てんじつき さわるえほん なにをたべてきたの?
- 文:
- 岸田 衿子
- 絵:
- 長野 博一
- 出版社:
- 佼成出版社
絵本紹介
2026.07.23
祝・60周年! 世代を超えて愛される出版社のアニバーサリーを一緒にお祝いしよう!
子どもの頃、ページが破れるほど繰り返し読んだお気に入りの絵本。お子さんが大好きでずっと持っていた思い出の一冊。特別な絵本と出会ったときのワクワクや、胸いっぱいに広がったやさしい気持ちは、今でも私たちの心の中でキラキラと輝いています。
長く続いている子どもの本の出版社の周年をお祝いする連載。今回ご紹介するのは『なにをたべてきたの?』や『つきよのかいじゅう』、「工藤ノリコのピヨピヨ絵本」シリーズなど笑いと優しい心を育む絵本を出版し続ける「佼成出版社」です。
出版社からの内容紹介
おなかがすいたしろぶたくん。そんなにいそいでどこいくの?
りんごを食べると、おなかに赤い色がついて、とてもきれい!
1978年に発刊して以来、多くの方にご愛読いただいているロングセラー絵本が「点字つき触る絵本」になりました。
点字つき触る絵本は「見える人」も「見えない人」も一緒に楽しめる絵本です。
特殊な透明インクを使って、絵の上に点字と触図(触ることができる絵)を立体的に印刷しています。登場するくだものや、ぶたくんたちのさわり心地も、それぞれちがうものになっています。
文字は大きく、太く。絵の位置も一部変更して、より多くの人に読んでもらえる工夫がされています。
裏表紙の二次元コードからは、『おかあさんといっしょ』で歌のお姉さんを務めた神崎ゆう子さんの朗読も聞くことができます。
目で見て、手で触って、耳で聞いて、みんなで楽しめる絵本です。
みどころ
まくらの仙人が、お供のしきさん、かけさんと散歩をしていると、どうやらおかしなことが起きている。ぞうさんがもがいているのです。どうなっているのかと言うと。
「鼻が穴から抜けなくなってしまって。ふんが、ふんが」
それはお困りだ。すると隣では、なんときりんさんが「ふんぎ、ふんぎ」。その隣ではうさぎさん、たこさんまで……。みんな穴から抜けられなくなってもがいている。
「これは、ただごとではないな」
そうなのです。ただごとではないのです。何とかしてくださいよ、仙人さま。ところが、その仙人さままで!? ダメじゃない、仙人さま。もうどうにもならないかと読者のみんなが諦めかけたその時。
「こうなったら『そこのあなた』に頼むしかないな」
えっ、そこのあなたって、誰のこと? すっかり話に夢中になっていたけれど、ここまで来てはっと気が付くのです。どうやらこの絵本、ただの絵本ではないってことに。予測もしなかった驚きのしかけが隠れているってことに。
かがくいひろしさんがのこしてくれたのは、ちょっとへんてこりんなキャラクターと一緒に、誰もが笑顔になる、誰もが嬉しくなる、そして誰もが「参加することができる」、最高の1冊です。これは盛り上がりますよ!
みどころ
「こんどのれんきゅう、おんせんランドでもいこうか」
登場したのは、さつまあげのおとうさん、たまごのおかあさん、むすこのばくだんくん、とおなじみのおでんの種。えっ、おでんがおんせんに?その設定だけですでにワクワクしてしまうこちらのお話。
さあ、おでんだけに、予約の「おでんわ」をかけて「おでんしゃ」に乗って出かけますよ。
「おでんしゃ」には、他にもがんもどきの家族や、ちくわの家族が乗っていて。着いた「おんせんランド」もたくさんのお客たちでにぎわっています。
おでん親子も「ねりのま」でゆかたに着替えたら、早速おふろに。さてはじめはどこから?「なんでもけいけんだ」というさつまあげのおとうさんに連れられて入るのは、おしるこのゆ!まっくろでどろどろで甘いにおいのするお湯なんて大丈夫なんでしょうか?これははじめからすごい挑戦です。この他にも、クリームシチューのゆ、ゆどうふのゆ、よせなべのゆ、ちゃんこのゆ、チーズフォンデュのゆ、おぞうにのゆ、ラーメンのゆ、おでんのゆ…と「おんせんランド」には楽しくて美味しそうなおふろが満載です。でもやっぱりおでん親子が長居してしまったのは…?
