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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  左右の写真に隠された、7つのまちがいを探せ!「どこどこ?セブン」シリーズ 藤本真さんインタビュー

息子と娘に喜んでほしくて、まちがい探し絵本を作ろうと思いました。

───『どこどこ?セブン(1)』が出版されたのが2003年4月。今でもとても人気が高い作品ですが、どのような経緯でこの絵本は誕生したのですか?

きっかけは、ぼくの娘と息子です。彼らが小さいころ、「ミッケ!」シリーズ(小学館)で絵探しをするのがとても大好きでした。ぼくも、子どもたちと一緒に遊んでいるうちに「ミッケ!」が大好きになってしまいました。独特のファンタジー世界と、それを支える美しい写真たち。あの海外独特の雰囲気をとにかく自分でも作りたくて、絵本のことを何も知らないのにチャレンジして作ったのが1冊目の『どこどこ?セブン(1)』なんです。

───『どこどこ?セブン(1)』の奥付に「プロデューサー」と書かれていましたが、今まではどんなお仕事をされていたんですか?

音楽雑誌を中心に、主に大人向けの本のエディターをしていました。

───絵本とは違う世界で働いていらしたんですね。

そうなんです。絵本や児童書に触れたのは、子どもが生まれて、彼らとコミュニケーション取るようになってから。「ミッケ!」は特に、子どもが本棚から持ってきて、ずっと熱心に探している。その姿が印象的で、そんな風にわが子に何度も手に取ってもらえるような作品が作れたら、幸せだろうなと思いました。

───まちがい探しというコンセプトはすぐに思い浮かんだのですか?

思い浮かんだのは速かったと思います。「ミッケ!」が探し物だったから、同じように写真を使った絵本で作るなら、まちがい探しがいいんじゃないかと……。企画を考えたとき、子どもに「こういうの考えているんだけど、どう思う?」と聞いたのですが、「おもしろいと思う!」と賛同してもらえたのも、スタートするきっかけになりましたね。

───藤本さんはプロデューサーとして、主にどんなことをされているのですか?

「どこどこ?セブン」の企画の提案やテーマの設定、本の構成の検討、それに、デザイナーやカメラマン、スタジオの手配、絵本のテキストや編集としての仕事などなど……ほぼ、すべての調整を行うのがぼくの仕事ですね。

───たくさんのことを手がけているのですね。

最初は作ったこともない子どもの本を作るのだから、手探り状態だったんです。あまり周りに相談する人もいなかったし、成功するかもわからなかったので、気心の知れた仕事仲間に協力してもらったり、子どもの友だちやその家族に協力してもらって制作を進めました。

───アットホームな感じが良いですね。

「ミッケ」シリーズ(小学館)や同じさがし絵絵本の「どこ?」シリーズ(講談社)など、作者さんがご自分の世界観を表現するテクニックを持っていらっしゃる場合、チームを作らなくても制作することはできると思うんです。でも、ぼくは、アーティストでもなければカメラマンでもない。だから、誰かの手を借りないとこの作品は絶対作れないんです。その代わり、アイディアさえ生み出せればチーム一丸となって制作することができるので、スピード感が出せます。おかげで12冊というシリーズを6年くらいで作ることができました。

───たしかに、これだけのボリュームの作品をひとりで制作したら、もっと時間がかかりますよね。「どこどこ?セブン」というタイトルもインパクトがあって、記憶に残りやすいと思いました。このタイトルを考えたのも藤本さんなのですか?

はい。タイトルを考えたときのポイントは「7つまちがいが隠れていて、それを見つけること」が一目で読者に伝わること。最初は「セブン」だけでもいいかなと思ったんです。でも、チームのひとりが「もう少し、子どもが興味を持つようなフレーズを付けた方がいい」と言って、「どこどこ?」という言葉を提案してくれました。

───7つという数も、多すぎず少なすぎず絶妙だと思いました。

5個以下だとすぐに見つけてしまい、何度も手に取ることは少なくなると思いました。逆に10個だと多すぎてしまって探しきれずあきらめてしまう。7という数字はとてもバランスが良くて、子どもでも1人で探したいと思うし、親子で遊んでも3つと4つとか、2つと5つとか競い合いながら探しあうことができるんです。

───そのような経緯で企画がスタートして生まれたのが、1冊目の『どこどこ?セブン(1) 』。まちがい探しのレベルがかなり高かったです。

そうなんです。1冊目を作っているときはシリーズ化されるとは思っていないから、やりたいことをつぎ込んで……。さらに、難易度もチームと周りの子どもたちを参考に作ったので、できあがったらとても難しいものになったようです。

───靴が並んでいる場面や誕生日パーティーの場面など、実物のモチーフを使っているように見えるのですが、撮影はどのように行っているのですか?


