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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  ボードタイプしかけ絵本『りんごはいくつ?』よねづゆうすけさん インタビュー

最新作『りんごはいくつ?』ダミー本&アイディアメモ公開!

───先日、よねづさんの原画展を拝見させて頂いてとても感動したのですが、よねづさんの作品を見ていると、デビュー作のアクリル画から、『にじいろカメレオン』のクレヨンのようなタッチ、『くだものだーれ?』などの筆のようなタッチといろんな画風で描かれていて、表現の幅の広さに驚きました。

僕の作品を全部見られた方には、よく「違う作家さんが描いているのかと思いました」と言われることも多いです。
僕は作品のイメージに近いタッチを毎回探しながら作っているんです。『にじいろカメレオン』のときは、混ざった部分の色をきれいに出したかったので、クレヨンを使って描きました。最近の作品は、しかけの部分がきれいに仕上がるように、パソコンを使って原画を描いているんですよ。





 

───そうなんですか?『のりものつみき』は木目がきれいに描かれいて、手描きのように感じました。
 

のりもの つみき
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社

つみきで乗り物、何つくる? 四角く積み上げられたカラフルな積み木を、「つみきでのりものなにつくる?」とページをめくると、車やロケットにはやがわり! とっても美しい穴あき絵本。

アイディア出しと下書きは紙の上で考えるのですが、ある程度下絵が完成したら、パソコンで作業をしています。特に『のりものつみき』はつみきが箱にきれいにしまわれている感じを出したかったのと、乗り物の形に抜けたときに、気持ちよく仕上がるようにしたかったので。パソコンで仕上げるため、最近の作品は原画がないんですよ。でも、アイディアを考えるときのメモを持ってきました。

───すごい!『のりものつみき』はマス目を書いたものにアイディアを出していっているんですね。

はい。最初のアイディア出しでは、動物でもできないか、いろいろイメージを膨らませるんです。でも、最終的には乗り物に絞ったシンプルな形にまとまりました。

それからこれは「だーれ?」シリーズ(講談社)のアイディアメモですね。


アイディアメモがびっしり!

───アイディアメモだけ見ると、買い物メモみたいですね(笑)。

確かにそうですね(笑)。
僕は作品のアイディアを考えるとき、思いついたものを全部出してから、少しずつ精査していくんです。

───リンゴがサルになったり、ミカンがウマになったり、最初読んだときは1つも当たらないんですが(笑)、思いもよらないものに変身するから、アッと驚くんですよね。

アイディアを出しているとき、「ネズミからゾウに変身するのも驚きがあるけれど、生き物から全然違うものに変わった方が驚きがあるよね」と思い、くだものが動物に変わるように絵を考えたんです。動物とくだものの結び付け方は、最初に食べ物の絵を描いて、その一部を手で隠してみて、何に見えるか考えましたね。洋ナシの一部を隠して、ヒヨコに見えてきたり、ミカンの一部を隠して、ウマに見えてきたり…。この作業で想像力がかなり鍛えられたんじゃないかと思います(笑)。

アイディア出しの段階ではメロンがカメに変わる絵も考えていたんですが、マイケルさんから「メロンは海外では分からない国もある」といわれ、ボツにしました。


───この作品もパソコンで仕上げたんですか。

くだものだーれ?』と『たべものだーれ?』、それからまだ日本で出ていない2作品は同時進行だったので、線からすべてパソコンで仕上げています。
こちらは、今度、日本で出る最新作『りんごはいくつ?』の墨の原画ですね。この作品の場合は原画をパソコンに取り込んで色を付ける方法を選択しました。

───色が付いていないだけで、原画とほとんど一緒なんですね。



下のピンク色の背景の方がダミーです。

 

そうですね。
マイケルさんにプレゼンしたときのダミーも、今回持ってきたんですが、ほとんど最初のイメージを変えることなく本になりました。


変わったのは最後のページで、最初は「0」ではなく、リンゴがかじられた絵だったんです。でも、マイケルさんから「0」にしてほしいといわれて、「0」になるよう考えました。

 


最後が「0」になるだけでイメージが変わりますね。

 

───『りんごはいくつ?』も「だーれ?」シリーズも、めくったときに思いもよらない動物が出てくるのが魅力的ですよね

一番最初のプレゼンはいつもマイケルさんにするんですが、彼は嬉しいととても大きいリアクションで返してくれるので、ビックリさせるのが好きになりました(笑)。子ども達が歓声をあげて食い入るように見てくれると嬉しいですね。

───貴重な原画を見せていただけて感動です!

