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おはなし30 ねえ、よんで!『おしゃべりさん』さいとうしのぶさんインタビュー

あっちゃんあがつく たべものあいうえお』(リーブル)で人気の絵本作家さいとうしのぶさんは、身近にあるものが擬人化されて、軽快な語り口でおしゃべりする、「おしゃべりさん」シリーズの作者でもあります。
「おしゃべりさん」の名前の由来は息子さんの行動から…? 「おしゃべりさん」は最初、新聞連載だった…? など、さいとうさんのアトリエにお邪魔し、当時のことを思い出しながらおはなしを伺いました。

おしゃべりさん
おしゃべりさんの試し読みができます!
作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル

ふだんは話したりできないトーストやランドセルやマンホールのふたなどが、たくさんおしゃべりをします。いったい、どんなおしゃべりなのか、きいてみてください。

毎日新聞・関西版でスタートした『おしゃべりさん』

───絵本ナビでのインタビューは2012年の『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』以来。「おしゃべりさん」シリーズも大好きだったので、今回またおはなしを伺うことができて嬉しいです。実は取材前に、会社内で周りのスタッフに対して1話ずつ声を出して読んであげていたら止まらなくなっちゃって。すごく気持がいいんです。自分がその物になって、おしゃべりしているような気分になって。
この『おしゃべりさん』は元々、新聞の連載からスタートしたと伺ったのですが?

『あっちゃんあがつく』を出版してしばらくたった頃、毎日新聞大阪本社の方から連絡を頂きました。毎日新聞・関西版には子どもたちが楽しめる連載童話「読んであげて」というコーナーがあるのですが、その連載をお願いしたいというおはなしでした。


連載1話目の新聞を見せてもらいました

───新聞連載でおはなし・・・すごいですね! 「読んであげて」欄には、過去にどんなおはなしが掲載されていたのでしょうか?

1人の作家さんが1か月、おはなしを掲載する形で連載がはじまります。朝刊に1話ずつ掲載されるのですが、その頃は長編童話を1話ずつ掲載されていることが多かったんです。

───長編童話…。さいとうさんからはあまりイメージできないのですが、その前から童話に興味があって書いていたりしたのですか?

それが、童話を書いたことはほとんどなかったんです…。なので、最初はお断りしようと思ったんですが、「読んであげて」がスタートした第一作目の『おーいタクヤくん』(肥田 美代子:作、岡島 礼子:絵、ポプラ社にて書籍化)を連載当初から読んでいて大好きだったので、自分だったらどんな形で書けるのか…考えようと思いました。

───そこで、「おしゃべりさん」の様な短い作品を1日1話掲載という形が生まれたんですね。


きっかけは、『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』でお世話になったリーブルの編集者さんが、当時1歳前の息子が大きくなったときに、毎晩聞かせてあげられるような、ちょっとしたおはなしを書いたら良いんじゃない? とアドバイスしてくださり、一話読みきりならできるかもしれない…と書き始めたんです。

───1か月毎日おはなしを考えるのもとても大変だと思うのですが、連載までにおはなしは何話くらい考えたのですか?

連載前に1か月分のおはなしをすべて完成させてお渡ししているんです。絵は前半後半に分けて、提出しました。

───「おしゃべりさん」に登場するのは、朝刊やトースト、プチトマトなど子どもたちに身近なものばかりですよね。おしゃべりする内容も、本当にそのものが考えているみたい! どういうときにおはなしが思い浮かぶのですか?

たいてい、寝る前に思い浮かぶことが多いです。1話思い浮かんだらメモに残して、もう1話思い浮かんだらメモに残して…3話以上思いつくと眠れなくなっちゃうから、寝よう!(笑)。…というようにして、掲載する2倍くらいのおはなしを考えて、その中から29話をセレクトしていきました。一番最初に、浮かんだおはなしは「コウノトリさん」でしたね。


<コウノトリさん>

───「コウノトリさん」? とっても意外です。

うちの近所にいる男の子のお家におよばれしたときに、ちょうどディズニー映画「ダンボ」のコウノトリが出てくる場面を見ていたんです。それを見てコウノトリにおしゃべりしてもらおうと思いついて。同時に大阪新喜劇の冒頭シーンによくある「いやぁ、えらいこっちゃ。」というセリフが浮かんできて、失敗しちゃうキャラクターになりました。


───コウノトリなのに赤ん坊を忘れてきちゃうという(笑)。キャラクター設定がとってもユニークですよね。擬人化したときのキャラクターの性格はどうやって思い浮かぶのですか?

私の場合は、連想ゲームみたいな感じでおはなしを作っていきますね。まず主人公となる「もの」を考えます。それからその「もの」は男か女か…? 年齢は…? みんなはそれが好きか嫌いか…? その理由は? …と考えて、おはなしを考えます。また、ときには身近にある出来事をベースにおはなしを作ることも多いです。

───身近にある出来事というと…?


