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入園入学シーズンには、『ともだち』をオススメしています。児童書のプロに聞く!

「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」。
印象的なフレーズからはじまる絵本『ともだち』は、1979年、「玉川こども・きょういく百科」の一冊として誕生しました。そして2002年に単行本化されると、子どもだけでなく、多くの人の胸に響き、ロングセラー絵本となりました。
絵本ナビでも以前、谷川俊太郎さんにインタビューを行ったことがある本作ですが、今回は、『ともだち』が大好きな書店員さんにお話を伺いました。『ともだち』と出会ったときの衝撃、お客様の反応、そしてご自身にとっての「友だちとは……」などなど。本を売る立場から見た絵本『ともだち』について、お楽しみください。

ともだち
作:谷川 俊太郎
絵:和田 誠
出版社:玉川大学出版部

「ともだちって かぜがうつっても へいきだっていってくれるひと」―谷川俊太郎の珠玉の詩と,和田誠のほのぼのとしたイラストによる,幼児〜小学校低学年向き絵本。よい友は一生の宝であり,生きて行くうえで友だちがいかに大切かということを,やさしいことばと楽しい絵により,幼児にもわかりやすく語りかける。

「生身でのコミュニケーションが苦手なお子さんにも、読んでほしいです」久美堂 小田急店 小川寛子さん

最初にご紹介するのは、町田で70年の歴史を持つ老舗書店「久美堂」で児童書を担当している小川寛子さんです。小学校1年生のときに引っ越しを経験した小川さん。転校先で出会った「友だち」とのエピソードを教えていただきました。

───小川さんは児童書担当10年以上のベテラン書店員さんですが、2002年に『ともだち』が出版されたときのことを覚えていますか?

私が書店員になってすぐに出版された本なので、とても印象深く覚えています。本の帯に「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」という絵本の中の一節が書いてあって、「なんて、子どもの真理を突いている本なんだろう」と、あたたかい気持ちになりました。


ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと。

───大人だと、「風邪がうつっても平気」とは思えないですよね。

そうです。風邪をひいている友だちがいたら、まずマスクをして自分はかからないように防御します(笑)。
でも、谷川さんが「子どもだったら…」と考えたから、この言葉が生まれたんだろうなと思って、とても感動しました。それからこの作品のファンになって、毎年、春が来ると店頭で展開するようにしています。

───特に売れる時期は、春先なのでしょうか?

やはり、入学入園シーズンの定番商品ですね。この時期は新しい本もたくさん出版されるのですが、『ともだち』は何年たっても全く古さを感じない作品で、多くの方に購入していただいています。

───小川さんは特にどんな方にこの本をオススメしていますか?

当店には小学生のお孫さんをお持ちの方が、入学祝として本を探しに来られることがが多いので、そのときは必ずオススメしています。男の子、女の子どちらにも気に入っていただける内容ですし、和田誠さんの絵も、カテゴリーによってタッチが変わっているところがとても味わい深いんです。
それと、最近のお子さんは、インターネットを使ってコミュニケーションを取っている子も多く、そういうお子さんの中には、生身でのコミュニケーションを苦手と感じている子も少なくありません。そんな不安を抱えているお子さんに手に取っていただきたいとオススメすることもありますね。


ともだちなら いやがることを するのは よそう。


ひとりでは こわい よるのみちも ふたりで あるけば こわくない。

───絵本を通じて、どんなことを感じてほしいと思いますか?

絵本に書かれている内容はいつ読んでも変わらないのですが、手に取った方のそのときの心境や、状況によって、響くページが異なるということを感じてもらえたら嬉しいですね。「友だち」ってそれほど多様性があって、関わり方もいろいろあるんだということを、この絵本は教えてくれると思います。大人の方も改めて読み直すと、響く場面が必ずあると思います。

───小川さんが特に心に響いたページはどこですか?

「ともだちって みんなが いっちゃったあとも まっててくれるひと。」です。
私は小学校1年生のときに転校した経験があるのですが、幼稚園から上がってきた子たちはすでに友だちがいて、仲が良さそうだったので、その輪の中に入ることがなかなかできなかったんです。そんなとき、本を読んでいた私に声をかけてくれた同級生がいて、彼のおかげで、ほかの子とも仲良くなることができました。
その子の接し方が、まさにこのページの男の子そっくりで、すぐそばにいることは少ないんだけど、ふと一人になってしまったときに、顔を上げると、ちょっと離れたところから、こちらを見守ってくれるような感じでした。なので、このページを見るたびに、その子とのことを思い出すんです。


ともだちって みんなが いっちゃったあとも まっててくれるひと。

───すてきなエピソードですね。

もしそのときこの『ともだち』が出版されていて、私も読んでいたら、もっと彼と友だちになれたかもしれないなぁと思うんです。なので、この絵本を今、読むお子さんたちにも、きっと友だちのことを思って「ハッ」と気づくページがあると思います。

───大人の方が読んでも、子どもの頃の友だちとのエピソードを思い出して、懐かしく感じそうです。

そうですね。「けんか」のところの言い回しも、とても好きです。

───「わるくちは いったっていい、でも かげぐちを いうのは よくないな。」や「おかあさんや おとうさんや せんせいに いいつけるのは ずるいんじゃないかな。」という場面ですね。

けっして「ダメ」と否定していないんです。あくまでも、子どもたちに考える余地を持たせている。子どもたちも「いけないよ」と言われるよりも、「ずるいんじゃないかな」と意見を求められた方が、「たしかにずるいかも……」と考えますよね。


おかあさんや おとうさんや せんせいに いいつけるのは ずるいんじゃないかな。

───たしかに、「どんなきもちかな」という部分でも、読者の方に考える余白を持たせている感じがします。

なので、一人で読むのもオススメですが、ご家庭や教室の本棚に置いていて、ときどき友だちや、先生、きょうだい、親子で、気軽に話し合うことがあっても良いと思います。『ともだち』を通して、普段できないようなコミュニケーションが取れるのではないでしょうか。

───『ともだち』は1冊で、いろいろな発見や楽しみ方ができる絵本だということを改めて感じました。最後に、絵本ナビユーザーに向けて、『ともだち』のオススメコメントをいただけますか?

お子さんだけでなく大人の方にも感動していただける絵本です。人間関係に戸惑ったとき、友だちのことで相談できない悩みを抱えたとき、一人でページをめくって、友達との関係をおさらいする教科書として、一生を通じて読んでいただけると思います。

───ありがとうございました。

久美堂 小田急店
東京都町田市原町田6-12-20
TEL:042-727-1111(代表)
営業時間:午前10:30〜午後7:30
URL:http://www.hisamido.co.jp

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作品紹介

ともだち
作:谷川 俊太郎
絵:和田 誠
出版社:玉川大学出版部

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