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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「ショートショートの神様」、星新一作品が絵本でよみがえる!「星新一ショートショートえほん」シリーズ 中島梨絵さん 田中六大さん ももろさん インタビュー

「原住犬」の描き方に、悩みました。

サーカスの旅/薬と夢
作:星 新一
絵:ももろ
出版社:三起商行(ミキハウス)

宇宙を旅していた犬のサーカス団。 食料をもとめて降りたった星は、 「犬ばかりの星」だった。 動物の夢が見られるふしぎな薬。 ためしてみたアール氏が よくばってしまったばっかりに…… 動物が好きな人におすすめの 2つのお話をどうぞ。

───ももろさんは、ご両親も星新一が好きで、子どものころから星新一作品を楽しまれてきたということですが、今回担当された『サーカスの旅/薬と夢』は、動物がたくさん登場する、とてもかわいい作品ですよね。

ももろ:そうなんです。星新一さんの作品で、動物がメインで出てくる作品はそれほど多くないのですが、高橋さんが一生懸命探してくれて、担当させてくださいました。

───『サーカスの旅』は星々を回り、犬たちの芸を見せて回る、サーカス団のおはなし。彼らが不時着した未知の星が、犬ばかりの星だったことで起こる、思わぬ逆転劇が面白かったです。

ももろ:ありがとうございます。元々動物を描くのが好きで、この絵本のおはなしをいただいたときも、すごく張り切っていたのですが、「サーカスの旅」を読んだとき「原住犬ってなに?!」と思ってしまいました。普通の犬ではないだろう、でも、あまり犬とかけ離れてしまってはいけないだろう、一体、どんな姿をしているんだろうといろいろ悩みました。


普通の犬たち(左)と原住犬(右)。

───絵本の中には、装飾品を身にまとった、とてもカラフルな「原住犬」たちが登場しますが、このデザインになるまでにもいろいろ試行錯誤があったのですね。ほかに、悩まれた場面などはありますか?

ももろ:高橋さんに指摘されて、何度も描き直したのは未知の星に生えている植物でした。原作では「うまそうな実」としか書かれていないので、最初はメロンやリンゴなど、一般的な果物の絵を描いていたんです。でも、「未知の星の実なのだから、もっと変わった形と色にしてみたらどうでしょう」と言われ……。あまり奇抜な形にしてしまうと、植物だと分かってもらえないかもしれないし、色も美味しそうに見える色にしないと文章と差が出てしまう……と。最終的に、今の色と形に落ち着きましたが、星新一さんにこのイメージで良いのか、もし生きていらしたら、聞いてみたいと思いました。

───原作に「メロンのような」という感じで、一言でもイメージが書いてあったら、楽だったかもしれませんね。

ももろ:ショートショートは無駄を極限まで省いて書かれているものなので、絵を描く方からすると、想像を膨らませる面白さがある半面、もう少し情報が欲しい! と思うことも多かったです。

───そういう意味では、「薬と夢」は近未来の作品ではありますが、登場する動物は一般的なものばかりなので、楽しく描けたのではないですか?

ももろ:そうですね。

───エフ博士が開発した、動物の夢を見ることができる薬。その薬を飲んだアール氏が、本当に夢の中で動物と楽しく遊ぶという、とても夢あふれるおはなしですよね。ももろさんも、こんな薬があったら、飲んでみたいと思いますか?

ももろ:面白そうなので、ちょっと興味がありますね。でも、このおはなしのアール氏のようなオチが待っていると思うと……。あまり気安く飲めないかもしれないです(笑)。

───「薬と夢」では、構図に悩まれたところなど、苦労した部分はありましたか?

