●毎日新聞・関西版でスタートした『おしゃべりさん』
───絵本ナビでのインタビューは2012年の『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』以来。「おしゃべりさん」シリーズも大好きだったので、今回またおはなしを伺うことができて嬉しいです。実は取材前に、会社内で周りのスタッフに対して1話ずつ声を出して読んであげていたら止まらなくなっちゃって。すごく気持がいいんです。自分がその物になって、おしゃべりしているような気分になって。
この『おしゃべりさん』は元々、新聞の連載からスタートしたと伺ったのですが?
───新聞連載でおはなし・・・すごいですね! 「読んであげて」欄には、過去にどんなおはなしが掲載されていたのでしょうか?
1人の作家さんが1か月、おはなしを掲載する形で連載がはじまります。朝刊に1話ずつ掲載されるのですが、その頃は長編童話を1話ずつ掲載されていることが多かったんです。
───長編童話…。さいとうさんからはあまりイメージできないのですが、その前から童話に興味があって書いていたりしたのですか?
それが、童話を書いたことはほとんどなかったんです…。なので、最初はお断りしようと思ったんですが、「読んであげて」がスタートした第一作目の『おーいタクヤくん』(肥田 美代子:作、岡島 礼子:絵、ポプラ社にて書籍化)を連載当初から読んでいて大好きだったので、自分だったらどんな形で書けるのか…考えようと思いました。
───そこで、「おしゃべりさん」の様な短い作品を1日1話掲載という形が生まれたんですね。
───1か月毎日おはなしを考えるのもとても大変だと思うのですが、連載までにおはなしは何話くらい考えたのですか?
連載前に1か月分のおはなしをすべて完成させてお渡ししているんです。絵は前半後半に分けて、提出しました。
───「おしゃべりさん」に登場するのは、朝刊やトースト、プチトマトなど子どもたちに身近なものばかりですよね。おしゃべりする内容も、本当にそのものが考えているみたい! どういうときにおはなしが思い浮かぶのですか?
───「コウノトリさん」? とっても意外です。
───コウノトリなのに赤ん坊を忘れてきちゃうという(笑)。キャラクター設定がとってもユニークですよね。擬人化したときのキャラクターの性格はどうやって思い浮かぶのですか?
私の場合は、連想ゲームみたいな感じでおはなしを作っていきますね。まず主人公となる「もの」を考えます。それからその「もの」は男か女か…? 年齢は…? みんなはそれが好きか嫌いか…? その理由は? …と考えて、おはなしを考えます。また、ときには身近にある出来事をベースにおはなしを作ることも多いです。
───身近にある出来事というと…?
───そんな何気ないやり取りから、おはなしを思いつくなんて、すごいです! やっぱり面白いおはなしを思い浮かぶ発想力が違いますね。
おはなしを考えていたときは、息子が大きくなったときに一緒に読んだら喜ぶかな…と想像して書いていたことも影響しているのかもしれません。それと、ずっと学童で子どもと接していたので、身近にいる子どもたちがどんなことに興味があるのかを知っていることも大きかったと思います。
───「おしゃべりさん」というタイトルも、「なに?なに?」と興味がわく感じで、すごく気になります。タイトルはどうやって思い浮かんだんですか?
ちょうどその頃、息子が歩行器に乗って歩きながら、言葉にならないことをずっとムニャムニャ言っていたんですね。それを見て「おしゃべりさんやなぁ…」って言ったのを、そのままタイトルにつけることにしたんです。
───とっても可愛いエピソードですね。「おしゃべりさん」というタイトルのとおり、第1回目の連載から朝刊が「ちょっとぉ-----! はやく とりにきなさいよぉーーーーー!」とかなり元気なおしゃべりをしています。新聞連載が始まってから周りの反響はいかがでしたか?
───すごい人気ですね!
毎日、「おしゃべりさん」の連載の横に読者の方からの感想を載せていたこともあって、終わる頃にはかなりの感想と、なりきり作文が届きましたね。すごく嬉しかったのですが、その頃には次の連載のおはなしを頂いていたので、作文を読んでしまうとネタがどんどんなくなって新しい「おしゃべりさん」が書けなくなるかも…という悩みもありました。
───とくに読者の方の反響が大きかった作品は覚えていますか?
───国語のノートを入れるのを忘れていることを心配しているランドセルのおはなしですよね。きっと、自分が忘れ物をしたときのことを思い出しているのかも…(笑)。先ほど、次の連載のはなしが来ていたとおっしゃっていましたが、それは『もういっかい おしゃべりさん』のことですか?
そうです。2005年9月に1か月間、新たに連載がスタートしました。