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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  シリーズ累計145万部! 「プレNEO」シリーズ最新刊!『せかいの図鑑』 編集長・青山明子さんインタビュー

身近なことから世界を感じられる図鑑です。

───「プレNEO」シリーズの記念すべき10冊目として、『せかいの図鑑』が発売になりましたね! 前回の『にっぽんの図鑑』を作っているときから、すでに『せかいの図鑑』の構想はあったのでしょうか?

はい。この「プレNEO」シリーズは毎年リリースされていますが、1冊を作るのに約3年の年月がかかっています。なので、『にっぽんの図鑑』の編集をしているときから、10冊目は『せかいの図鑑』にするということは決まっていました。実際、読者の方からも「『にっぽんの図鑑』の次は『せかいの図鑑』ですね!」と愛読者カードをいただいたりして……(笑)。バレていましたね。

───たしかに、日本のことを知ったら次は、世界のことを知りたくなりますよね。

『にっぽんの図鑑』を作るとき、日本に住んでいる外国人や帰国子女の方にお話を聞いて、世界にも日本と同じ様に色んな文化や風習、話題があることを実感しました。今回はそれを1冊にまとめたいと思いスタートしました。さらに、今年はリオでオリンピックが8月にありますし、2020年には東京オリンピックがある。昨年からとりわけ日本にいらっしゃる海外の方も増えています。このようなこともきっかけとなっています。

───普通、「世界の図鑑」というと、国別に紹介されていることが多いですが、『せかいの図鑑』は全く違った切り口で紹介されているのが新鮮でした。

「プレNEO」シリーズは3歳から小学校低学年のお子さんをターゲットにして作っています。小さいお子さんにとっての、「世界」というのは、自分の家やその周り、広くても遊ぶ場所までです。そんなお子さんたちに世界の大陸から分別して世界の国々のことを説明しても分からないですよね。それよりも、自分の身近にあるものから世界を想像できるような切り口にしたいと思って、ページ構成を考えました。

───第1章は「なかよくしよう」。最初に世界の挨拶が載っていますが、「こんにちは」にもいろんな言い方があることを知るだけでも、子どもにとって発見ですよね。

ここで紹介している言葉は主に、日本に来ている外国人、在住の外国人の中でも多い国籍の言葉を選びました。

───右ページの右下にページに掲載された国の位置が世界地図上にマークされているのも分かりやすいですよね。

下段注釈の部分は今までの「プレNEO」シリーズに則って、親御さんのための言葉がけや補足説明のコーナーにしています。例えば子どもに「エチオピアってどこ?」と聞かれたときに、親御さんもどの大陸にあるかなどすぐ確認できるように、各ページに掲載しました。

───たしかに、私たち大人も地図を勉強したのはかなり昔なので、小さくでも載っていると、子どもに聞かれたらすぐに答えられて、とても助かりますね。「なかよくしよう」の章には、遊びがたくさん載っています。とくにじゃんけんがあんなにいろんな種類あるなんて、ビックリしました!

そうなんです。国によっては「ジャンケンポン」の言い方も違うし、「グー」「チョキ」「パー」以外にもう1つ、出すものがある国もあります。

───そして2章では、「せかいからようこそ」、この中には世界から日本に来ているものを色々紹介していますが、こんなにいろんなものが世界から来ているなんて……と驚きました。

バナナや鉛筆、チョコレート、そしてペンギンは日本に来るまでのルートも分かりやすく写真で紹介しています。特にバナナのページは普段見ることのないバナナの花の写真が見られたり、なぜ、熟していない青々とした状態で日本に輸送されてくるのかまで、小さいお子さんにも分かりやすく説明しています。

───バナナの花を初めて見ました! 鉛筆も3つの国からやってきた材料で作っているなんて、知りませんでした。

そうですよね。『せかいの図鑑』で紹介している以外にも、海外から来ている品物はたくさんあります。図鑑を見て、気になったことを新たに家族で調べてもらえたら、もっともっと世界について興味を持てるようになると思います。

───そして、海外から来ている食べ物を紹介しているページの写真が、とってもおいしそうで! でも、パンのページは本物のパンではなく、クラフトで作られているんですよね。とっても精巧に作られていたので、最初、分かりませんでした。