ももろ:この作品は本当に楽しく、構図もススっと出てきて描けました。

中島:私、この絵本を読んですごいな〜と思ったのが、アール氏が3粒薬を飲んでしまって、ネコと犬とライオンが出てきてしまうという場面。ももろさんは、文字を上手に配置して絵と組み合わせているんですよ。この発想は絵本を描かれる方ならではだなと思いました。

───たしかに、コマ割のようになっていて、読みやすいですよね。

ももろ:文章の置き方や、絵の構図のバランスなどは、今まで絵本を作っていく中で、編集者さんから色々教えてもらってきました。中島さんが言っていたネコと犬とライオンが出てくる場面も、ここでぎゅっと要素を詰めておいて、ページをめくったときに、描き込みを減らした絵を描く。すると、おはなしに緩急がついて、おはなしのイメージにグッと近づく感じがすると思うんです。

───次のページの荒涼とした感じが、より引き立っていますね。

中島:「おーい でてこーい」は、特に文章がとても多かったので、文章と絵をどうやってバランスよく見せるか、悩む部分も多かったんです。私は絵本の経験があまりないので、ももろさんのように文字を分けるような構図が思い浮かばなくて。田中六大さんの「とりひき」の中でコマ割りのような絵の描き方をしていて、読んだとき「なるほど!」って思ったんです。

───みなさんは、今回の企画の前に打ち合わせで集まったり、お互いのことを知る機会はあったのですか?

田中:どなたが何の作品を担当されるかは聞いていましたが、直接お会いしたり、お話しするのは、このインタビューが初めてなんです。

───そうなんですか。絵本が出版されて、お互いの作品を見たとき、どう思いましたか?

ももろ:まず、表紙のイメージが3作品とも違っていて、なるほどと思いました。たしかに、高橋さんからは、表紙のテイストが被らないように打ち合わせをしていたのですが、こんなに違った印象になるとは、正直思いませんでした。

田中:あとは、中島さんもおっしゃっていたように、文章の長さと絵をどうバランスよく組み合わせるか……というのを、みなさんいろいろ工夫されているなと思いました。ぼくは結構、デザイナーさんにお任せというところも多かったので、二人の描き方に、なるほど……と感じていました。

中島:田中さんは、熱帯雨林の中やゾウの体の部分に文字を載せるよう、考えて描かれているんです。絵と文章が邪魔することなく一体となっていて、すごいなと思いました。

───発売後、周りの方の反応などはいかがでしたか?

ももろ:とにかく、「星新一」の名前の後に自分の名前が載っていることに、自分が驚いて、そのあと、友人たちから「すごいね!」って感想をたくさんもらいました。

中島:分かります! 「星新一 作」と同じ大きさだったので、私もドキッとして、「もっと小さくても良いのに……」って思いました(笑)。私はまだ、子どものいる友だちから感想を聞いていないので、早く聞いてみたいです。

ももろ:うちに届いたとき、真っ先に夫が『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』を手に取って読んでましたよ。後ろでじっと見ていると、「おーい でてこーい」のラストで、「おっ!」って低くうめくような声が聞こえて、シメシメって思いました。

中島:本当ですか? 嬉しいです。

田中:うちは、5歳と2歳の子がいるんですが、『友を失った夜/とりひき』はちょっとまだ早いかな……。でも、ももろさんの作品なら5歳児も楽しんでくれるかも。今度、読んでみます。

───星新一作品というと、今まで、小学校中高学年から出会うイメージがあったと思いますが、このシリーズが出版されることで、小さいお子さんにも星新一の面白さが伝わるというのが嬉しいですよね。今回、第1弾として、3冊出版されましたが、第2弾、第3弾も続く予定でしょうか。

ミキハウス・佐藤:もちろんです! 「宮沢賢治の絵本」シリーズ同様、ミキハウスの絵本として長く続けていきたいと思っています。

───もう第2弾の作品や画家さんなどは決まっているのですか?

風讃社・高橋:作品のラインアップはある程度固まってきていますが、画家の方はまだ探し中です。

───みなさんは、星新一さんの作品の中で、これを絵本にしてほしい、この作品に絵を描いてみたいという希望はありますか?

中島:絵本では無理だと思うんですけど、『ボッコちゃん』がすごく好きなので、絵を描く機会があったら描いてみたいですね。

───星新一といえば、まず最初に思い浮かべる代表作ですね。

ももろ:私は、『ある夜の物語』という作品が、絵本にしやすいのではないかって思います。

───それは、どんなおはなしなんですか?

ももろ:クリスマスイブの晩に、サンタクロースがある男の元に訪れて、「あなたの願いを叶えましょう」というんです。でも、その人は、自分よりももっと不幸な人がいるから、そちらの願いをかなえてくださいとサンタさんにお願いするんです。そこで、サンタさんがその人の所に行って、願いをかなえようとすると、その人も別の人の願いを叶えてほしいとお願いする。すると、最後に……というおはなしです。

───すごくあたたかい気持ちになるおはなしですね。

高橋:『ある夜の物語』は、今後のラインナップに入っています。

───田中さんはどうですか?