<すべりだい>


「すべりだい」は、私が通っている整骨院の先生が、犬の散歩のときに公園の滑り台を犬と一緒に滑っているという話が元になっています。『もういっかい おしゃべりさん』の「みぎあしと ひだりあし」は姪っ子が運動会の前に「足が遅くて、きっとビリだし…」と言っていたのに「あきらめたらあかんで」って励ました言葉を元に右足と左足に置き換えて作りました。

───そんな何気ないやり取りから、おはなしを思いつくなんて、すごいです! やっぱり面白いおはなしを思い浮かぶ発想力が違いますね。

おはなしを考えていたときは、息子が大きくなったときに一緒に読んだら喜ぶかな…と想像して書いていたことも影響しているのかもしれません。それと、ずっと学童で子どもと接していたので、身近にいる子どもたちがどんなことに興味があるのかを知っていることも大きかったと思います。

───「おしゃべりさん」というタイトルも、「なに?なに?」と興味がわく感じで、すごく気になります。タイトルはどうやって思い浮かんだんですか?

ちょうどその頃、息子が歩行器に乗って歩きながら、言葉にならないことをずっとムニャムニャ言っていたんですね。それを見て「おしゃべりさんやなぁ…」って言ったのを、そのままタイトルにつけることにしたんです。

───とっても可愛いエピソードですね。「おしゃべりさん」というタイトルのとおり、第1回目の連載から朝刊が「ちょっとぉ-----! はやく とりにきなさいよぉーーーーー!」とかなり元気なおしゃべりをしています。新聞連載が始まってから周りの反響はいかがでしたか?


<ちょうかん>


たくさんの方から感想を頂きました。中には、「子どもが『おしゃべりさん』を読みたくて、毎朝自分で新聞を取りに行くようになりました」というお手紙や、小学校の先生から「クラスでおしゃべりさんのように、なりきり作文を書きました」と、1クラス分の作文が送られてきたこともありました。

───すごい人気ですね!

毎日、「おしゃべりさん」の連載の横に読者の方からの感想を載せていたこともあって、終わる頃にはかなりの感想と、なりきり作文が届きましたね。すごく嬉しかったのですが、その頃には次の連載のおはなしを頂いていたので、作文を読んでしまうとネタがどんどんなくなって新しい「おしゃべりさん」が書けなくなるかも…という悩みもありました。


<わさび>

───とくに読者の方の反響が大きかった作品は覚えていますか?

「わさび」は、わさびシュークリームやわさびチョコレートのくだりで「ギャー!!」って反応する子が多かったですね(笑)。あと、「ランドセル」を読むとそれまで盛り上がっていた子どもたちがシーンとなったというのを覚えています。


───国語のノートを入れるのを忘れていることを心配しているランドセルのおはなしですよね。きっと、自分が忘れ物をしたときのことを思い出しているのかも…(笑)。先ほど、次の連載のはなしが来ていたとおっしゃっていましたが、それは『もういっかい おしゃべりさん』のことですか?

そうです。2005年9月に1か月間、新たに連載がスタートしました。

『もういっかい おしゃべりさん』の中には・・・>>>

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さいとう しのぶ

  • 堺市に生まれる。嵯峨美術短期大学洋画科卒業。テキスタイルなどのデザイナーをへて、インターナショナルアカデミー絵本教室に学ぶ。現在、絵本の創作を続けながら、絵本サークル「ぴーかーぶー」で手づくり絵本を広める活動をしている。
    作品には、『あっちゃんあがつく』(原案・みねよう)『しりとりしましょ!』『おしゃべりさん』『おかしなおかしなおかしのはなし』『へんてこかぞえうた 1ちゃんいちにち』『どっきりかぞえうた ちょっぴりこわいぞ』(うた・高木あきこ)『きしわだのだんじりまつり』(作・なかむらしょうこ)『たべものかるた』(原案・みねよう)─以上リーブル
     『ぎゅうって』『よーい よーい よい』『あぶくたった』『おべんとうばこのうた』─以上ひさかたチャイルド『たこやきようちえん』(ポプラ社)『べべべんべんとう』(教育画劇)『おいしい おと なぁに?』(あかね書房)『まほうのでんしレンジ』(原案・たかおかまりこ ひかりのくに)『てんとうむしのはじめてのレストラン』(アリス館)『まんまるおつきさん』(作・ねじめ正一 偕成社)『おはなし だいどころ』『おはなし きょうしつ』(以上PHP研究所)『十二支のかぞえうた』(佼成出版)『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞 のら書店)など多数。

作品紹介

おしゃべりさん
おしゃべりさんの試し読みができます!
作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
もういっかいおしゃべりさん
もういっかいおしゃべりさんの試し読みができます!
作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
しつもんおしゃべりさん
しつもんおしゃべりさんの試し読みができます!
作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
おかしなおかしなおかしのはなし
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作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
あっちゃんあがつく たべものあいうえお
あっちゃんあがつく たべものあいうえおの試し読みができます!
原案:みね よう
作:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
しりとりしましょ!たべものあいうえお
しりとりしましょ!たべものあいうえおの試し読みができます!
作・絵:さいとう しのぶ
出版社:リーブル
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