絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「あかちゃんといっしょに作ったあかちゃんのための絵本」創刊開一夫教授&作家さんインタビュー

音と形を生かす絵本を作りたかった……。『もいもい』

───ここからは1冊ずつ、作品を作ったときのお話を伺いたいと思います。まず、『もいもい』ですが、これは先程、開教授からお話があったように、まず絵にくぎ付けになるあかちゃんが多かったとのことですが……。

市原:ぼくも、そんなにあかちゃんが見てくれるとは思わなかったので、結果を聞いたときはとても驚きました。

───1枚のイラストから1冊の絵本を作るのは、とても大変だったのではないかと思います。

市原:そうですね。最初、編集者さんから提案していただいたのは『きんぎょがにげた』(作・絵;五味太郎 出版社:福音館書店)のような、隠れている「もいもい」を見つける絵本でした。しかし、絵を見てくれた0歳や1歳のあかちゃんのことを考えると、まだ、絵の中に隠れている「もいもい」を探すのは難しいように思ったんです。それで、いろいろ考えたのですが、思い切って開先生の研究室にお邪魔して、相談することにしました。


『もいもい』の作者・市原淳さん。

───開教授からは、どんなアドバイスがあったのでしょうか?

:私は、市原さんの絵を見たあかちゃんの反応を目にしたときから、「もいもい」はその形と音を生かす絵本が良いと思っていました。なので、その思いを市原さんにお伝えしました。

市原:開先生にアドバイスをいただいたことで、ぼくももっと自由にやろうと吹っ切ることができました。

───それで、『もいもい』はシンプルな「もいもい」という音に合わせて、「もいもい」の形が変わっていく作品になったのですね。

市原:対象年齢を考えると、文章は親御さんが読むものだと思ったので、声に出したときにちょっと楽しく感じてもらえるような音を選びました。絵はなるべく単純な展開で、ただ、めくるごとに変化があって楽しめるように工夫しました。

───文字が大きくなったり、小さくなったりするのも工夫されたところですよね。

市原:はい。大きい文字で書いているところは大きく、小さい文字で書いてあるところは、小さく読んでいただけると、お子さんがぐっと注目する様子が分かると思います。

───この「もいもいもいもいもいもいもいもい」と、たくさんの「もいもい」が出てくるところも楽しいですよね。制作途中に、お子さんに読み聞かせなどされたのでしょうか?

市原:一度だけ、あかちゃんに制作途中の絵本を読んでもらいました。そうすると、手を伸ばして「もいもい」を握ろうとしたんです。その反応を見たときに、改めてこの絵本の方向性は間違っていなかったと安心しました。

大好きなマレーグマが手品師に! 『うるしー』

───『うるしー』は、見習い手品師の「うるしー」が、帽子からいろいろなものを取り出す手品を見せてくれるストーリー。「うるしー」のキャラクターは、どのように生まれたのですか?

ロロン:ぼくはマレーグマが好きで、実際のマレーグマとは違いますがよく作品に登場させているんです。なので、「うるしー」も普段描いているクマのキャラクターをモデルにしました。マレーグマは、クマの中では小柄で、性格も温厚。昆虫や果物を好んで食べる、とっても遊び好きなクマなんです。ただ、ちょっと動きが個性的というか、よく見ると気持ち悪い……(笑)。そんなところもすごく可愛くて面白いと思っています。


『うるしー』の作者・ロロンさん。

───絵本でも、とっても遊び好きな感じが出ていますよね。うるしーがどんなものを帽子から出すのか、悩みましたか?

ロロン:編集者さんにいろいろ相談しながら、決めていきました。最初にバナナを出すところも、メロンなどほかの果物も考えて、たくさん出したアイディアの中から、絞っていきました。

───動物や乗り物、昆虫などが出てきた後に、パッと冬の世界が登場しますよね。この変化がすごく面白いと思いました。

ロロン:ありがとうございます。雪の場面や花火のシーンは個人的にも気に入っているんです。あと、桜の場面。色があまり暗くならないよう、何パターンもタッチを変えて試してから、描きはじめました。


習作を見せていただきました。

───同じイラストでも、色が変わるだけで雰囲気もかなり変わりますね。うるしーが手品で出すものの順番も考えられているように思いました。

ロロン:そうですね、徐々に大きくしたり、うるしーのポーズを変えてみたり……。どうやったら、あかちゃんが楽しんで見てくれるか考えて描きました。帽子から出てくる意外なものの案には、おばけなどもありましたが、編集者さんにもう少し現実的なものを……と言われて、変更しました。

───実際にお子さんに読み聞かせをしたのでしょうか?

ロロン:そうですね。ぼくの場合は、2,3歳くらいのお子さんだったのですが、そのくらいの年齢になると、帽子の中からちょっと見えているもので判断してくれて、「さくら!」とか「チョウチョ!」って答えてくれました。とても嬉しかったですね。

───画材は何を使っているのですか?

ロロン:基本的には、アクリル絵の具で描いています。さくらの場面は、花びらをリアルに描きたかったので、花びらのスタンプを作って、スタンプを押しながら、桜の花の散る感じを出しています。

───花びらのピンク色がスタンプだったなんてビックリです。

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開一夫(ヒラキカズオ)

  • 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系教授。「あかちゃん学」を専門とし、東京大学あかちゃんラボを運営。あかちゃんが本当に好きな絵本を作りたいと「あかちゃん学絵本プロジェクト」を立ち上げる。
    乳幼児にも「正義の味方」を応援することを明らかにするなど、ユニークな研究を行っている。著書に『日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ』(岩波書店)、『赤ちゃんの不思議』(岩波書店)などがある。

市原淳(イチハラジュン)

  • 愛知県出身 大阪芸術大学デザイン科卒業 横浜在住。
    絵本の他にグッズ、書籍、広告のイラストレーションも制作。
    2009年 オリジナルキャラクター「Popper Town」がカナダのDECODE社よりアニメ化され、日本のディズニーチャンネルをはじめ世界約100カ国のテレビで放送される。
    日本児童出版美術連盟 会員。『ホッペツタウン』(小学館)、『トンネルねるくんくるままにかな?』(くもん出版)、『にっこりにこにこ』(講談社)他多数。

ロロン

  • イラストレーター。1972年東京生まれ。日本デザイナー学院、セツ・モードセミナー卒業。主な仕事は書籍、雑誌、広告等のイラストレーション。

みうらし〜まる

  • イラストレーター・絵本作家。著書に絵本『うんぽっとん』(金の星社)、『ウポポウポポポポタージュスープ』『かぶとん』(鈴木出版)、『うみのえほん ぼく、うまれたよ』(教育画劇)などがある。

作品紹介

もいもい (あかちゃん学絵本) 0歳、1歳、2歳児向け 絵本
もいもい  (あかちゃん学絵本) 0歳、1歳、2歳児向け 絵本の試し読みができます!
絵:市原 淳
監修:開一夫
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
うるしー (あかちゃん学絵本) 0歳 1歳 2歳児向け 絵本
うるしー (あかちゃん学絵本) 0歳 1歳 2歳児向け 絵本の試し読みができます!
絵:ロロン
監修:開一夫
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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