こくとう ぴょ〜
- 作:
- 高橋久美子
- 絵:
- 加藤 休ミ
- 出版社:
- あかね書房
太陽の光をたっぷり浴び、人が手をかけて育てるサトウキビ。そのサトウキビが黒糖に姿を変えるのは……? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は『こくとう ぴょ〜』。愛媛のサトウキビ畑と黒糖工場を舞台にした、壮大な黒糖作りのお話。いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
朝露の中、ほかほかいい気持ちの土の中で目を覚ましたのは、サトウキビ。耕されたサトウキビ畑にやってきたセキレイが声をかけます。
「ことしも おいしい こくとう できると いいですね」
サトウキビは、山風がふく畑で、さっちゃんたちに手をかけられ、太陽の光をたっぷり浴び、秋の台風にも耐え、ぐんぐん背がのび大きくなっていく。お正月が明ければ収穫の時期。刈り取られたサトウキビは山の黒糖工場へ。そうして、いよいよ黒糖づくりが始まるのです。本当にこの青々としたサトウキビが、甘くて美味しい黒糖へと変身するのでしょうか?
「よろしくおねがいします!」
ローラーを通ってぺちゃんこに搾られたサトウキビは、薪をくべられ長い長いおふろの時間。焦げないよう見張られていると、だんだんどろどろしてきて……。
愛媛のサトウキビ畑と黒糖工場を舞台にし、黒糖が完成するまでの過程を「サトウキビの言葉」によって丁寧に語られるこの物語。
なにしろ、前半では青々と生い茂るたくましい姿。味だって、ただ草みたいな味がしていたサトウキビなのです。
「ぼくらは につまって キャラメルみたいに どろどろしてきた」
後半になると一気に姿を変え、緊張感が張り詰める中で劇的に変身していくその様子に、誰もが釘付けになってしまうことでしょう。
いよいよ変身の時……「ぶしゅー!!!」
作者は作家・作詞家として活動しながら、故郷の愛媛で一年の半分を農家として過ごされている高橋久美子さん。そこへ何度も取材で訪れ、黒糖づくりの作業を経験した上で絵を描かれたのは画家・絵本作家の加藤休ミさん。煮えたぎり、まぜられながら黄金のように輝いていく黒糖の色は、濃密で上品。そして生命力に溢れているのです。
たくさんのサトウキビからとれる黒糖はごくわずか。栄養たっぷり、食べれば思わず「ぴょ〜」となる! さあ、めしあがれ。
それは美味いにちがいない!
「みんなの からだの なかに はいって ぼくらは たいように なるのさ」
サトウキビが黒糖に姿を変える。その様子を見たこともなければ、想像したこともなかったはずなのに、それがどれだけ美味しいものなのか、最後に発した黒糖の言葉に納得してしまうのです。軽快な言葉のリズムと迫力の絵で「ぴょ〜」と味わう、たべもの絵本。体験してみてくださいね。
この書籍を作った人
1982年、愛媛県生まれ。チャットモンチーでの音楽活動を経て2012年より作家・作詞家としてエッセイや絵本の執筆、歌詞提供など幅広く活躍している。近著に、エッセイ集『いっぴき』(筑摩書房)、絵本『赤い金魚と赤いとうがらし』(mille books)など。訳書『おかあさんはね』(マイクロマガジン社)が第9回ようちえん絵本大賞受賞。
この書籍を作った人
1976年、北海道釧路市出身。クレヨン 画家、絵本作家。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、ノスタルジックな情景や滑稽味のある人物画や、なかでも食べ物を描いた作品は定評がある。2010年から築地、西荻窪、北海道立釧路芸術館にて展覧会「魚展」開催。絵本に『ともだちやま』(ビリケン出版)、『きょうのごはん』(偕成社)、『りきしのほし』(イースト・プレス)、『おさかないちば』(講談社)、『かんなじじおどり』(BL出版)、『いっすんこじろう』(文・内田麟太郎/WAEV出版)、『ながしまのまんげつ』(原作 林家彦いち/小学館)など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。