『どこどこ?セブン(1)』より「ともだちが やってきた!」

1冊目のときは、3日間フォトスタジオを借りて、すべてのシーンの写真を撮影しました。素材はすべて本物です。スタイリストさんが集めてくれたものもありますし、靴の場面の靴などは、近所の子どもたちに声をかけて協力してもらいました。

───フォトスタジオを借りて撮影するなんて、とても大がかりですね。

ミニチュアを制作することができれば、大きいスタジオでなくても撮影できたと思うのですが、何しろ最初はそういう人に依頼をすることもできなかったので、自分たちでできることを最大限に生かして、クオリティーの高いものを作ることで精一杯でした。まちがいを作るのも人の手で行っていたので、ちょっと気を抜くと、隣のパーツが動いてしまったり……。かなり時間と神経を使って制作していたと思います。でも、時間に制限があるのが想像以上に大変で、2回目以降は事務所や自宅などを使って撮影するようになりました。

───1冊目で特にお気に入りの場面はありますか?

基本的にどの場面もチームで話し合って、そのときできる最善のものを作り、撮影しています。なので、人によって思い入れも様々です。魚の場面が『スイミー』のようで好きだという人もいますし、石の場面が好きだという人もいます。でも、どのページも愛情を持って作っているのでとても思い入れがありますね。


『どこどこ?セブン(1)』より「あかいさかな およいでる?」

───お子さんの反応なども確かめながら進められたのですか?

もちろん。それが唯一、純粋な子どもの感想ですし、「おもしろい!」と言われるとがぜん勇気も沸きました。これだけ大勢の人に協力してもらっていましたが、1冊目は本当にただ息子と娘が喜んでくれればと思っていたくらいだったので、誰も読んでくれないかもしれない……という不安を常に感じていました。

───テキストに英語を入れたのも、藤本さんのアイディアですか?

これは、出版社からの提案でした。英訳は子どもたちが通っていた英会話教室のネイティブな先生に翻訳をお願いしました。英語を載せたこともあり、海外で出版の話が出たときも、内容をスムーズに理解してもらえて、交渉も進みやすかったのかもしれません。

───海外でも、このシリーズは出版されているのですね。

英語圏や仏語圏、中国や韓国など、アジア圏で出版されています。

───1冊目を出版するときの不安な様子が嘘の様な展開! 2作目の出版の話はすぐに来たのですか?

たしか、4月に発売して、6月頃には重版のお話をいただけていたと思います。同時に「2作目も作ってみませんか?」と打診があって、驚くと同時にとても嬉しかったですね。

どこどこ?セブン(2) クリスマス
どこどこ?セブン(2) クリスマスの試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社

第1巻と同様、こどもにも大人にも楽しめる、きれいでかわいい写真を使ったまちがい探し絵本。この第2巻は、テーマを「クリスマス」として、お母さんが作るリース、こどもが作るクリスマスカード、サンタやトナカイなどの世界をファンタジックに描いています。あたたかく、ちょっぴりおごそかな「クリスマス」の、独特の雰囲気が写真からたっぷり伝わってくるはずです。また、各ページごとに添えられた文章も、ひとつのお話となっています。

───2冊目の『どこどこ?セブン(2) クリスマス』はその年の12月にはすでに出版されています。かなり速いペースだと思うのですが、2冊目はクリスマスにしようとすでに決めていたのですか?

