しばわんこの和の行事えほん しばわんこの和の行事えほん しばわんこの和の行事えほんの試し読みができます!
絵・文: 川浦 良枝  出版社: 白泉社 白泉社の特集ページがあります!
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じんぺいは、「チェス」との出会いがあってこそ生まれたキャラクター

───それにしても、じんぺいのいばり顔はまったく変わらなくて、本当に愛らしいですよね。

長年描いていると上手になってしまうので(笑)、当時のような勢いのある線を描くことはできなくてちょっと苦労したけど、同じになるようにがんばりましたよ。画法も以前とは違うんです。以前はペンで線を描いて、色は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のパーセントで細かく指定をして、印刷所に色をつけてもらっていたの。今は、ペンで描いたものをパソコンにとりこんで、データ上で彩色をしています。

いばりいぬシリーズの第2集を描く少し前に、雑誌「コミックモーニング(現在の「モーニング」)」(講談社)のカラーページで漫画の連載をしていました。
当時はわたせせいぞうさんの漫画を連載していたような頃で、豪華なカラーページの細かい色指定を、自由にさせてもらえたのね。その経験もあってカラーチャートは頭に入っていましたから。


レトロな模様のカーテンも、細かい色指定!「あいつ まどから ではいり。」(『こんにちは ねこ』より)

───きたやまようこさんといえば「おにのこあかたろうのほん」シリーズ(偕成社)や、アンドレ・ダーハンの絵本作品の翻訳を手がけるなど、様々なお仕事をしていらっしゃるとは思っていましたが……「モーニング」で描いていたこともあったんですね!

子どもの頃から、漫画を描いたり、絵本をつくったりして遊んでいる子でしたから、ずっとその延長というか、今も昔もそんなに変わらないわね(笑)。

───ちなみに、じんぺいを描こうと思ったのは、どんなきっかけがあったのですか?

このシリーズを描くことになる数年前に、ハスキー犬を飼うことになって、その犬の「チェス」との生活がはじまりました。生後50日目でわが家にやって来たんだけど、最初はあまりにしつけが大変で……。子育てならぬ「犬育て」のために、一年間は仕事を休んで、チェスとひたすら向きあって過ごすことになりました。
一年がすぎて、チェスは27キロを超える立派な成犬になり、わたしも仕事を再開していたのですが、あるとき、わたしのなかにチェスの子どものときの顔が浮かんできました。それが最初の「おれ、いぬ。」の顔です。

───ちょっと下から見上げる感じの……この顔ですね(笑)。

よし、犬を主人公にした話を描こうと思って……子どものときのチェスの顔を思い出しながら、この絵を描いて、彩色して切り抜いて壁に貼って、しばらく話しかけたり挨拶したりしていたの。
わたしはいつもそうなのよ。何週間か、たいてい何か月間か……、キャラクターが生き生きと動き出すまで、朝起きたら「おはよう」とか、「今日は○○をするのよ」とか何でもないことを話しかけて過ごすの。

このときもそうしていたら、「おれ、いぬ。」と絵が話し出して、一気に「いばりいぬ」のお話ができました。1冊の絵本にするには長すぎたから、3つに割ってできたのが『ゆうたはともだち』『ゆうたとさんぽする』『ゆうたのゆめをみる』の3冊です。

───そもそもなぜシベリアンハスキーを飼うことになったんですか?

あるときシベリアンハスキーの子犬の写真を見て、その青い目から目が離せなくなって……。どんな犬なのか、とにかく一度この目で見たいという一心で、ブリーダーのところまで行ったんです。その頃はハスキー犬なんてほとんど知られていないし、わたしも「飼いたい」なんて本気では思っていなくて。うちではずっと猫を飼っていましたしね。ただ見たかったの。そこにいたのが「チェス」だった。

3頭くらいいたハスキー犬の中で、1頭はメスのしっかりしたいい子でね、ブリーダーはその子をすすめようと思っていたんじゃないかしら。でも、チェスがわたしのひざの上にのぼってきて、いきなりお茶のみ茶碗に顔をつっこんだの。そしたら、もう手放せなくなってしまって。家族にも相談せず、その日に家に連れて帰りました。

───連れてきた頃はどんな感じだったんですか?

わたしを母親だと思っているから、家にいるときは、べったりでした。お茶碗を洗っているとスリッパの間で寝てるし、ずっとくっついて歩く。わたしが出かけると情緒不安定になって、おふろ場からプラスチック製品をもってきてぜーんぶ一口サイズに噛み砕いちゃうんですよ。革張りのソファーも1つかじって壊しました。

───え、革張りのソファを!? 解体しちゃったんですか?

