
───私の息子は小学校入学した直後、「ちょうちょ結び」ができなくて、とても困りました。そんなときに出会ったのがプレNEOシリーズの中の『せいかつの図鑑』。子どもたちにちゃんと教えなくちゃいけないけれど漏れてしまっている生活にまつわる知識や知恵をしっかりすくいあげてまとめてくれている図鑑で、本当に感謝したのを覚えています。最新作『にっぽんの図鑑』でシリーズ9冊目を迎える「プレNEO」シリーズですが、この企画がスタートしたきっかけを教えてください。

「プレNEO」シリーズ編集長の青山明子さん
シリーズ1冊目となる『きせつの図鑑』を作ろうと思ったきっかけは、10年前に体験した息子の小学校受験でした。我が家は小学校受験を急に決めたものですから、何の準備もしていなくて…。
───お子さんの受験という体験の中で、お母さん目線で感じられたことが原動力となったんですね。
ただ、それは最初のきっかけで、その後、この企画が本当に多くの人に必要な本になるのか専門家やお子さんのいるお母さんたちにいろいろリサーチをしました。情報も集まってきたころに、家族でGWに温泉に行く機会があったんですが、温泉は端午の節句(こどもの日)を祝って菖蒲湯だったんです。すると、そこにいた小学校2年生くらいの女の子が「やだ、ここにネギが浮かんでる〜」って言ったんですよ。それを聞いて、「あ、このくらいの子たちは菖蒲湯を知らないんだ」って衝撃を受けて…。やはり日本の季節や風習から学ぶ図鑑は必要性があると確信することができました。もっとも、「きせつ」の枠を超える内容が集まってしまった(笑)ので、いつか「にっぽん」をテーマにしたものは作りたいと思ったんです。
───『きせつの図鑑』以降は『かず・かたちの図鑑』『こくごの図鑑』など、また異なる切り口で図鑑を作られていますが、それぞれきっかけとなった体験や出来事などがあるのでしょうか?
───『くふうの図鑑』は災害への備えが子どもたちにもわかりやすく伝えられていると感じました。その時々の時流に合わせて、色んなきっかけを感じながら図鑑を制作しているんですね。
そのせいなのか、なかなか『にっぽんの図鑑』に行きつくことができなくて…9年も経ってしまいました(笑)。2013年に2020年の東京オリンピック開催が決まって、いよいよ『にっぽんの図鑑』をスタートさせよう!と決めました。

───実際に図鑑ができるまでの過程について教えていただきたいのですが、毎回、テーマを考えるのにどのように資料収集をするのですか?

青山さんがファイリングしている資料を
見せてもらいました。これはほんの一部だそう!
───この膨大な資料集めを、シリーズ創刊当初からずっと続けられているなんてすごいです! 資料が集まってからは、どのような流れで進んでいくんですか?
───それは興味深いですね。外国の方は日本のどんなところが不思議に思うのでしょうか?
印象的だったのは、日本人がどんなときにも「お辞儀」をすることが不思議だと言っていたことです。
───「海苔」は黒い紙…確かにそう見えるかも(笑)。そうやって細かい内容がかためられていくんですね。
ある程度、図鑑の方向性がまとまったところで、監修をお願いしている藤森裕治先生のところに相談に行き、藤森先生ならではの観点を追加してもらって、全体の構成が決まりました。それからコンテを作って、再度図鑑全体の流れをチェックしてから、デザイナーにデザインラフを作ってもらいます。そうして、コンテやラフを確認しながら編集担当者がそれぞれのページの取材に行ったり、イラストや写真を集める作業に入ります。
───図鑑全体から和の雰囲気が漂うデザインになっていると感じました。ページは絵と写真がバランスよく入っていて、どのページから読んでも飽きない作りになっていますよね。


刺繍で紹介されている俳句のページ。 やさしい和の雰囲気が醸しだされています。
───イラストも色んな絵描きさんを使って、タッチを変えているのが新鮮ですよね。 個人的に「にっぽんの ふうけい(p10-11)」を1枚の絵で表しているページがとても情緒的で素晴らしいと感じたのですが、青山さんの中でお気に入りのページはありますか?
「にっぽんの ふうけい」は私も含め、制作にかかわったスタッフみんなが好きなページです。どのページもそれぞれ思い入れはあるのですが、特に気に入っているのは「おもて いろいろ(p152-153)」で能や狂言で使う「面」を並べたページです。私も『にっぽんの図鑑』を作るまで本物を見たことがなかったので、とても新鮮でした。

───「おもて いろいろ」のページは小さいお子さんの中には「怖い」と感じる子もいるかもしれないくらい、迫力のあるページですよね。


───「怖いのが大事」というのはどうしてですか?
藤森先生ご本人も子どもの頃、本や図鑑がお好きで、ページがくたくたになるまで読み返していたそうなんですが、怖いものが載っているページは大きくなっても印象深く覚えていたそうなんです。成長する中でそういう感覚や記憶を大事にしてほしいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
───え! どこだろう…? とっても気になります。(スタッフ一同、必死に探す)

香川さんの遊び心あふれる絵を是非楽しんでもらえたら嬉しいです。








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