設定もさることながら何といってもおかしいのは、登場人物?のユニークさ。おしるこのゆでとろけかかったおもちとか、チーズフォンデュのゆに入ってカリフラワーになってしまったブロッコリー、おでんのゆでは、お湯に浸かりすぎて体がほどけてしまったこんぶ巻や、なかなか芯が温まらず3日間も入り続けているというだいこんなど、さまざまな人間模様(おでんの種模様?)がたまりません。
あ〜、なんだか、ほっこり。
ダジャレが効いてリズム感たっぷりの中川ひろたかさんの文章と、長谷川義史さんのユーモアたっぷり生き生きとしたおでん達の絵に笑っているうちに、心も体もすっかり温められて、本の持つ楽しさがたっぷり伝わるこちらの1冊。ご家庭や学校での読み聞かせにもぜひおすすめですよ。
みどころ
「ねえ、うみのむこうに、ゾウっていう いきものが いるんだって。
もしかしたら あんたのなかまじゃないかしら。」
この島に一頭しかいないゾウガメのこうらの上で、小さなヒワはうれしそうに話す。
ゾウガメは固くて石のようなむねがどきんとなり、こおどりしたい気持ちになった。
「あたしが たしかめてくる。 あんたは だいじな ともだちだから」
ヒワはゾウガメのために、まだ見たことのない「ゾウ」を探しに飛び立っていった。
ともだちだとヒワは言う。だけどそんなわけはないじゃないか、心の深いくらがりでゾウガメは呼びかける。
実際ゾウガメには「こえ」というものがない。ヒワの語りかける言葉に返事をすることができない。その上、ゾウガメはそうやってともだちになった小鳥たちが、みんないなくなっていくことを知っているのだ。
ヒワだって、いつかいなくなる。だったら、ともだちになどならないほうがいい・・・。
やがてヒワが姿を見せなくなり、最初は何とも思っていなかったゾウガメは、いてもたってもいられなくなり、地響きをたてながら島じゅうを探しまわった。そして、崖にあがり、海の向こうのはるか彼方に目をこらすのだった。
ともだちとは。かけがいのない存在とは。
ずっと一緒にいられること? なんでも話し合えるってこと?
長く生きるゾウガメにとって、ヒワの存在はあまりにもはかなく不確かなもの。だけど物語の中で、二人の強い思いはお互いの心に届くのです。
その瞬間、読者の心にはどんな気持ちが生まれてくるのでしょう。誰のことを思い浮かべるのでしょう。
ミロコマチコさんの描く、多くは語らないゾウガメの、でもその意思の強さを感じる表情。山のようにそびえたつゾウガメに対して小さく可憐に飛び回るヒワ。それらの絵の力がさらに心に迫り、読み終わった後も忘れられない1冊になりそうです。
出版社からの内容紹介
「コット、ドライブに いくよ」
「ドライブ? それって どこに あるの?」
「ドライブってね、くるまで おでかけすること。
さ、じゅんび じゅんび」
大好きなおとうさんと、はじめてのドライブ。
出発して降り出した通り雨は、すぐにやみました。
「さあ、いまから トンネルに はいりまーす」
「おとうさん。トンネル、くらくて こわい」
すると、おとうさんが
「だいじょうぶ。かがみに うつる おとうさんの かおに ごちゅうもく」
と言って、へんな顔をしてみせました。
コットも負けじと、へんな顔をしてみせます。
「うーわっはっはっはー」「うーわっはっはっはー」
「ほら、もう こわいの とんでった」
トンネルを抜けたコットたちを待っていたのは、大きな湖と白鳥、そして桜の木。
白鳥はこれから北に向けて長い旅に出ること、四季それぞれに桜の木が変化していくこと、おとうさんは、コットの目に映るものをひとつひとつていねいに教えてくれます。
「もう おひさまが いえに かえっていく じかんだ。コットも いえに かえろうか」
おひさまが沈むと、夜がやってきて、また新しい一日がはじまる。
移ろいゆく世界を見ながら、コットはふと思いました。
ずっと かわらないことって あるのかな――
おとうさんがくれた、とっておきの言葉とは……?
2026年8月29日、佼成出版社は60周年を迎えます。ここまで出版を続けてこられたのは、読者の皆様のおかげです。また素晴らしい作品を作ってくださった著者の方々、製作や運搬、販売に関わってくださったすべての方に感謝を申し上げます。これからも、喜んでいただける書籍を発刊していけるよう努めてまいりますので、今後とも佼成出版社の書籍をどうぞよろしくお願いいたします。