ほんとうの よるを さがして
- 訳:
- ひさやま たいち
- 出版社:
- 評論社
絵本紹介
2026.03.27
子どもの頃に比べて一日、一年があっという間に過ぎていく。そう感じることは、人間にとって自然なことだそうです。19世紀のフランスの哲学者が提唱した法則によると、時間の長さの感覚は、歳を重ねるごとに加速するのだとか。何ともさみしくなりますが、それはあくまで“感覚”の話。自分次第で、時間をより長く深く味わうこともできるといいます。そのきっかけとなるのが、「ときめき」を日常に取り入れること。
常に手のひらにあるスマホを置いて、SNSの喧騒から離れてみませんか。たとえば、美しい一冊の本を手に取ってみたり。そこには映像も、音や声も、誰かのリアクションもない。あるのは、本の中で生きる人物たちと、美しい絵やことばのみです。静かにじっくりと向き合うことで、埋もれていた感性が研ぎ澄まされ、未知との出会いに心が震え。1分、1秒の流れは驚くほど低速でも、ゆっくり満ちていく心地よさに包まれます。
明るすぎる現代の夜の光の意味を問いかける絵本、1870 年代に起きた「家ごと引っ越す」といううそのような本当の話、幼い頃に親しんだ物語をもう一度。本を手に取って、珠玉のときめきを見つけてみてください。
出版社からの内容紹介
キツネと ムシと トリと カエルと クマは、
よるの くらやみを
さがしに でかけて……
でも、どこも かしこも ひかりだらけ!
ある日、キツネが巣穴から顔をのぞかせました。ムシがあたりを飛びまわっています。
「あかりを けして、ねむれない」。でも、あかりはついたまま。
街は人工の光があふれています。キツネとムシは「くらやみ」を探す旅に出ます。けれどもどこへ行っても、光、光、光。わたり鳥は迷い、カエルは鳴くのをやめ、クマは冬眠につくことができません。みんな次々と旅に加わり、一行は山、砂漠、砂山と旅路をゆきますが、「どこも かしこも ひかりだらけ!」
やがて海にたどりつき、たまごからかえったばかりのウミガメの赤ちゃんたちに出会います。仲間たちは方向を見失ったウミガメの赤ちゃんを導くために海に飛び込みます。
そしてたどり着いた小さな島で、ようやくさがしていた「ほんとうの よる」をみつけたのです。
「ほんとうの よる」を探す旅をえがき、まだあまり知られていない光の害、光害について教えてくれる絵本です。
光害できずついた世界で、あかりを消すことの大切さを、そっと、そして力強く伝えます。
みんなが、ほんとうの夜に出会えるように――。
この書籍を作った人
翻訳家。英米の絵本や物語の翻訳を手がける。おもな絵本の翻訳に『ずーっと ずっと だいすきだよ』『まじょとねこどんほうきでゆくよ』『グラファロ―もりでいちばんつよいのは?―』『スパーキーとスパイク―チャールズ・シュルツとせかいいちゆうめいなイヌのおはなし―』(すべて評論社)などがある。
この書籍を作った人
作家、編集者。両親を早くになくしたがために幼い弟をひとりで育てることになったいきさつを書いた、青春小説のような回想録『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』(文藝春秋)でデビュー。文芸雑誌の編集や社会活動に積極的にかかわりながら小説もてがける。『王様のためのホログラム』『ザ・サークル』(以上、早川書房)は映画化もされた。サンフランシスコ在住。
この書籍を作った人
福島県に生まれる。早稲田大学卒業。翻訳家、エッセイスト。絵本の翻訳に『プレストとゼストリンボランドをいく』(岩波書店)、『ベンソン先生にあたしはきっと★はもらえない』『おっこちてきた』(光村教育図書)など多数。
この書籍を作った人
1907年埼玉県生まれ。1951年に『ノンちゃん雲に乗る』で文部大臣賞受賞。1953年児童文学に貢献したことにより菊池寛賞受賞。童話に『三月ひなのつき』『山のトムさん』、絵本に『くいしんぼうのはなこさん』『ありこのおつかい』(以上福音館書店)、翻訳に『クマのプーさん』『たのしい川べ』(以上岩波書店)など多数。
文/竹原雅子 編集/木村春子