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絵・文: 川浦 良枝  出版社: 白泉社 白泉社の特集ページがあります!
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『1日7分の絵本で子どもの頭はみるみる良くなる!』浜島代志子さん×金柿秀幸(絵本ナビ代表)対談

物語を読むことが、教科の成績も上げるという事実。

金柿:浜島代志子さんは、以前、学校の先生をされていたそうですね。

浜島:神戸の中学校の教員でした。短い年月でしたけどおもしろかったですよ。何がおもしろいって、物語を「対話」しながら感情を込めて読むことで、教科の成績も上げることができると、生徒に教えられたことです。絵本や物語で授業をしたら、手ごたえがすごくありました。
文法は踊りながら覚えちゃえばいいのよ、と歌って踊って教えるから、生徒には大人気。そして成績が上がるの。でも、こんなやり方で成績が上がるはずがない、インチキしているんじゃないかと疑われて、国語の主任や校長先生に呼ばれたりしましたよ。学校の中で物語教育をするのはむずかしい。ならば社会教育でやろうと思って、図書館を作る活動や、読み語りの活動をはじめました。

金柿:絵本が、子どもの成長や学力にむすびつくことを、ぼくもすごく感じます。一緒に絵本を読みながら、子どもが考えたり感じたりすることを日々語り合う、親子の「対話」がありました。絵本の習慣の中で、親子のコミュニケーションの習慣ができて、ずっと続けてきたのがよかったんだろうなと。子どもの感性や知的好奇心が育つことで、大人にとっても得るものが大きいと感じます。

浜島:幼少期からの継続が素晴らしいです。「対話式・読み聞かせ」のねらいは、子どもの気持ちに寄り添い、声を拾い上げる、本音を引き出す、興味・関心の幅を広げ、深くすること。たとえば、次のような感じです。

お母さん「『3びきのくま』。読もうね。ね、見て。くまさん、何匹、いるかな?」
子ども 「3びきじゃないよ。4ひきだよ」
お母さん「え? 4匹? へんねえ、どこに4匹、いる?」
子ども 「ほら、ここ!(子グマが手にしているぬいぐるみのくまを指さす)」
お母さん「ああ、ぬいぐるみのくまさんね。すごい! お母さん、気がつかなかったわ。じゃ、数えてみようね」
子ども 「ねっ! いたでしょ! 教えてあげるよ」
2人  「1、2、3、4。4匹のくま!」

これは『3びきのくま』(ポール・ガルドン/作、多田ひろみ/訳、ほるぷ出版)を読んでいるところです。 脳の9割が完成すると言われる、6歳までにこんなふうに絵本をたくさん読んでほしいのです。絵本をツールにして、頭と心をつかって感じて考えていくと、学力の土台ができますよ。


『3びきのくま』を例にあげて「対話式」を解説しているページ。子どもの本音を引き出し、興味・関心を深めるのがねらい。

金柿:だからと言って、「お勉強」の雰囲気が出てしまうとやっぱり楽しくないですよね。

浜島:もちろんです。だからね、お父さんが絵本を読むのもいいですよ。おすすめ。お父さんの読み方って、お母さんよりもいい加減だったりするの。それがいいんですよ(笑)。

金柿:お父さんがいい加減に読むと、子どもに「飛ばした!」「今ちがうこといった!」と怒られますが(笑)。

浜島:いいのよ、そういういい加減さも、子どもにはほっとするところなの。それに、お父さんが絵本を読むようになると、お母さんはラクになりますよ。「your storytelling ok, my storytelling ok」なの。それぞれ、あなたらしく読んでね、って。お父さんの声とお母さんの声と、ちがうでしょう。同じ絵本でも、ぜんぜんちがって聞こえたりしますよ。

金柿:『1日7分の絵本で子どもの頭はみるみる良くなる!』の、年齢別のおすすめ絵本の中で、たとえばお父さんが読むとしたら、どんな絵本がいいでしょう?


