●もとこども、今 絵本作家
なんて可愛い! いとうさん、富安さん、それぞれの子ども時代の写真です。
───いとうさんは、ポーズも衣装もキマってますね!
いとう:これは3〜4歳ですかね。怪傑ハリマオ※に扮しているところですね。
富安:帽子をターバン代わりにしたり、いろいろ考えてる! 「どうだ」と勝ち誇った感じが出てますね。
いとう:L字型の積み木をピストルにしていますね。うちは4人兄弟の末っ子だから、兄姉たちが面白がってこういうことをよくやらせていたのかもしれないです。
───富安さんは、兄弟仲睦まじい1枚ですね。
富安:あ、この写真は絵本の帯に使ったものじゃないんですけど、お気に入りの1枚なんです。私は3人兄弟の長女でした。歳が離れていたのもあって、当時、弟たちは私に頭があがりませんでした。今でもそういうところがあります(笑)。
帯にも、おふたりの子どもの頃の写真がのっています!
いとう:よーくわかります。ぼくも歳の近い姉たちのオモチャでしたから。いまだに「あなたが今生きていられるのはね、私たちがちゃんと面倒みてあげたからなのよ。わかっているのかな?」なんて言われます。そもそも最初から「お前は私たちが拾ってきてあげたんだ」って。
富安:それ、私も同じこと言いました! うちの台所に梅干を干す大きなザルがあったんですが、弟たちに「お前たちはこれに乗って川を流れてきたのを私が拾った」と教えていました。
いとう:うちでは、「橋の下にあった段ボールからガサガサ動く音がして、捨て犬かなと思って開けたら、赤ちゃんが入っていた」と、教わりました(笑)。それを拾って育てたと。信じるものかと思っていたけど、繰り返し言われていると、なんだか本当に段ボールの隙間からさびしげに外を見ていた記憶が蘇ってきて・・・。
富安:蘇ってきちゃってる(笑)。言い続けると刷り込まれてしまうんですよね。
───お二人は、どんなお子さんだったんでしょうか。
富安:私はなんとなくボンヤリしたところがある子どもでした。中学校の頃の思い出ですが、理科の実験中に、衣替えの後でポケットの中にナフタレンが入っていたんです。ふと、実験のビーカーに入れたくなって、ポンッと入れたら、ぼーーーっと煙があがって、先生が飛んできました。匂いをかいで、「誰だナフタレン入れたのー!」って。何でやったか理由をきかれたとき、「ポケットに入っていたからです」って言ったら、ものすごく怒られましたね。そういう感じの子どもでした。
家庭科でもスカートを作る授業で、はりきって縫ったら裾も縫い合わせてしまって、大きな袋が出来あがったこともありました。
いとう:それはボンヤリというか、あとさき考えないタイプって言うんじゃない?(笑)
───いとうさんは、お写真を見るかぎりとてもやんちゃだったように見えますが。
いとう:ぼくは、学校終わったら、ランドセルを放り投げて、毎日暗くなるまでみんなと遊んでいる子どもでした。
クモの巣とか卵を持って帰ったり、かまきりの卵を押入れに隠したり、いろんなことして怒られましたね。「ひろし、何やったー!」って。毎回心当たりが多すぎて何で怒られるのか見当がつかないくらい(笑)。いちばん覚えているのは、ドブ川からウシガエルのオタマジャクシをバケツに山ほど捕ってきて、フタをして庭の物置小屋のすみっこに隠しておいたの。数日後、また「ひろしーー!!」って怒鳴られて、何だろうって思ったら、中で全部死んで腐っていて、もうすごい匂いで。あれはひどかったね。
富安:お願いだから、そういうものは隠さないでー!
いとう:川に落っこちたり木から落っこちたり、よく死ななかったなと思います。みんなで大きな石を割る遊びをしていて、持ち上げた石を自分の頭に落とてしまったこともありました。60年生きてきて、クラ〜ッとなったのはあの時だけだなあ。
富安:うちの息子たちもそうでしたが、どうして男の子って引き寄せられるように危ないことをするんでしょうかね。
いとう:やってはいけませんと言われたことは、1回やってみたいんだよね。「いけない」と書いてあったら、「さあやってみろ」という挑戦状です。「押してはいけない」というボタンは「押してみろ」。非常ボタンや、お見舞い先の病院のナースコールも、「やってやろうじゃん」と。
───完全にいたずらっ子ですね。