いいえ。続編が出せるというお話を聞いてから、急いで企画を進めました。ただ、12月が近いことも分かっていましたから、クリスマスをテーマにすることはと比較的スムーズに決まりました。それと1作目は「ミッケ!」のオマージュとして制作したので、2冊目もあやかって「ミッケ!」にもある「クリスマス」を選びました。

───『どこどこ?セブン(2) クリスマス』は1冊目よりも立体のモチーフが増えているように感じました。

2冊目からは、3Dイラストレーターの玉川泰央さんに参加していただきました。「さんたさんのくに どんなくに」や「エントツ どこにあるかな?」などの立体制作物は、玉川さんがいなければ作ることができませんでした。


『どこどこ?セブン(2) クリスマス』より「えんとつ どこにあるかな?」

───1冊目よりもさらにオリジナリティが増して、クリスマスにピッタリの作品だと思いました。

シリーズ通して一番人気が高いのがこの『どこどこ?セブン(2) クリスマス』でもあります。ギフトとしてプレゼントされる方もいらっしゃると聞きますし、クリスマスシーズンの装飾に使ってくださる方もいます。とてもありがたいことですね。

───たしかに、この本をクリスマスツリーの横に置いたりすると、クリスマスの雰囲気がグッと増しますね。藤本さんの中で、特にお気に入りのページはありますか?

そうですね。「おおきな クリスマスツリーを のぼって」の世界観はとても好きですね。それと、「サンタさんが いっぱい!」は、身近な人たちに協力してもらって、サンタの絵を描いてもらったので「どこどこ?セブン」らしいページになっていると思います。


『どこどこ?セブン(2) クリスマス』より「サンタさんが いっぱい!」

───子どもたちの元気な絵など、力作ぞろい! 見ているだけで楽しくて、まちがい探しを忘れてしまいそうです(笑)。

1作目があまりにも難しかったというお手紙が多かったので、その反省もあり、まちがい探しを少し易しくしました。

───難易度的には、ビギナーにオススメですね。特徴のひとつである答えが載っていないことも、最初から決まっていたのですか?

答えは最初から載せようとは思いませんでしたね。でもその代わりまちがいの場所が分かるきっかけとなるような文章を添えました。これをきっかけに見つけてもらいたいと思っているんです。

───「答えを教えてください」という連絡が来ることはないですか?

何回か、出版社を通じて連絡をいただいたことはありました。何年か前になりますが、小学校の男の子が「3年くらい探したけれど、1つだけどうしても分からないまちがい探しがあるので、答えを教えてください」という連絡をいただいたことがあって。そんなに一生懸命探してくれたんだ……ととても感動しました。

───その男の子は3年間ずっと「どこどこ?セブン」を楽しんだのですね。

そうですね。ぼく自身は、聞いていただければ答えはなるべくお教えするようにしています(笑)。

───見つかりにくいまちがい探しを作るときのポイントなどはありますか?

絶対、見つかりにくい物のベスト1は、「移動」です。ちょっと左に動かしたり、ちょっと角度を変えてみたり……。ベスト2は小さい物ですね。色が変わっていたり、形が変わっているものは比較的見つかりやすいですね。

───まちがい探しを作るときは、最初に左ページの正しい写真を撮影して、7つまちがいを作って、右ページを撮影するのですか?

そうです。まちがいを作るのが一番緊張する瞬間ですね。先ほど、小さいものは見つかりにくいと言いましたが、動かすときに隣のものも一緒に動いてしまう危険あります。なので、あまり周りに影響を与えない小物で、なおかつ動いたときに目立たないものを変えるようにしています。

───見つけるのも楽しいですが、まちがいを作るのも楽しそうです(笑)。

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藤本 真(ふじもとまこと)

  • 1959年生6月11日まれ。音楽雑誌編集者として社会人のスタートを切り、30歳直前に独立。以降、音楽雑誌以外にも、競馬雑誌、ケータイ雑誌、映画&TVの番組誌、企業広報誌、タウン誌、メガネ本など多種の雑誌・書籍作りに関わる。2003年には、まちがいさがし絵本「どこどこ?セブン」を発行。シリーズ化となる。現在、編集・執筆の傍ら、ウェブメディア作りに着手中。

作品紹介

どこどこ?セブン(1)
どこどこ?セブン(1)の試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
どこどこ?セブン(2) クリスマス
どこどこ?セブン(2) クリスマスの試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
どこどこ?セブン(3) ともだち
どこどこ?セブン(3) ともだちの試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
どこどこ?セブン(4) こわい!?
どこどこ?セブン(4) こわい!?の試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
どこどこ?セブン(5) どうぶつ
どこどこ?セブン(5) どうぶつの試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
どこどこ?セブン(6) ゆめ
どこどこ?セブン(6) ゆめの試し読みができます!
著:藤本 真
出版社:自由国民社
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