そう。何でもかんでも壊して、すごかったの。とにかく最初はやんちゃで、しつけのために犬の訓練士に頼もうか迷ったくらい。でも当時は、今みたいに訓練士が自宅まで出張して来てくれるなんてことはまだないから、警察犬の訓練所に半年から1年間も預けなくちゃならないの。
それはちょっとできないなと。ならば、りっぱな犬にするために、私がやるしかないと思って、道具を揃えて、本を買って勉強して……。犬は一年で成犬になるから、本当は大型犬の場合はもう少しかかるらしいけど、とにかく一年間で、わたしが不在でもちゃんと留守番できる犬に育てようと。

───大変だから、やっぱり飼うのをあきらめようということにはならなかったんですね。

まさか。チェスを連れてくるときね、「わたしが世界一幸せな犬にしてあげる」って約束したの。本当に世界一幸せだったかどうだかはわからないですけど……。


きたやまさんの愛犬、青い目のチェス。

仕事を断ってチェスと過ごした年は、1冊も本を出していません。連れてこなければよかったと思ったことは一度もないけれど、毎日ほとんどの時間をチェスと過ごして、複雑な気持ちになるときもありましたよ。
毎日朝と夕方、1時間半ずつ散歩するんだけど、チェスについて行くと何度も迷子になって、家に帰れなくなるの。その後しばらく経ってからシベリアンハスキーの本が出て、読んだらシベリアンハスキーの行動範囲ってすごく広いのね。一日に何十キロも歩くの。海外では、出かけた犬が何日も帰ってこないなんて、よくあることなんですって。

チェスを連れて来たのが3月末か4月で、免疫の関係で戸外に出せるようになったのがGW明け。夏に向かって陽射しがどんどん強くなる時期に、毎日8時間くらい犬と外にいたのよ(笑)。真っ黒に日焼けするし、犬といるかごはん作るかくらいしかできない日々で、わたしは仕事もせず何をやっているんだろうとこっそり涙を流したこともありました。子育て中の気持ちとほとんど同じだと思う(笑)。
泣いたことなんてチェスには絶対に言わない。言わないけど、チェスが知ったら100パーセント慰めてくれたでしょうけどね。

───チェスの前で言ったら、チェスにはわかっちゃう?

絶対わかる。やっぱりかしこい犬だったと思うのね。最初に頭を下げるあいさつを教えたら、3日で覚えたもの。
うなずくことが「YES」の意味になって、たとえば散歩中に「どっちの道に行きたい?」とたずねると行きたい方に頭を向けるし、「○○したい?」と聞いて、したいときはウンって頭を下げる。「NO」のときは何もしない。

夏は朝の5時半くらいに散歩に連れていっていたんだけど、明日は誰々が行くからね、というとその人を起こしにいくの。おじいちゃんだからねと言うと、ドアに体当たりして起こしにいったり、わたしだからねと言うと翌朝枕元でじーっと顔を見つめて起きるのを待っていたり(笑)。

───「犬育て」の真っ最中は、後にいばりいぬの話を描こうとか、そんなこと思っていないわけですよね?

ぜんぜん思ってないです。

───チェスとの出会いがあって、お仕事を休んで、再開して……。その2年後に「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズがはじまるわけですが、きたやまさんにとって、なぜ、チェスとの出会いの先に、シリーズの誕生があったのでしょうか。

チェスは自分が犬であることにすごく誇りがある犬だったの。媚びないし、犬の友だちをすごく大事にする。頑固というんじゃなく、ただ1本揺るがないものがあって、自分というものを決して曲げない。
生き方とか在り方の、ひとつの美的感覚を教えてくれたと思います。それが、わたしの性格と響き合ったんじゃないかな。

たとえば、散歩にいくと必ず挨拶する人がいて、好きな人と嫌いな人がはっきりしていました。花屋さんのおじさんが好きで、おじさんが店の外に出て来てくれると、必ず肩に前足をかけて立ち上がって、顔をひとなめして挨拶するのね。

あとパン屋のご主人が好きで、必ず寄るんだけど、あるときお店がすごく混んでておじさんが出てこられなかったの。娘さんが食べ物をもって出てきてくれたんだけど、食べようとしない。チェスにとっては、食べ物をもらうために来たんじゃない、おじさんに会いに来たんだと。だからようやくお店がすいてきて、おじさんが出てきてくれて「ごめんね、チェスくん」と言いながら、シーチキンの缶詰とかお肉をくれるんだけど、そうすると、食べるの。おじさんに挨拶して食べ物をもらう、それもコミュニケーションなのね。だから、いくらおいしいものをくれるといっても、好きじゃない人だったら見向きもしませんでした。

わたしから見て、チェスが好きな人とそうでない人の違いがどこにあるのか、わからない。でも、本当の意味でやさしい人、ちゃんと向きあってくれる人が好きだったんじゃないかと思います。


「みんな いっしょに いるのが すき。」(『ゆうたとかぞく』より)


「おれ ふとんの うえで ねる。」(『ゆうたのゆめをみる』より)

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きたやま ようこ(北山 葉子)

  • 1949年、東京生まれ。文化学院卒。絵本作家。「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ(あかね書房)で講談社出版文化賞絵本賞、「りっぱな犬になる方法」(理論社)で産経児童出版文化賞推薦、「じんぺいの絵日記」(あかね書房)で路傍の石幼少年文学賞など受賞多数。

作品紹介

ゆうたはともだち
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたとさんぽする
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたのゆめをみる
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたとかぞく
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたのおかあさん
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたのおとうさん
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
こんにちはむし
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
こんにちはねこ
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
こんにちはいぬ
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたのおじいちゃん
ゆうたのおじいちゃんの試し読みができます!
作:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたのおばあちゃん
ゆうたのおばあちゃんの試し読みができます!
作:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
別巻じんぺいの絵日記
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
別巻じんぺいの絵日記・2ともだちがきた
作・絵:きたやま ようこ
出版社:あかね書房
ゆうたくんちのいばりいぬミニ第3集(3冊セット)
作・絵:きたやまようこ
出版社:あかね書房
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