4歳になったら「原因があるから結果がある」ということがわかる絵本を選びます、と浜島さん。


4歳には、長めのストーリーもOK。『三びきのやぎのがらがらどん』は、4歳のときにぜひ読み聞かせたい絵本だそう。

浜島:『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)。これはね、男性の声のほうがぜったいいいですよ。3びきのやぎが、トロルと出会って、障害を乗り越えていく成長の3過程ですよね。絵を描いたマーシャ・ブラウンはもともと舞台美術家で、作り方がとてもドラマチックです。

金柿:だ〜〜れだ〜〜〜〜(低い声)。


『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン/絵、瀬田貞二/訳、福音館書店)より

浜島:そうそう。迫力があります(笑)。『ラチとらいおん』(福音館書店)も、よわむしだった男の子が自分を克服するお話。パパが読んでもいいかもしれないわね。


『ラチとらいおん』(マレーク・ベロニカ/文・絵、徳永康元/訳、福音館書店)より

金柿:宮西達也さんの『おまえ うまそうだな』(ポプラ社)は、子どもが乗り越えるというより、大人が乗り越えるお話ですね。子どもが生まれることでお父さんになるのではなく、子どもに頼られ、「守らなきゃ!」と思うことでお父さんになるんだと感じます。「ぼく、おとうさんみたいになりたいんだ!」なんて言われたらぐっときちゃいますねえ。

浜島:エリック・カールさんの絵本もどれもいいですよ。パパの目線で描かれているものがたくさんあります。『とうさんはタツノオトシゴ』(偕成社)は子育て父さんならではの絵本ですね。

金柿:男親は「絵本を読む自分がちょっと恥ずかしい」という照れがありますが、エリック・カール、レオ・レオニ宮西達也さんの絵本には、男性も共感できるものが多くて、すっと入っていける気がします。


『フレデリック』(レオ・レオニ/作、谷川俊太郎/訳、好学社)より


『パパ、お月さまとって!』(エリック・カール/作・絵、森比佐志/訳、偕成社)より

浜島:お父さんもお母さんも、お子さんが生まれたら、生後2、3か月から読みはじめてみてください。あかちゃんが、絵本を開くとじっと見つめて、反応しますよ。
色彩の赤は、認識しやすい色です。あとは「音」ですね。0歳7〜8か月になると、言葉をおぼえたい気持ちがあるから、『じゃあじゃあびりびり』(偕成社)で、びりびりと紙を破ってみせると覚えます。11か月くらいになると『ノンタンぶらんこのせて』(偕成社)の「おまけのおまけのきしゃぽっぽ」が大好きですよ。何回もこのページを読むことになるんじゃないかしら。

ちびゴリラのちびちび』(ほるぷ出版)には、ゴリラのお父さんとお母さんが出てくるでしょう。この絵本を読んであげると、子どもは、「愛されている」と感じるんです。大人にはゴリラにしか見えないのに、子どもには「ちびちび」が自分だと思える。0歳や1歳のあかちゃんがこの絵本を開くと「あー、あーっ!」と言うのは、「それは自分だ」って言ってるんですよね。この絵本の中に入り込んでいるんです。


『ちびゴリラのちびちび』(ルース・ボーンスタイン/作・絵、岩田みみ/訳、ほるぷ出版)より

金柿:数えきれないくらいの絵本を娘に読んできましたが、「いちばん好きな絵本は?」と先日たずねたら、『ちびゴリラのちびちび』でした。ちびゴリラが森のみんなに愛されて、でもだんだん大きくなってちびのゴリラではなくなる。でも、大きくなってもみんな変わらずきみのことを大好きだからね、というメッセージが絵本に込められている。成長した今も励みになるんだろうなと、感慨深かったです。

浜島:子どもが「生まれてきてよかった」と自信をもてる絵本ですよね。「何歳になってもずーっとこんなふうにお祝いするよ」というメッセージを感じて、「よかった〜」って、子どもはほっとするのよ。

金柿:4歳のおすすめ絵本には、『ぼくはくまのままでいたかったのに……』(ほるぷ出版)があって、おもしろいなと思いました。シュールな絵本ですよね。

浜島:冬眠から目覚めたくまは、工場が建っていて驚きます。くまは、人間だと思われて、工場勤めをさせられます。「ぼくは、くまなんだけど……」と言ってもまわりの誰も信じてくれない。くまは、くまなのに…。この絵本はね、子どもがとても共感するんですよ。ちょっと古い本なので、本屋さんになかったら、図書館で探してぜひ読んであげてくださいね。