僕もこの原画は久しぶりに見ました。なつかしいなー(笑)。

───2005年にボローニャ国際絵本原画展で入選されて、最初の出版が2007年。
その後、ボードブックシリーズは様々な言語で世界各国でも翻訳をされて、日本では2011年に『のりものつみき』(講談社)が出版されました。やはり日本で出版したいという思いはありましたか?


各国ででているよねづさんの作品。
どこの言語か分かりますか?

海外で出版されているものは、基本的に感想など直接メールをいただくことでしか反応を感じることができなかったので、自国で出したいと思っていました。
『のりものつみき』を日本で出版して、本屋さんで並んでいるのを見たり、読者カードなどで感想をいただけたときは感無量でした。

 

 

 


 

───よねづさんの今までの作品を見ていると、ボードブックのしかけ絵本作家さんというイメージがありますが、今後はストーリー絵本にも幅を広げていきたいなど思いはありますか?

ボードブックタイプのしかけ絵本は、今の僕の作品イメージを表現しやすいので、アイディアが続く限り出していきたいなと思います。並行して、ストーリーもののアイディアも時間をかけて考えていきたいですね。

───最後に絵本ナビのユーザーさんにメッセージをお願いします。

僕の作るしかけ絵本は、絵本を読んであげるという感覚よりも、本の形をしたオモチャのような感覚で、子どもと一緒に遊んでもらいたいと思って作っています。おはなしがまだ分からない年齢でも、一緒にページをめくったり、子どもが自分でページをめくって楽しんでもらえたら嬉しいです。

───ありがとうございました。次はどんなしかけ絵本のアイディアが生まれるのか、とても楽しみにしています。


Q. 作品以外のテキスタイルも作られていますが、購入はできるのですか?

A. はい。カレンダーや布など、日本でも販売しています。

Q. 動物をモチーフにされていることが多いですが、好きな動物は?

A. よく描く動物はペンギンとゾウ、それからアヒルです。
形がシンプルでデフォルメしやすいので面白いです。
動物を描くときは、忠実に描くよりも、平面的にデフォルメできるかを考えることが多いです。

Q. 子どもの頃に好きだった絵本を教えてください。

A. 強く印象に残っているのは、林明子さんの『おふろだいすき』(作:松岡京子、絵:林明子、福音館書店)と『めっきらもっきらどおんどん』(作:長谷川摂子、絵:ふりやなな 福音館書店)です。
小学生のときはいわむらかずおさんの「14ひき」シリーズ(作・絵:いわむらかずお 童心社)が大好きでした。

Q. マイブームを教えてください?

A. 年内に子どもが生まれるので、その準備が楽しみです。
子どもが生まれたら、僕の絵本を読んであげて、僕自身、子どもからいろいろ学んでまた新しいジャンルの絵本を作っていきたいですね。

(編集協力:木村 春子)

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よねづ ゆうすけ(よねづゆうすけ)

  • 1982年東京生まれ。東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程卒業。2005年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展への入選 をきっかけに絵本作家として活動を始める。2007年に初の絵本 『Bye-Bye Binky』(minedition)を出版。以後、多くの絵本を創作し世界中で翻訳されている。『のりもの つみき』(講談社)を皮切りに、『にじいろカメレオン』『たべもの だーれ?』『くだもの だーれ?』『りんごはいくつ?』(すべて講談社)などつぎつぎと邦訳出版されている。

作品紹介

りんごはいくつ?
りんごはいくつ?の試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
にじいろカメレオン
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
のりもの つみき
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
くだもの だーれ?
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
たべもの だーれ?
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
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