話題
日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?

日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?(童心社)

テレビで話題!いま、かんがえてみませんか?

  • ためしよみ
絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  最初で最後の自伝的絵本『ねないこは わたし』せなけいこさんインタビュー!

音楽や映画、本が好きだった両親。落語家の夫、尊敬する武井武雄先生。

───『ねないこは わたし』の中には、せなさんの小さいころのエピソードもたくさん載っています。子どものころから、本が好きだったのですね。

子どものころ住んでいたのは、玄関から本棚がずーっと並んでいるような家だったんです。父親も母親も本を読むのが大好き。子ども心に、大人というのは本を読んでいるものだと思っていました(笑)。今、子どもの本離れが心配されているけれど、親が本好きだったら、子どもも本を読むようになりますよ。だって、我が家がそうでしたもの。兄弟みんな本好き、全員、本の匂いがしていたんだから。父はよく、新宿や神保町にある古本屋に連れて行ってくれた。だから、私はすぐに常連さんの仲間入り。学生になり一人で、古本屋に立ち寄れるようになると、「あんたが来ると思って、取っておいたよ」と古本屋のおじさんが奥から私の好きそうな本を出してくれるの。

───せなさんの本棚を拝見させていただきましたが、すごく貴重な本がたくさんあって、圧倒されました。

両親から受け継いだ本もありますからね。それと、私は空襲で本がすべて焼失してしまうという経験をしたから、気に入った本は1冊では不安で、2冊、3冊と手元に取っておいているの。子どもに絵本を買うようになってからは、1度に3冊が基本です。息子用、娘用、そして私用。それでようやく安心できるの。

───本だけでなく、紙もたくさん保管されていました。

「どんな紙を使っているんですか?」って聞かれることもあるけれど、私が使うのは、お店の包装紙や、封筒なんかなの。『ねないこだれだ』の女の子が来ているパジャマは、封筒の裏だし、『めがねうさぎ』の来ている緑の服は、行きつけの店の包み紙。特別な紙なんか使わなくても描けるのが、私の貼り絵の特徴。でも、描こうと思ったときに、紙がないと困るから、いただいた紙は全部大切に保管しているのよ。

───せなさんの絵をよく見ると、はさみを使って切っているところと、手を使っているところがありますよね。どういう違いで切り方を選んでいるんですか?

つるっとした物を描くときは、はさみを使います。もじゃもじゃしたものを描くときは、手で切ることが多いのね。おばけは基本はさみだけど、「ぼくはもじゃもじゃのおばけだ」というときは、手でちぎることもあるのよ。

───何を描くかによって、使う紙や切り方など変えているのですね。本棚のところにスケッチブックも沢山保管されていました。貼り絵のタッチとは違う写実的なスケッチが多いのが印象的でした。

スケッチは子どものころから大好きでしたからね。旅行に行くとき、いつも持って行って描くんですよ。子どもたちの姿も描いたし、旦那さんの絵も描いたし、いろいろ描きましたね。

───スケッチの中に、寄席の様子が描かれているのがありました。せなさんの旦那さんは落語家さんだったんですよね。

そうよ。

───せなさんは結婚願望があまりなかったけれど、ご主人がせなさんのことを気に入られて「気がついたら、結婚の話がどんどん進んでいた」というエピソードがとても面白かったです。

私は絵を描くことを一生の仕事にと、仕事一筋でやってきましたからね。でも、主人が大変せっかちな人だったから、あれよあれよという間に結婚していたのよ(笑)。

───ご主人はどんな方でしたか?

大変優しい人でした。私が絵を描くのを邪魔しないように、子育ても手伝ってくれましたよ。主人が家で落語の稽古をつけることもあったから、私も聞くともなしに落語が耳に入ってきて、それが、絵本のヒントになったことも多いんですよ。

───『ひとつめのくに』や『ばけものづかい』など、落語の題材をモチーフにしている作品も描かれていますよね。

落語のおはなしは、ハッピーエンドばかりじゃないでしょう。だから、私の絵本と相性が良かったのかもしれないわね。

───せなさんが絵本作家を目指すきっかけを作ったのは、お父さんが読んでくれた武井武雄さんの『おもちゃ箱』だということが『ねないこはわたし』には描かれています。せなさんのお父さんはどんな方だったのですか?