パンは大きさに違いがあるので、現物の写真にすると、大きなパンなどはインパクトが出過ぎてしまうんです。そこで、あえてクラフトにしました。今回、写真やイラストもたくさん掲載していますが、特にジックリ見てほしいページには、立体などの工作を使っています。

───英語でのコミュニケーションを紹介する「えいごではなそう!」も、クッキーを使って作られていますよね。

文科省の学習指導要領も改訂されて、英語も子どもたちにとって身近な言語になりつつあります。でも、お勉強的なものは、ドリルや教科書にお任せして、『せかいの図鑑』では、ビジュアルで楽しい工夫をして、ページを見てもらおうと思いました。「えいごではなそう!」で紹介している英会話は、年齢的にはもうちょっとお兄さん、お姉さんにならないと習わないかもしれませんが、各章を象徴するようなやり取りを紹介しています。

───1章では「い〜れ〜て」「い〜い〜よ」というやり取り、「なかよくしよう」という内容にピッタリ合っていますね。

このクッキーの制作と撮影が実はとっても大変で、掲載している単語のカエルの指の数や、昆虫の足の出ている位置など、細かいところまで正確になる様に作ってもらっているんです。撮影もスタジオに移動するとその間にパーツが壊れてしまうかもしれないから、作家さんのお家にセットを組んで、そこで撮影しています。

───よーく見ると、道はシュガーで出来ているし、吹き出しはウエハースですね! お菓子がたくさん使われていて、とってもおいしそうです。

───そして、3章は「せかいへいってみよう」。いよいよ、外国で暮らす子どもたちの様子を紹介する章ですが、小学校へ入学する時期や学校の各学期が何月からはじまるのかなどが紹介されています。ニュージーランドが5才の誕生日の次の日から1年生として学校に通うなんて、知りませんでした。誕生日といえば、祝い方も国によってこんなに違いがあるなんて……とビックリしました。

デンマークでは、温かいココアを飲みながら、ケーキを食べるし、メキシコでは「ピニャータ」というくすだまを目かくしをして割ります。特に面白いのがイタリア。年の数だけ人に耳を引っ張られるんです。

───他の国の誕生日の祝い方は日本とこんなに違うんだ……と思いました。そして、巻末特集として「こどもたちが たすかるには」では、はるか遠方に住む子どもたちが置かれている環境や直面している問題を、子どもたちにも分かりやすく、クイズ形式で出題していますね。

戦争、病気、貧困、そして児童労働など、世界の国々の中には安心して暮らせない子どもがたくさんいます。そういう子どもたちがいることを少しでも考えるきっかけにしてほしいと思い、「巻末特集」に掲載しました。ただ、あまり重く捉えることは「プレNEO」シリーズの読者には年齢的に難しいとも思い、明るいイラストと子どもたちが好きなクイズを使って紹介しています。

───まず、近くにいる海外の人のことを知って、海外から日本に輸入されている物について知って、海外の生活に触れる……1章から3章まで読むと、世界について自然と詳しくなっている構成ですね。

この1冊で、世界を体感してもらって、自分は世界と言う広いものとつながっているんだと思ってもらえたら嬉しいですね。『せかいの図鑑』で紹介しているものの1つでも興味を持ってもらえたら、そこからもっと詳しく描いてある本を読みたくなるなど、自分の視野を広げるきっかけになってもらえればと思います。

───3つの章に分けることは大変でしたか?

章立ては毎回、頭を悩ます問題です。実は、この章立てに決まる前、別の構成を考えていました。それは、登場人物を設定して、その家族が外国人の暮らしや文化などを知っていくというもの。実際に登場人物の年齢や家族設定、職業、性格まで決まっていたのですが、いざ、まとめようとすると構成に無理が出てきてしまって、あきらめました……。それから、読者である子どもたちに『せかいの図鑑』を読んでどんなことを感じてほしいかを一から考え直して、「コミュニケーション」を学んでほしい1章、「共生」していることを感じてほしい2章、「国際理解」を深めてほしい3章と大きな柱ができ、今の形に落ち着きました。

───1冊の本が完成するまでに、いろいろな試行錯誤を繰り返しているんですね。

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