田中:ぼくは今すぐには思いつかないんですが、『ボッコちゃん』のような少し過激に感じる物語も、星新一作品の特徴だと思うので、絵本になる範囲で、取り上げてほしいと思いますね。

ミキハウス・佐藤:絵本の中に、読者の方の感想を送っていただく、「読者カード」が入っていますので、ぜひ、「星新一ショートショートえほん」シリーズを手にされた方は、「星さんのこの作品を絵本にしてほしい!」という感想を書いて送っていただければ嬉しいです。今後のシリーズ構成の参考にさせていただきます。

───読者の方から、どんな候補作品が上がってくるのか、楽しみですね。「星新一ショートショートえほん」シリーズについて、いろいろ伺ってきましたが、最後にみなさんから、絵本ナビユーザーに向けてメッセージをいただけますでしょうか。

ももろ:親御さん世代が知っている星新一作品の絵本シリーズです。お子さんと一緒に、この作品を読むことで、同じ作品を共有するきっかけになると思います。そうして、今まで長めの作品とかを手に取らなかったお子さんが、ちょっとでも文庫や小説に興味を持つきっかけになってくれると嬉しいです。特に『サーカスの旅/薬と夢』は、動物がたくさん出てくるので、絵本としても楽しんでいただけると思います。

中島:私が絵を担当した『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』は、読みはじめた瞬間に最後がどうなるんだろう……とすごく気になる作品だと思います。はじめて読む方は特に、どんな結末になるのかを想像しながら、楽しんでいただけたら嬉しいです。

田中:小さいお子さんは絵を楽しんで、小学生以上のお子さんには物語も味わっていただけるシリーズだと思います。星新一作品の文体を略すことなく、すべて載せているのもこのシリーズの特徴です。絵本を卒業した子どもたちが、ほかの星新一作品に興味を持つ、橋渡しのような役割を感じてもらえたら嬉しいです。

───ありがとうございました。



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取材・文/木村春子
撮影/所靖子

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中島梨絵(なかじまりえ)

  • イラストレーター。書籍の装画や雑誌の挿絵などで活動中。 装画に『夏が君を走らせる』(瀬尾まいこ著/新潮社)や『理科準備室のヴィーナス』(戸森しるこ著/講談社)『美女と野獣』(ボーモン夫人/新潮社)など。 絵本に『12星座とギリシャ神話の絵本』作/沼澤茂美 脇屋奈々代 絵/中島梨絵(あすなろ書房)などもある。

ももろ

  • 神奈川在住イラストレーター。書籍の挿絵のほか、雑貨やぬいぐるみデザイン、広告も手がけるなど幅広い分野で活動中。オリジナル雑貨Bitte Mitte展開中。

田中六大(たなかろくだい)

  • 1980年、東京都生まれ。多摩美術大学大学院修了。漫画家・イラストレーター。漫画に『クッキー缶の街めぐり』(青林工藝舎)、挿画に『ひらけ!なんきんまめ』(作・竹下文子/小峰書店)、「日曜日」シリーズ(作・村上しいこ/講談社)、『4月のおはなし ドキドキ新学期』(作・はやみねかおる/講談社)、絵本に『だいくのたこ8さん』(作・内田麟太郎/くもん出版)、『ねこやのみいちゃん』(作・竹下文子/アリス館)、『しょうがっこうへ いこう』(作・斉藤洋/講談社)、『おすしですし!』(作・林木林/あかね書房)、『ぼくは ねんちょうさん』(作・サトシン/小学館)など。作・絵ともにオリジナル作品に『でんせつの いきものを さがせ! ネッシー・ツチノコ・カッパはどこだ?』(講談社)がある。

作品紹介

おーい でてこーい/鏡のなかの犬
作:星 新一
絵:中島 梨絵
出版社:三起商行(ミキハウス)
サーカスの旅/薬と夢
作:星 新一
絵:ももろ
出版社:三起商行(ミキハウス)
友を失った夜/とりひき
作:星 新一
絵:田中 六大
出版社:三起商行(ミキハウス)
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