていて、まるで上質な外国の絵本のよう。
その感動のストーリーを、少しだけご紹介します。
大好きな「ぼうや」と毎日を過ごす、しろねこの ぬいぐるみ「ミルク」。
ある日、ぼうやのもとに、新しい しろくまの ぬいぐるみが、やってきました。
「わあ、まっしろ ふわふわ!」と喜ぶ ぼうやを見て、ミルクの心はざわざわ…。
じぶんも、まっしろな けが じまんの はずだったのに…。
いつの まに こんなに よごれちゃったんだろう…。
ミルクの心を不安がよぎります。
なんとか昔の真っ白な自分に戻ろうと、みんなが寝静まった夜に、ミルクは一人でお風呂に入ったり、体に白い粉をはたいたり…。
ぼうやの前では、ぬいぐるみのミルク。けれど一人になるといきいきと動き出し、小さな体で不器用に一生懸命に奮闘する姿には胸がきゅんとなります。
でも…やっぱり白くはなりません。
家を出て、出会ったネズミやネコにも、なりふりかまわず聞いてみます。
でも、求める答えは返ってきません。いったいどうしたら、また白くなれるの…?
万策尽きたミルクがたどりついたのは、昔、自分がいた おもちゃ屋さんでした。
おじいさんにお願いします。「ぼくの こと、 もとの まっしろに もどして くれる?」
ミルクときちんと向き合い、話を聞いてくれるおじいさん。
小さないすにちょこんと座り、おじいさんをまっすぐ見つめるミルクから、切実な思いが伝わってきます。
話を聞き終わると、おじいさんはミルクに、汚れができた理由を一つ一つたずね始めました。
すると、ミルクの口から出てきたのは、ぼうやと過ごした、あの日のこと、この日のこと。
ミルクと一緒にいたい、ミルクが大切。そんな、ぼうやの思いがあふれたエピソードばかり。
おじいさんは言います。
「おまえさんに ついとるのは、よごれじゃ ない
ぜんぶ ぼうやとの おもいでの いろ
うんと だいじに されてる しるし」だと…。
そしてミルクは、おじいさんに聞きます。
「まっしろじゃ なくても、ぼうやは ぼくのこと すきかな?」
いちばん聞きたかった答えをもらったミルクは、安心してぼうやのもとに帰ります。
「まっしろじゃ なくてもいい」……あなたは そのままでいい。その あなただから いい。
それは、生きづらいと言われる今の世で、子どもも、大人も、誰もが求めている一言ではないでしょうか。
いつもそこにあった深い愛、丸ごと受け止めてもらえる喜び。
このお話は、そんな大切なことに気づかせてくれるのです。
いかがでしょうか? なんだか涙腺がつーんとしてきましたか?
お子さんと、お気に入りのぬいぐるみとの光景が浮かんでくる人もいるでしょう。
自分が幼い頃、いつも一緒に寝ていた「あの子」を思い出す人もいるかもしれません。
この、せつなくなるほどあったかい絵本『おもいでいろの ねこ』。
大切な人やお子さんへのプレゼントに、ぜひ選んでみませんか?
最後に、作者・PEIACOさんからのメッセージをお届けします。
――大切なものというのは、共に過ごす時間を重ねるほど魂が宿っていくように感じます。
それは、何にも代えられないかけがえのないものとなり、人生を豊かにしてくれます。これからを生きる子どもたちが、長く大切にしたいと思えるものに、どうか出会えますように――
PEIACO
この書籍を作った人
ぺいとあこ、二人組の絵本作家、イラストレーター。
小学校の同級生で2010年に結成。郊外の古い家で3匹のゆかいな猫と暮らす。
絵本に『こぐまになったピーナ』(教育画劇)、『5ひきのやどなしネコ』(私家版)、『ルンランルンラン』(世界文化社)など。
挿絵の仕事に『ねえねえ、きょうのおはなしは……』(再話・訳/大塚勇三・福音館書店)、『ミャルル・ペローに出会った夜』(作/野中柊・理論社)などがある。
ほかに、月刊絵本、雑誌、教科書などの作品多数。