『ぼくはくまのままでいたかったのに……』(イエルク・シュタイナー/作、イエルク・ミュラー/絵、おおしまかおり/訳、ほるぷ出版)より。

浜島:絵本には、人生への励ましがあります。『はらぺこあおむし』の最後の場面ね、読み聞かせのとき「蝶々、きれいだねえ」と言ったら「わかんないの?」と1人の男の子に言われたんですよ(笑)。何のことだかわからなくて「わからないから、おしえてくれる?」とたのんだら、「あおむしがたべたもの、みーんな、ここにはいってるよ!」って。私、800人くらいの子どもの前で、「ええっ」とびっくりしてしまって。本当にそのとおりでした。

金柿:本当ですね! ナシも、スモモも、苺も、ピクルスもチーズも……みんな入っていますね。いい話ですねえ、それは。ぼくも気づかなかったです。


『はらぺこあおむし』(エリック・カール/作・絵、森比佐志/訳、偕成社)より。

浜島:子どもは怖いお客さんですよ(笑)。私が本に書いたことはぜんぶ子どもたちから教えてもらったこと。子どもたちのおかげなんですよ。私が読んだ絵本を、聞いてくれた子どもたちがいたから。

『えを かく かく かく』の中で「くろい しろくまだ」というページがあるでしょう。幼稚園でここを読んだとき、どんな反応をするかなあと思ったの。「くろい しろくまだ。ぼくは かく。かんぺきに!」と読んだら「そうだ!」と大声で相づちを打った子たちがいました。「ここにしろがあるじゃん」「かくれているだけなのに。大人のくせにわからないの?」と。子どもはみんなわかっていますよね。


『えを かく かく かく』(エリック・カール/作・絵、アーサー・ビナード/訳、偕成社)より。「くろいしろくまだ。」

金柿:大人はどうしても常識で考えてしまいますよね……。
子どもが幼い頃は、好きな絵本ほど、びりびり破いてしまいます。子どもが眠ったあと、夜中にセロテープで補修する時間は、幸せな時間でした。うちの『はらぺこあおむし』も補修の跡だらけです。絵本が宝物になっていくんですね。 1日7分絵本を読み、親子の対話を続けることで、たくさんの宝物ができますね。

浜島:絵本の読み聞かせは、「絵本貯金」。言葉かけと愛情こそが、子どもの一生を支えます。1日7分の絵本で子どもの興味・関心と、自由な創造力を育ててあげてくださいね。それが「学力」と「生きる力」につながります。

金柿:ありがとうございました。


それぞれ1冊ずつ選んだ、年齢別おすすめの絵本を前に。

インタビュー・構成・文: 大和田佳世(絵本ナビ ライター)
撮影: 所靖子

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浜島代志子(はましま・よしこ)

  • インドネシア、ジャカルタ生まれ。神戸大学文学部国文学科卒。中学国語科教諭を 経て、松戸市に住む。松戸に図書館を設立する運動、図書館運営ののち、おはなし専門団体「松戸市おはなしキャラバン」を設立。1995 年から「劇団天童」を設立し、全国で公演、指導を展開。2014 年、えほん教育協会設立。子どもの成長過程における絵本の重要性を訴え、これまで 49 年間で延べ 423 万人に絵本教育を実践してきた。
    現在も、絵本実演、講座、講演、執筆、絵本講師育成、オリジナル絵本の出版など、 多岐にわたって、絵本教育の普及に励んでいる。著書には、『えほん育児学のすすめ』『ママ おはなし もっとして 1 ~ 3』『やさしい 人形劇 No.1 ~ No.4』(以上、偕成社)、『おはなし上手は子育て上手』『昔ばなしは今ばなし』(以上、大月書店)、『絵本があれば だいじょうぶ!』(じゃこめてい出版)など多数。えほん教育協会会長。絵本読み語りアカデミー総長。元郡山女子大学短期大学部講師。
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