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えほん新定番 from 好書好日

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インタビュー

2026.08.18

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わたなべあやさん「おやさい生活えほん」シリーズ 野菜たちと一緒にねんねの仕方や「ごめんなさい」を学ぼう <from好書好日>

夏休みも真っ只中。つい夜更かしをしたり、朝の支度がゆっくりになったりと、生活リズムや習慣が乱れがちな時期です。そんなときこそ、親子で楽しく生活習慣を見直してみませんか。わたなべあやさんの「おやさい生活えほん」シリーズは、子どもたちに身近な“生活の基本”を、かわいらしいおやさいたちと一緒に楽しく学べる絵本です。朝日新聞社の本の情報サイト「好書好日」より、作者・わたなべさんのインタビューを紹介します。(インタビュー:加治佐志津 写真:加藤梢)

この人にインタビューしました

わたなべ あや

わたなべ あや (わたなべあや)

絵本作家。1978年生まれ、埼玉県出身。武蔵野美術短期大学卒業。主な絵本に、『ごめんやさい』『おしえてくやさーい』(おやさい生活えほんシリーズ/ひかりのくに)、『おさんぽのおやくそくだもの』(文・きだにやすのり/あかね書房)、『おせちいっかのおしょうがつ』(佼成出版社)、『なっとうぼうや』(学研プラス)、『ごはんのとも』(文・苅田澄子/アリス館)、『おだんごねこさま』(文・令丈ヒロ子/岩崎書店)、『いちごサンタ』(文・大塚健太/kodomoe2021年12月号付録絵本)など。食べ物と子育てをテーマにしたユーモアあふれる絵本を描いている。

シリーズ誕生のきっかけは1本の電話から

――「おやさい生活えほん」シリーズの1作目『おやすみやさい』(ひかりのくに)は、かわいい野菜の子どもたちが気持ちのいい布団で眠りにつく様子を描いた絵本です。どのような経緯でこのシリーズは生まれたのですか?

きっかけは大阪の出版社からの1本の電話でした。ぜひ描いてほしい作品があるとのことで、その後、編集者さんが書いた企画書と、『おやすみやさい』『すっぽんぽーん』の2冊分の文章、おおまかな台割がFAXで送られてきたんです。企画書には、赤ちゃんに楽しく生活習慣を覚えさせることをテーマとした絵本だとありました。

文章も魅力的で、読んだら頭の中にぱっと絵が浮かびました。私なりの表現で絵本として落とし込むこともイメージできたので、二つ返事で引き受けました。

当初からシリーズ化したいと聞いていたので、まずはどんなタッチで描くべきか、じっくり考えました。編集者さんは『おとうふちゃん』(学研)の絵を気に入って声をかけてくださったそうなんですが、『おとうふちゃん』の絵は平面的で、ちょっと違うかなと思って。できるだけ定番絵本っぽい装いの絵にしたいけれど、どうすればいいのかと悩んでしまったので、夫に相談してみました。夫は私と同じく絵描きで、短大の子ども学科で図工を教えているんです。夫からのアドバイスで、影をつけて立体的なキャラクターにしてみたところ、とてもしっくり来たので、その技法で描いていくことにしました。

『おやすみやさい』(ひかりのくに)より。野菜の姿は写真や図鑑などを参考にして、リアルさにこだわった。ラフではもこもこしていたにんじんの葉っぱも、絵本ではより本物に近い形で表現されている

背景はあえて描いていません。それ以前に手がけたお話の絵本では、背景もかなり描き込んでいたんですが、このシリーズは赤ちゃん向けなので、極力シンプルな形にしています。『おやすみやさい』では、夜だということがわかるように、後ろに窓だけ描きました。

―― とうもろこしのつぶつぶちゃんたちが、一人一人おまるに座って、おやすみ前のトイレを済ませる見開きが、かわいくてお気に入りです。

私もです。とうもろこしのつぶつぶちゃんたちのページは、小さな子どもがおまるでトイレする姿を想像しながら描いていくのが楽しかったですね。にこにこ笑顔で座っている子もいれば、うーんと顔を赤くしてがんばっている子もいたり、すっきりした表情で去っていく子もいたり……一人一人表情を描き分けているので、じっくり見てもらえたらうれしいです。

絵本の絵の楽しさって、文章には書かれていないことまで描かれているところだと思うんですよね。私自身、いろいろと想像して描き込んでいくのが好きなので、『おやすみやさい』でもいくつか私なりのアイデアを絵の中に付け加えています。たとえば、にんじんちゃんたちのけんかのシーン。最初のラフでは、枕を取り合う様子を描いていたんですが、途中でにんじんと言えば馬だよなと思いついて、枕ではなく馬のぬいぐるみにしてみました。

