今回ご紹介するのは、子ゾウの「コローロ」一家と一緒に色を楽しめる絵本、『COLORS(カラーズ)』。見た目がとってもキュートでスタイリッシュなこの絵本を制作したのは、女性2人の絵本ユニット、コローロさん。初めての絵本作品ということもあり、謎のベールに包まれたお二人へのインタビューはちょっぴり(かなり?)ドキドキだったのですが、お会いしてみるととってもキュートでステキな女性で、一気にほんわかムード(笑)。さらに、お話を伺っていくと、お二人ともすでに子育てを一段落されて、それぞれイラストレーターとデザイナーとして現役で活躍している先輩ママさんということを知り、ますます話も弾んでいきました。そんなコローロさんが、はじめて手がけた絵本『COLORS(カラーズ)』が出来上がるまでの経緯や、絵本と子育てについて語っていただきました。
- COLORS(カラーズ)
- 制作:コローロ
- 出版社:赤ちゃんとママ社
親子で「色」を楽しめる色絵本。 キュートな絵とスタイリッシュなデザインでお部屋のインテリアや出産祝いのプレゼントとしてもおすすめです。
コローロ:イラストレーター・フジイメグミ(写真右)とデザイナー・カラシマヨウコ(写真左)による絵本制作ユニット。同じ美大で学び、同じ現場で仕事をし、同じ目線で子育てを楽しんできた二人がそれぞれの思いを形にしたいと結成した。
●「作・絵」ではなく「制作:コローロ」としたこだわり
───お二人は今回の絵本以外にも今までに雑誌などで一緒にお仕事をされていると伺ったのですが、今回、『コローロ』というユニットを組んで絵本を出そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
カラシマ:フジイさんとはデザイナーとイラストレーターという立場でそれぞれ仕事をしています。でもそれは、出版社さんからの依頼があるものなので、自分達独自のものではないんですね。そういう仕事の中で、「いつか自分達のオリジナルでずっと残るものを作りたいね…」と2人で話すようになったんです。
フジイ:一緒に仕事をしていると、私達2人、趣味や好みの感覚がすごく近いと思うことが多くて、「だったら2人のテイストを100%出せる形で作りたい!」と話し合って、ユニットを組むことになりました。
───通常、絵本では「作」「絵」に分かれたり、文と絵を同じ方が作られることが多いですが、
今回は「せいさく:コローロ」となっているんですよね。今までとの違いはどんな部分でしょうか?
カラシマ:「せいさく」と付けたのは、通常の本作りの場合、絵とデザインは別々なんですよ。でも、私達はイラストレーターとデザイナーのユニットなので、企画から絵とデザインのフィニッシュまでをトータルに1冊全部手がけたいと思ったんです。
フジイ:そうなんです。デザイナーさんと会って打ち合わせすることって、あんまりないんですよ。もともと私はデザイナー出身なので、イラストを描くとき、どうしてもデザインまでやりたくなってしまうんです。なのでコローロとしてだったら、企画からディレクションして、イラスト、デザインすべてに関われると思い、あえて「せいさく」としました。
───お二人の感性が近いから、そういう少し変わったやり方で、絵本を作ることが出来るのですね。

フジイ:そうですね、最終的にイメージする形が同じなので、この絵本に関して意見が対立することはほとんどなく、かなりスピーディーに完成まで持ってこれたと思います。のりのりでできました〜。
カラシマ:でも、結構ビシビシ言われているんですよ(笑)。「この水色は他の色とあわせたほうが良い」とか「この赤い色は1つだけでいいの?」とか…。「私も一応、デザイナーなんだけど…」って思いながら対応したこともありました(笑)。
フジイ:その代わり、イラストのラフではカラシマさんから色々ダメ出しがあったんですよ(笑)。「ベッドで寝ている『コローロ』が幼虫みたい…」とか「『コローロ』の等身が高い。子ゾウに見えない」とか…。
───お互い気心の知れた相手だから、作品が良くなるまで妥協せずに意見を出し合っていけたんですね。『COLORS(カラーズ)』は色の絵本ですが、一口に「赤」と言ってもちょっとした濃さや明るさの違いでこんなにもいろんなバリエーションがあるんだと気づかされました。この絵はどんな画材を使って描かれたんですか?
フジイ:絵や文字などの素材は黒1色を使って手描きで描きました。それをパソコンで取り込んでもらって、データ化して、色はパソコンで着色しています。今回は色の絵本なので、着色は色味がはっきり出せるデータで仕上げました。
左の写真の素材を組み合わせて、右のオレンジのイラストは出来上がります。
カラシマ:紙に描いた原画だと、印刷するときにどうしても色が沈んで出てしまうんですよ。パソコンでは微妙な色の違いも数値で見ることが出来るのと、何度もやり直しがきくので2人で意見を出し合いながら作業するのには向いていたんです。でも場合によっては、原画のタッチのほうが味があっていい時もあるので、その本によって変えていくつもりです。