●もったいないばあさん、こんどは天国と地獄へいっちゃうの!?
───朝日小学生新聞の連載をまとめたのが『もったいないばあさんが くるよ!』(2005年)『もったいないこと してないかい?』(2007年)の2冊。そして「もったいないばあさんのワールドレポート展」から『もったいないばあさんと考えよう 世界のこと』『もったいないばあさんと考えよう 世界のこと 生きものがきえる』の2冊が生まれます。
その後、待望の続編絵本『もったいないばあさんの いただきます』(2009年)を出版! 番外編絵本のような感じで2011年に『もったいないばあさん まほうのくにへ』『もったいないばあさん もりへいく』の2冊が刊行されましたね。
『もったいないばあさんの てんごくと じごくのはなし』は実に3年ぶりのシリーズ最新刊です! 楽しみにしていた方も多いはず。でも・・・森のつぎは、どこへいくかと思ったら、天国と地獄? もったいないばあさん、死んじゃったの!?
そう言われるかも、と思いました(笑)。だいじょうぶ、死んでいません。元気です。もったいないばあさんはいろんなところを見にいくおばあさん。前は江戸時代にも、魔法の国にもいっています。今回は天国と地獄がどんなところかを見にいって、そこで見たお話をわたしたちに教えてくれました。
───どこへでもいくおばあさんだとは思っていたけど、まさか地獄まで!(笑)
『もったいないばあさんの てんごくと じごくのはなし』は、説話や寓話として古くから伝えられているお話がもとになっています。私が知ったのは、たしか数十年前の漫画の中で紹介されていたのが最初でした。天国と地獄の人たちはなにが違うのか、わかりやすいお話だなあ、と印象的だったのをよく覚えています。いつかこのテーマを盛りこんだお話を書きたいなと思っていました。
───もったいないばあさんが暗い道をてくてく歩いていると、こわい顔の鬼とたくさんの人たちがあらわれます。「ここはじごくのいりぐちだ おとなしくならんでまっていろ!」 なかをのぞくと、大きな鍋に熱いスープがぐーらぐら。みんなわれ先に食べようと争い、こぼしてしまう。そこで「もったいない!」ともったいないばあさんが出ていきますが、「あっちいけ!」と鬼にとばされてびょーん・・・(笑)
この場面、読み聞かせをするとだいたい子どもたちが「あははは!」と笑います(笑)。
───とっても痛そうですけどね(笑)。もったいないばあさんが鬼にとばされて、ついたところは天国の入口。同じように大きなお鍋と柄の長いスプーンがあるけれど、みんなにこにこして互いに「どうぞ」と食べさせあっているんですね。すごい!
───おもしろいお話だなと思うのですが、『もったいないばあさんの てんごくと じごくのはなし』は、構想から完成まで、どれくらいかかったんですか?
構想は長いです。数十年前に知ったお話がもとになっているくらいですから。でも、「もったいないばあさん」シリーズ10周年の新作絵本として、このお話ですすめていこうと決めたのは、一年くらい前かな。
───絵は、どのような手法で描いているんですか。
●もったいないばあさんの原画はすごいです
───もしかして、原画は重いですか?
1冊分まとめるとすごく重いです。紙を重ねてのりで貼っているので、おさえるのが大変です。
(現編集者):原画は迫力ありますよ。真珠さんのハサミとのりのテクニックはすごいです。
いえいえ(笑)。
───もったいないばあさんが地獄からとばされて、ふんわりおりたくもの上。透明感のある美しいお花畑はどうやって描いているのかなあと思っていました。
台紙となるクラフト紙に、白いくもを描いて、その上から、和紙に淡いピンクの絵の具で彩色したお花を貼りつけているんです。そして、もったいないばあさんや天女さまを貼りこんでいます。
───原画を見せていただきました!
───なぜ、この描き方を選んだのですか。
───もったいないばあさんの世界観を表現するために、編みだしていったんですね。それ以前に描いた絵本は、切って貼る手法ではなかったのですか。
切って貼るのは『もったいないばあさん』がはじめてです。他に、『まゆげちゃん』『イカになあれ』『おべんとうバス』『なないろどうわ』『チョコだるま』などの絵本がありますが、それぞれ描き方が少しずつちがいます。そのつど悩みながら、いちばんその絵本に合う表現方法を模索しながら、描いています。たくさん作るうちに、どの本にも私の作品とわかるような、共通するものが生まれたらいいなと思います。