――「おやさい生活えほん」シリーズには、キャベツにたまねぎ、にんじん、じゃがいも、トマトといった定番野菜から、白菜、れんこん、ごぼう、さらにはもやしまで、さまざまな野菜が彩りも鮮やかに登場しています。どの野菜も表情豊かで、愛らしいキャラクターとして描かれているのがとても印象的です。

子どもの頃、母がお弁当に入れてくれたピーマンの醤油炒めが大好きでした。母は料理が得意で、いろいろなものを作ってくれたのですが、私にとって母の味というと野菜料理が浮かびます。子どもに栄養のあるものを食べさせたいという思いもあったんでしょうね。私の子どもたちも野菜の好き嫌いはほとんどないので助かっていますが、野菜が苦手な子や、食わず嫌いで食べてくれない子もいると思うので、この絵本をきっかけに、野菜に愛着を感じてもらえたらいいなと思います。

「おやさい生活えほん」シリーズ当初に描いたキャラクターのラフ

野菜をキャラクター化して描くのは、まったく苦になりません。これまでも食べ物が主役の絵本をいくつも作ってきましたが、私にとっては人間よりも食べ物の方が感情移入しやすくて、すんなり描けるんです。「おやさい生活えほん」シリーズでは、にんじんちゃんはやんちゃに、きゃべつちゃんはちょっぴりセクシーに、はくさいさんは肝っ玉母ちゃん風に……と、お話の中で見えてくるそれぞれの性格を手がかりにしつつ、野菜たちが元気に動き回る姿を想像しながら描くのを楽しんでいます。

表紙には基本的に、お話の中に出てくる野菜を全員描いています。どの野菜を登場させるかで、表紙の雰囲気もがらりと変わってくるので、色合いも考えながら野菜のキャラクターを決めるようにしています。料理の盛り付けや、お弁当を詰めるのとちょっと似ていて面白いですね。

 

子育ての経験を生かした絵本作り

―― 「おやさい生活えほん」シリーズは、寝かしつけやお風呂、あいさつ、マナー、友達と遊ぶ際のルールなど、小さな子どもに教えておきたい生活習慣を題材にしています。

3作目の『ごめんやさい』以降は、私もそれまでの子育ての経験を生かしたり、周りから聞く子育ての困りごとを参考にしたりしつつ、編集者さんと相談しながらテーマを決めています。『かたづけやさーい』は息子が片付けをしなくて困っていたことから、『ごめんやさい』は甥っ子がなかなか「ごめんなさい」を言えないと聞いたことから生まれました。また、読者アンケートで「きょうだいげんかをテーマにしてほしい」とリクエストをもらったことがあって、我が家も兄妹げんかには手を焼いていたので、仲良く遊ぶことをテーマに『けんかはやめやさ〜い』を作りました。

――いわゆる“しつけ絵本”とも言えますが、制作にあたって心がけていたことは?

シリーズ全体を通して心がけているのは、必ずユーモアを入れること。しつけの要素が強すぎると、子どもにとっては面白いものではなくなってしまうし、読み聞かせするママやパパも楽しめないと思うからです。私も子どもたちが小さかった頃は、実家には頼りづらいし、夫の帰りも遅いしで、ひとりで大変な思いをしながら面倒を見ていたことがありました。そんな時に助けられたのが、子どもとの間でときどき起こる笑い。一緒に笑うだけで気持ちがほぐれて、心が楽になったんです。「おやさい生活えほん」シリーズの読者の皆さんにも、絵本をきっかけに少しでも親子一緒に笑う時間が増えたらいいなと願っています。

―― 担当編集者の退職を機に、9作目の『けんかはやめやさ〜い』以降は文章を夫のきだにやすのりさんが担当しているそうですね。

夫はシリーズ開始当初から、演出家のような立場で制作に関わってくれています。私は、キャラクターを考えて命を吹き込むところまでは得意なのですが、そのキャラクターがお話の中でどう動くとより伝わるか、夫が細かなところまで気づいて教えてくれるので、とても助かっています。夫からのアドバイスには、毎回「なるほど!」と感心させられてばかり。一人だと思いつくことも限られてしまいますが、夫がいることで、絵本の世界観が広がっていく気がします。一緒に絵本を作ってもらえて、本当にありがたいなと感謝しています。

「好書好日」で読む

記事に登場した作品をピックアップしてご紹介します。「おやさい生活えほん」シリーズ全作品につきましては、シリーズのリンクをご参照ください。

  • おやすみやさい

    出版社からの内容紹介

    いろんな野菜の兄弟が「おやすみやさーい」と促されてそれぞれの気持ちのいい布団に入って眠りにつきます。育児の悩みの一つ“ねかしつけ”にぴったりのかわいい絵本です。

「おやさい生活えほん」シリーズ

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