父はとても穏やかな人でしたね。そして、多趣味な人。山が好きで、動物が好きで、映画が好き。もちろん本も……。私の趣味はみんな父から受け継いでいるんです。あと、酒飲みの血もね(笑)。歌も好きで、外国のオペラなんかもよく歌っていましたよ。私も若いころはよくオペラを口ずさみながら絵を描いてものです。

───とてもオシャレなご家庭だったのですね。

そうかしら? 元は武士の家系だったらしく、母はとてもしつけに厳しい人だった。私は長女だったから、ずいぶん窮屈な思いをしたものよ。

───当時は、立派なお嫁さんになることがお母さんの希望だったんですね。でも、せなさんは絵を描く仕事をしたかったから、高校を出てすぐに働きはじめて、武井武雄さんの弟子になった……。そのあたりのエピソードも『ねないこはわたし』に出てきていて、当時のパワーあふれるせなさんの姿を感じました。

武井武雄先生のところへは、本当に若さと勇気だけで飛び込んでいったと今でも思うわ。先生はとても厳しい方でしたから、絵を見せに行っても一度もほめられることなんかなかったのよ。「デッサンが良くない」「形が崩れている」ってね。でも、日本一の先生に習っているのだからと、落ち込む気持ちを奮い立たせて通い続けたの。

───そうして、絵本作家になり第一線で活躍し続けているせなさん。『ねないこわたし』を通して、せなさんのご家族のこと、作品のこと、本当にいろいろなことを知ることができました。

私もこの本を作ることになって、父や母、旦那さんのことを改めて思い出して、懐かしくなったの。自分のことを振り返るきっかけになったこの本を多くの人に読んでもらえたら、嬉しいわね。

───絵本ナビでも、たくさんプッシュしていきたいと思います。最後に、絵本ナビユーザーさんへメッセージをお願いします。

私は母の望みを裏切って、絵描きになりました。その背景には父の影響や、私のことをいつも応援してくれていた、お手伝いの姉やの存在があったからだと思います。もし、あなたのお子さんが、あなたの考えと違う道を歩もうとした場合、子どもがやりたいことだったらね、どんどん進むように背中を押してあげてください。そうすれば、私のようにいい先生と、いい旦那さんと、いい子どもたちと、いい絵本と、いい読者の方と出会えて、そして、おばけにも出会えちゃうかもしれませんよ(笑)。

───ありがとうございました。

おばけを作ってもらいました。

取材後、特別におばけを作ってもらいました。
『ねないこはわたし』の中にも制作過程が載っていましすが、目の前で見るとやっぱりすごい!
あっという間に、おばけが姿を現しました。

 class=

せなけいこさんからのメッセージ動画 公開中!

文・編集/木村春子
写真/所靖子

今、あなたにオススメ

出版社おすすめ



人気作品・注目の新刊をご紹介!絵本ナビプラチナブック
【絵本ナビ厳選】特別な絵本・児童書セット

せなけいこ(せなけいこ)

  • 東京生まれ。武井武雄氏に師事。1970年、「いやだいやだの絵本」でサンケイ児童文学賞受賞。児童出版美術家連盟会員。「あーん あーんの絵本<全4冊>」(福音館書店)、「おおきくなりたい<全4冊>」(偕成社)、「ばけものつかい」(童心社)、「おばけのてんぷら」(ポプラ社)などの作品がある。ほかに紙芝居、装丁、さしえなど幅広い分野で活躍中。

作品紹介

ねないこはわたし
ねないこはわたしの試し読みができます!
作・絵:せな けいこ
出版社:文藝春秋
全ページためしよみ
年齢別絵本セット